金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

1月の株価は一年のバロメーター~米株の話だが

2014年01月31日 | 投資

米国株式相場には、1月の株価はその年のバロメーターだ、という格言があるそうだ。英語ではAs goes January,so goes the yearだ。

CNBCによると過去85年間でこの格言が当たったのは62回。その確率は73%だ。

米国市場では後1日一月が残っているが、今日(31日)で一か月の下落(約3%)を取り戻せないだろうから、今年はマイナスからスタートすることになりそうだ。無論今年の株価が停滞して終わると決まった訳ではない。大方の人にとって受け入れやすいシナリオは年中ごろまでに10%ほど下落して(つまりコレクションをして)出直し、年末は上昇、というものだがこれも一つのシナリオを過ぎない。

確実なことは昨年のような株価上昇に対する強い確信は後退して、気迷いが増えていることだ。それは恐怖指数と呼ばれるボラティリティ指数が26%上昇していることでも明らかだ。今年はかなり不確実性の高い相場展開になることだけは確実だと私は思っている。

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動き始めた相続をめぐる議論~揺らぐ家族の輪郭

2014年01月31日 | うんちく・小ネタ

あまり大きなニュースにはならなかったが、今週法務省は「相続法制検討ワーキングチーム」を立ち上げると発表した。この動きの背景には昨年末に自民党が「家族の絆を守る特命委員会」を立ち上げたことがあると考えらえる。自民党の「家族の絆を守る特命委員会」は、昨年12月に行われた非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分と同等にする(それまでは半分)法改正に対する反対論の中から生まれた。法改正に反対する人の論拠は「日本の社会では法律婚が家族の前提になっている。法改正はこの前提に反し、家族制度を否定するものだ」というものである。

「家族の絆を守る特命員会」のメンバーである宇都隆史自民党参議院議員はHPで相続に関する民法の見直しを5つ提言している。

  1. 遺言相続による場合「遺留分」を見直す。つまり現在の法律では、法定相続人(兄弟姉妹を除く)は、遺言書の内容にかかわらず一定額の遺産を相続する権利を認めている。これを遺留分というが、この規定を廃止方向で見直そうというものだ。つまり配偶者が遺言書で他の配偶者に遺産を全部譲ると遺言すると子供たちは遺留分がないので、遺産を相続することができなくなる。
  2. 次に今より配偶者の法定相続分(たとえば配偶者と子供が相続人の場合、配偶者の割合は1/2)を引き上げ見直ししようという提案だ。
  3. 次に現在はほとんど認められていない寄与分(事業の補助や財産の維持など被相続人に対する相続人の特別な貢献)をもっと積極的に評価しようという提案だ。特に被相続人の介護に関する寄与を拡大見直ししようという提案だ。
  4. 次の義父母の介護に貢献した嫁さんに対する手当を考えようという提案だ。現在の民法では相続人でない嫁さんはいくら義父母の介護に貢献しても、遺言書で遺言しない限り相続財産の一部を受け取ることはできない。だが介護負担が大きくなる中介護を担う嫁さんの貢献を評価しようというものだ。
  5. 最後が住居に対する居住権の保護。これは相続時に今まで住んでいた住居に引き続き住めるようにしようという提案だ。

以上の内容をざっと見て私が感じたことは、「日本で揺らぎ始めた家族の輪郭」を問い直す議論が起きる可能性があるということと「相続問題も少子化対策と介護対策のはざまで揺れている」という印象だ(なおこれはあくまで私個人の印象・見解であり、一般社団法人 日本相続学会の見解でないことをあらかじめお断りしておきます。)

昨年末の非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分と等しくするという法改正には大きく二つの理由があった。一つは「日本の社会に法律婚は定着しているとはいえ、家族の形態は多様化している」というものと「親が婚姻関係にあろうとなかろうと子供は不平等に取り扱われるべきでない」という欧米の潮流をフォローしたものだった。

ところで日本人は家族をどのように考えているのか?ということを平成19年の国民生活白書で調べてみた(内閣府が作っている生活白書平成20年で中止になった)。

調査結果を見ると6割の人が「家族を休息・やすらぎを得る場所」と考え、3割程度の人が「家族を子供を産み育てる場所」と考え、15%程度の人が「家族を相互扶助の場所」と考えていた。

非嫡出子に嫡出子と同じ相続権を認めた民法改正支持派の家族意識はおおむね「休息・やすらぎ」・「子育て」重視派で、介護等による寄与や嫁さんの貢献度を評価しようという相続法制改正論者は「相互扶助」重視派だと私は分類している。

一度法律婚を行うと離婚が非常に難しいフランスでは事実婚が拡大し、その結果出生率が向上してきたというのは周知の事実。またアメリカなど一部の欧米諸国では、同性婚が拡大している。現在米国では17の州が同性婚を認めている。結婚=やすらぎの場所という考えをとれば、同性婚もありかな?という気がしないでもない。

自分のサラリーマン経験を振り返ると、相当長い期間「家族手当」を貰っていた記憶がある。「家族手当」がいつ廃止になったか記憶はさだかでないが、バブル崩壊期に導入された「能力主義」と一緒に葬られたような記憶がある。おそらくそのころから生活基盤の最低ユニットが「家族」から「個人」に移行し始めたのではないだろうか?

