11月28日土曜日会社の山仲間二人と日光・男体山に登りに行った。関東近郊の山はかなり登ってきたが男体山はまだ登ったことがなかった。何故深田久弥の日本百名山に入る男体山を登っていなかったか?という理由は簡単だ。それはバリエーション・ルートがないからだ。私のバリエーション・ルートとは一般登山道とは一味違った沢登りルートとか積雪期のスキー登山ルートだ。噴火歴が新しい火山で水捌けの良いこの山では大きな渓谷は発達しないので沢登りは無理だ。また雪は降るが山スキーを楽しむには地形と雪の量が適していない。そんな訳で登ったことのなかった男体山だが、人の少ないこの季節に登り眺望を楽しもうと思った次第だ。
朝7時にJR武蔵野線・東所沢駅に集合。マイカーで関越自動車道→外環→東北自動車道→日光自動車道路と高速・有料道路を使って戦場ヶ原を目指した。途中事故渋滞に巻き込まれるが10時頃に戦場ヶ原到着。なお日光自動車道路はETC通行はできるが、1000円割引の区間ではない。経営母体が栃木県道路公社だからだろうか?
さて戦場ヶ原からは光徳牧場に向かう道に入り、しばらくすると志津林道の標識がでるので右折する。林道は最初は地道だがすぐに舗装道路になる。志津林道は懸念された雪もなく簡単に走行することができた。志津乗越には2台の車が止まっていた(10数台の駐車が可能なスペースあり)。10時半登山開始。すぐに志津避難小屋に着く。しっかりしたログハウスの避難小屋だ。ここが一合目だ。二合目を過ぎたところで雪が出てきたのでアイゼンを着用した。九合目までは急な坂道が続くが、九合目から上はほぼ平になった頂上稜線の散歩だ。12時10分頂上到着。
山頂には梵鐘や大己貴命(おおむなちのみこと)の神像が祀られている。奈良時代に勝道上人が開山して以来信仰の対象となってきた山だから宗教色が強いのは当然だ。しかし初冬の雪を踏みしめて登ってきた登山者としては若干に違和感を覚える山頂だった。
だがそれを補う大きな景色が僕等を迎えてくれた。写真は頂上から見る中禅寺湖だ。
山頂で昼食を食べている時たった一人だけ登山者と出会った。スニーカー履きの彼は「南側のルート(二荒山神社から登るルート)は雪はほとんどありませんでした」と言った。この時期は北面・南面でずいぶん様相が異なる。13時40分下山開始。下の写真は頂上から九合目に向かうところだ。正面は太郎山だ。
風の冷たい日である。素手でカメラを操作するとその後指先がジンジンしてきた。それでも二合目近くまで下ると雪は少なくなり寒さの感じ方もらくになってきた。
写真の少し先に二合目でアイゼンを外した。
15時10分志津乗越に帰着。月が白樺の上に出ている風景に僕は心を動かされた。
「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪ふりてすずしかりけり」という道元の和歌をふと思い出す光景だ。
ここから車を15分程走らせて僕達は光徳牧場のアストリアホテルに入った。ホテルのロビーから男体山が目の前に見える。ここから見る男体山は鋭角的で颯爽としている。男体山は登っても良いが本当は眺める山なのかもしれない・・・と僕は思いながら、ホテルの温泉で冷えた体をゆるゆるとほぐして初冬の一日を締めくくった。
一枚以前真冬にこのホテルの庭から取った男体山の写真をご披露しよう。真冬の男体山はひときわ颯爽としていると僕は思っている。