金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

来週は夏休みです

2008年07月31日 | うんちく・小ネタ

来週(8月4日の週)1週間夏休みをとります。前半はワイフと尾瀬や安達太良山に行く予定で、後半は北アルプスの白馬岳に会社の仲間と登山の予定です。尾瀬行きはマイカーの予定。ガソリン高騰の折、遠出は控えていましたが、車が便利な場合はやっぱり車で出かけます。

車や飛行機の旅行について私は今このように考え始めています。「石油はいずれ枯渇する。20年先か40年先かは分からない。しかし数年先には石油資源の枯渇問題がもっとクローズアップされる。そうなるとますますガソリンは高くなる」「そうであるならば、行きたいところには先送りするのではなく、今行く方が良い」

昨日この夏イスラエルに旅行するという先輩と一杯飲みました。既に述べた理由から海外旅行にも出来るだけ早く行くことに私は賛成です。車の燃料であるガソリンにはバイオ燃料という代替物(とても本格的な代替物ではありませんが)があります。また車で行けるところは、時間をかけると自転車でいけないことはありません。

しかしジェット燃料には代替物は今のところありません。石油が本当に枯渇するとジェット機は飛べなくなるから海外旅行はまず無理でしょうね。

これからは頻繁に旅行することを考えるより「一期一会」の気持ちで旅行をすることが必要かもしれません。

余談が長くなりました。夏休み中ブログのエントリーが少なくなると思いますが、よろしくご理解ください。

北の旅人より

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米国、時短という不気味なプレリュード

2008年07月31日 | 英語

米国ではここ2,3日株価がしっかりしているが、新聞記事は不景気な話題が多い。ニューヨーク・タイムズにフルタイムからパートタイムに切り替えられる労働者が増えているという記事が出ていた。パートタイムになったある人について新聞はこう書いていた。

He has run up nearly $2,000 on credit card debt to buy food. Run upは「成長する、達する、出費がかさむ」という意味だ。従って文章全体では「彼はクレジットカードで食料品を購入して、カード債務が2千ドル近くに積みあがっている」という意味だ。

景気悪化により、会社側がフルタイムからパートタイムに切り替えた労働者の数は370万人以上になっている。この数字は半世紀前に調査が始まって以来最大の数字だ。今回の景気後退では失業率の悪化度合いはまだ緩やかだ。一方勤務時間を短縮されて収入が減っている人はかってない程増えている。

先ほどの人の例では時短のため2週間の給料が650ドルから550ドルに下がった(クラークレベルの給料は2週間単位が普通)。550ドルは年収換算すると約1万4千ドルだ。これは米国が定義する家族二人の貧困ラインと等しい。米国では働いても貧困ライン並の所得しか得られない人をワーキング・プアと呼ぶ。時短はワーキングプア層を拡大する。

時短の影響を強く受けているのは男性労働者でしかもヒスパニックが多い。一般に日本のメディアやそのメディアを見て、米国の景気動向や金利を判断している日本人は、表面的な雇用統計のみに注意を払っていてこのような動きを見落とし勝ちである。しかし時短増加は更なる景気悪化の前奏曲と見ておいた方が良い。

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インターネットの脆弱性

2008年07月30日 | デジタル・インターネット

今日のニューヨーク・タイムズにインターネットシステム、正確に言うとDNS(Domain Name System)の脆弱性に関するかなり重要と思われる記事が出ていた。DNSとはホストネームというインターネットの住所~例えば○○@blue.ocn.ne.jp~と個々のコンピュータに数字で割り当てられたIPアドレスをリンクさせるシステムである。全世界のDNSサーバが協調して作動する分散型データベースである。

今回発見された脆弱性とは、ユーザが例えば銀行のウエッブ画面を開いて、ユーザ名やパスワードを入力した時、犯罪者がその情報を横取りしてしまうことを可能とするようなものである。ニューヨーク・タイムズは例えるならば「電話会社のAT&Tに銀行の電話番号を照会して、偽の電話番号を教えられ、その番号に電話をかけて口座番号とパスワードを聞き取られてしまう」ようなものだと述べている。