無論「やすらぎ派」と「相互扶助派」の選択は二者択一ではない。どちらの良いとこどりも可能な話だ。さらにいうと本当はあまりガチガチに法律で縛らず、被相続人の遺志を尊重する遺言書重視という意見もあっても良さそうだが、法律制度重視の日本では極めて少数の意見にとどまりそうだ。

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高額投資ツール詐欺に騙される大学生

2014年01月31日 | ニュース

昨日(1月30日)朝のテレビニュースで、「絶対儲かるから」と50数万円する株式投資マニュアルを買わされ、損をしている大学生の話が取り上げられていた。ニュースが騙す側に焦点を当てているのは当然だが、私は騙される大学生の「思考力」にも問題があるのではないか?と感じた。

およそ投資の世界に絶対儲かるという話はありえない。1990年代中ごろ債券投資のプロやノーベル賞受賞者たちが鳴り物入りで立ち上げたLTCMという巨大な投資ファンドがあったが、ロシア通貨危機を受けて実質的破たんした。

投資の世界では相対的にリスクが低く、儲かる可能性が高いアービトラージという手法があるが、絶対に儲かることが保証されているわけではない。また相対的にリスクが低い方法は利ザヤが少ないので、取引コストを極小化しながら、多額の資金を動かす必要がある。学生が少々の金を動かして大きな儲けをあげることは「僥倖」を除いてありえない。

つまり「投資で大きく儲ける」というのは幻想に過ぎない、という常識的な判断力を第一に欠いているのである。投資のリターンは長期的に見ると、経済成長率+アルファに収れんするというのは、経済と投資の基礎であり、たとえ個人投資を行わないにしろ、職業人(の卵)として、押さえておくべき基本中の基本だ。

次に「モチベーションに対する考察力が欠如している」ということも問題だと思う。「ものを売る」方は相手の顕在的なあるいは潜在的な欲望・恐怖に働きかけてくる。いわば動機づけを行っているのだ。高額商品を詐欺的に販売する場合は、特に人間の矛盾した欲望に働きかけてくると私は考えている。

「楽をしてお金を稼ぎたい」「いつまでも若々しくいたい」「運動もせず、飽食を続けながらスリムな体を維持したい」「苦労をせずに英語を話せるようになりたい」など人は矛盾したわがままな要求を持つ。もっとも大部分の人は日頃は理性的な判断が優っているので、そのようなわがままな要求は叶わないと考えている。だがその一方で「ひょっとすると誰かが発明した新しい方法があるかもしれない」と思っている(希望している)人がいることも事実。そしてある種のうしろめたさのようなものから、結構高いお金を払ってしまうことがあると私は考えている。

だが残念ながらほとんどの場合、「楽して何々できる」ということはないと考えた方が良い。そんなものがあればもっと多くの人が使っている。

モチベーションについていえば、売り手のモチベーションを考察する必要もある。本当に絶対儲かる話ならどうして自分でやらないで人に教えるのだろう、と考えていけば大概の儲け話のカラクリはあきらかになってくる。

私はこの程度の詐欺にコロリと引っかかってしまう大学生に危惧を覚えた。社会人になれば、職業人になれば、海千山千の連中があの手この手で引っかけにくる。無論「でたらめな商品を売る」詐欺師はそれほど多くないにしろ、虚栄心をあおるようなセールスは多い。私生活でも仕事の上でもだ。だから「経済や投資あるいは事業に関する常識力」を欠いていたり、「動機分析的な思考方法」を欠いている若い人たちが長い人生を無事に歩いて行けるのかどうかに不安を覚えたのである。

だがしばらくして考えてみると十分な判断力が備わった大人でも、投資話にはコロリと騙される場合があることを思い出した。総合調年と呼ばれる業界団体の年金基金が運用詐欺に引っかかったことが明らかになったのは少し前の話だ。海外でも元NASDAQ会長のマドフが数十年にわたる巨額な投資詐欺を行い、なだたる銀行などもコロリとまいっている。

だから詐欺に騙された大学生だけを批判するのは間違っているかもしれない。騙そうと思うと誰でも騙されるのかもしれない。

それでも次のことは言っておきたい。「世の中には甘い話はないと考えるべきだ。努力なしに成果はない。むしろ努力の過程に喜びを見いだすべきなのだ」「美し過ぎる話や実績は不自然な場合が多い。世の中は結構偶然の積み重ねで成り立っている場合が多いので、整然としていないものである。整然としすぎた話は不自然である。」

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温泉とパワースポット・冬の上州

2014年01月29日 | 旅行記

1月25日・26日と一泊二日でワイフと伊香保温泉に行き、いくつかの神社に参拝してきた。一日目は上信越自動車道富岡ICから25分ほど走ったところの丹生湖のほとりのミラベルというレストランでランチを食べた後、妙義神社を参拝した。妙義神社は2度ほどお詣りしたことがあるが、寒風吹き荒ぶこの時期は初めてのお詣りだった。そして次は富岡方面に少し戻ったところにある貫前(ぬきさき)神社を初参拝。この神社は上野国の一之宮であり、自称一之宮ファンとしては外せない神社である。

