昨日(5月30日)の米国株は振幅の後、小幅上昇で取引を終えた。
材料としてはデイスカウトストアのDollar TreeやDollar Generalの株価が大幅に上昇したことや欧州中銀がレポートの中で「欧州経済は成長鈍化しているけれど脱線している訳ではない」とやや楽観的な見方を示したことが好感されたようだ。
またWSJは「トランプ大統領は中間選挙戦を前に中国との貿易問題小競り合いを一旦決着させてある種の勝利を示したいのではないか?」というあるファンドのリサーチャーの意見を紹介していた。
ディスカウントストアの業績が上昇し株価が上がることは、消費者が財布の紐を締めて節約志向を高めた結果と言えるし、トランプが中間選挙を前に貿易問題小競り合いに一旦終止符を打ちたいと考えているというのも推測の世界でそれ程好材料とも思えない。
ただ足元の景気が堅調な中で5月は少し株が売られ過ぎたと考える投資家がいたことは事実だろう。
米国にはSell in May(5月に株を売れ)という格言がある。一般にSell in Mayの部分が強調されるが、この格言にはand go away; don't come back until St Leger day. という後半がある。つまり「5月に株を売れ、そして9月の第2土曜日まで相場に戻ってくるな」というのがこの格言の意味だ。つまり6月から9月前半までは軟調な相場が続くので警戒しろ、ということなのだ。
世の中格言通りに行くとは限らないが、しばらく米中貿易問題小競り合いは続き、中間選挙を前に米国がある歩み寄りを見せて株価が上昇局面に入るという大きなシナリでモノを考えると今年もSell in Mayは当たる可能性があるだろう。
貿易小競り合いは相手から譲歩を引き出すための交渉期間であるとともに、国民に対して「これだけ頑張って交渉したのだから、この辺で妥協しても良いよな」という納得感を求めるために必要なプロセスではないだろうか?
と考えるとしばらく相場を離れて(一喜一憂せずに)辛抱しているというのも一つの投資戦略だろう。