この話についてはNTT情報流通プラットフォーム研究所もウエッブで情報を流しているのでまとめてみた。

  • インターネットのセキュリティ専門家カミンスキー氏(IOActiveの取締役)が今年の2月にこの脆弱性を偶然発見した。
  • 3月にマイクロソフトはセキュリティ専門会社などと秘密会議を持ち、この脆弱性にどう対処するべきか相談した。
  • (時間が飛ぶが)7月8日にカミンスキー氏は「攻撃者達がどのようにして脆弱性を見つけるかを考えつく前に、世界中のコンピューターシステムがソフトウエアにパッチを当てることで問題を解決することを希望する」として脆弱性の詳細の発表を1ヶ月先延ばしすると発表した。
  • 7月21日に誤ってあるセキュリティ会社が脆弱性を解説したレポートをオンラインで公開した。今セキュリティの専門家達は世界中で影響を受ける9百万台のコンピュータが応急手当をできるかどうか息を詰めて見守っている。

これでどんな脅威があるか?というとNTTは「DNSキャッシュサーバでドメイン名が乗っ取られる可能性がある」「本来の宛先に対するあらゆる通信が横取りされる可能性がある」などと恐ろしいことを書いている。

根本的対応策については今のところなく、攻撃確率を減らす方法としてはネームサーバの数を増やすことだとNTTは書いている。またニューヨーク・タイムズは個人や小組織の場合は、OpenDNSというウエッブサービスを使うことでリスクを軽減できると述べている。この辺りの話となると私の知識を超えているのでこの話は打ち切りとしたい。

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In turn (イディオム・シリーズ)

2008年07月30日 | 英語

In turnは「交替で、順に」という意味だ。ニューヨーク・タイムズに次のような文章が出ていた。Energy prices, if they continue on their downward path, could provide big relief to consumers and in turn help the economy.

「エネルギー価格がもし下落し続けるなら消費者に大きな救済を与えるだろう。そしてその次に経済を助けるだろう。」

Downwardは下降で、He is on the downward path.というと「彼は落ち目だ」という意味だ。

現在アメリカの株価はボラティリティが高くなっている(それにつれて日本の株価もボラティリティが高い)。株価を大きく動かしているのは、オイル価格と銀行の不良資産問題だ。石油価格が経済に与える影響は伝統的な経済学者が考えるよりもはるかに大きい。今読んでいる「ラスト・オイルショックの原理」によると、ケント大学のアラン・カルース教授達は過去50年間の経済指標を分析し、失業率の決定要因は石油価格と金利であり、石油価格の方が重要であることを突き止めた。石油価格と失業率の間には1年半のタイムラグがあるが、因果関係があるのだ。

エネルギー資源の枯渇が視野の片隅に入ってくるだけに、石油価格が経済や株価に与える影響は以前よりも高くなっていると考えるべきだろう。

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証券化廃れて、銀行は原点復帰

2008年07月29日 | 金融

アメリカでローンの証券化市場が停滞している。銀行の自己資本が毀損していることと相まって、アメリカの企業向け融資が減少している。ゴールドマンが連銀の資料を分析したところでは、6月半ばには年率換算で6%以上企業向けローンが減少している。

4月に連銀がシニア・ローン・オフィサーに調査をかけたところでは、55%の米銀が大企業・中堅企業向け融資基準を引き上げていた。また7割の回答者がローン金利を引き上げていると回答した。

昨年夏まで米銀はほとんどフリーパスで融資を行っていた。何故なら彼等は実行したローンの大半を証券化で売却していたので、ローンの返済状況に余り関心がなかったのだ。

ところがここに来てローンを証券化して販売するルートがふさがれているので「銀行は与信先をしっかり調査する動機付けがされている」とニューヨーク・タイムズは述べている。

この話は不動産担保に頼りきった日本のバブル期の話を彷彿とさせる。バブル期の日本の銀行は不動産価値に重点を置き、企業の経営内容やキャッシュフローについてまともに審査をしなかった(例外はあるだろうが)。その結果不良債権を沢山作るとともに、企業審査の出来ない融資マンを沢山作ったのである。

今回のモーゲージ・SPVバブルは、アメリカで手っ取り早くローンを実行して、証券化することに長けた金融マンを生み出したが、企業審査は等閑視された。長い期間の黒字決算を求めるなど貸出バーが高くなると、特に中小企業向け融資が減少する。中小企業向け融資の減少は、雇用削減や増産の足かせになり、景気の悪化を加速させる。

しかし長い目で見ると、企業融資をちゃんと審査することが出来る融資マンを育てられるのでプラスの面もある。もっとも日本ではバブル崩壊の反省から企業融資ができる銀行マンが育ったかどうかというとあまり良い結果は出なかったと思う。私の限られた経験に基づく独断だが。

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