Nukisakiこの神社は総門が拝殿・本殿よりはるか高いところにある。全国的にも珍しい登って降る参道だ。

ところで今回デジカメにメモリーカードを入れ忘れていたことを2日目の朝気が付いた。一日目はそれとも知らずパチパチシャッターを切っていたけれど撮れた写真はゼロ。失敗は最近デジカメからPCへの画像取り込みをUSBケーブルではなく、メモリーカードのPC直挿しに変えたことだ。この方が画像取り込み速度は速いがメモリーカードの戻し忘れといううっかりミスリスクがある。

さて貫前神社から伊香保温泉までは一般道を走り、途中水沢観音にお参り。最近はワイフと参拝する社寺仏閣の朱印を頂くことにしているので、ここでも朱印を頂いた。理由は忘れたけれど水沢観音では朱印を二つ頂いた。

伊香保温泉では「千明仁泉亭」http://www.jinsentei.com/ に泊まった。数年前伊香保に来た時立ち寄った仁泉亭のカフェがとても素敵だったので、今度は宿泊してみようということになった次第だ。

さて宿としてはどうか?ということになるといくつかの点で私は「?」マークを付けた。一つは古い木造建築のため全館暖房とはいかず、居室や風呂の脱衣場などが結構寒かったことだ。料理は朝夕部屋出し。これは好き嫌いの問題かもしれないが、自分よりかなり年上に見える中居さんにあれこれ動いて頂くのは多少気づまりだったことだ。料理そのものは可もなく不可もなし。ただし卓上コンロで煮た鋤焼きのお肉は味・ボリュームとの満足だった。

翌朝はパワースポットで名高い榛名神社へドライブ。

Haruna1

この時はスマートフォンで写真を撮ったので、榛名神社の写真は何枚かある。

Hyouchuuスマートフォンの写真では迫力は伝わらないが、上から下まで氷結した滝は見事だった。

奇岩が林立する冬の参道は冷えていて、冷気と霊気が伝わってくる。

大昔の人は巨岩・巨木に神霊が宿ると信じ、岩や山そのものがご神体としてあがめられた。

榛名神社の起源もそのようなものだろう。

このように神韻とした自然の中を歩くと、気持ちがピーンとしてくる。

私は特定の宗教にコミットしているものではない。つまりreliegiously unaffiliated(宗教的無所属層)である。世界的にみると「宗教的無所属者」の数は約11億人で、キリスト教徒、イスラム教徒について3番目の集団だ。だが「宗教的無所属層」といっても無神論者から特定の神は信じないけれど、超越的パワーの存在は認めるという人まで幅は実に広い。私は後者に近い考え方だ。

そのような立場は英語ではI am reliegiously unaffiliated but have some reliegious beliefs(私は特定の宗教の信者ではないがいくつかの宗教的信条を持っている)というようだ。ということを覚えておくと、外国を旅している時、宗教の話になっても白い目で見られずに済む。そして何よりかによりこの言葉ほど一般の日本人の宗教観を現す言葉はないだろうと私は思っている。

 

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トルコ中銀、思い切った利上げでリラ防衛

2014年01月29日 | 金融

昨日(1月28日)トルコ中銀はオーバーナイト貸出金利を7.75%から12%に4.25%引き上げた。市場では2.25%から3%程度の引き上げ幅を予想していたからかなり思い切った引き上げだった。この結果下落を続けていたリラは急反発(1ドル=2.253リラから2.2へ)。米国株は新興国の通貨が安定する兆しが見えたことを好感して上昇した。ダウは90.68(0.57%)ポイント上昇して15,928.56で引けた。

米国連銀は昨日・今日2日間FOMCを開催し、金融政策を決定する。最大の焦点は債券買取枠を減らすかどうかで、メインシナリオは100億ドルのテーパリング(量的緩和縮小)だと私は思っている。テーパリングが行われ、新興国に流入していた足の速い資金が流出するという懸念がこのところの新興国の通貨下落を引き起こしていた。このため新興国の通貨安定のために連銀がテーパリングを一時的に延期するのではないかという見方も出ていた。

だがトルコ中銀の通貨防衛に対する強い意志の表す積極的な政策金利引き上げは連銀のテーパリングを援護射撃すると私は感じている。

過去を振り返れば米国連銀の動きは世界中にさまざまな影響を与えてきた。たとえば3年前に始まった債券買取による超金融緩和策が穀物価格の高騰を招き、それがアラブ諸国の社会不安を引き起こし、アラブの春につながったという見方をする人もいる。

おそらく今回のテーパリングにそなえて他の新興国も政策金利の引き上げにより通貨防衛を図ることになるだろう。これは一時的な止血処置としては正しい。だが高金利は当然のことながら経済成長の足かせになる。経済成長の鈍化はまた社会的不安を高める。

米国経済は堅調なのでテーパリングを粛々と進めることは正しい。しかしその影響はまだ続きそうである。

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