金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

バーゲンハンティングなどで米国株は小幅上昇

2019年05月31日 | 投資

昨日(5月30日)の米国株は振幅の後、小幅上昇で取引を終えた。

材料としてはデイスカウトストアのDollar TreeやDollar Generalの株価が大幅に上昇したことや欧州中銀がレポートの中で「欧州経済は成長鈍化しているけれど脱線している訳ではない」とやや楽観的な見方を示したことが好感されたようだ。

またWSJは「トランプ大統領は中間選挙戦を前に中国との貿易問題小競り合いを一旦決着させてある種の勝利を示したいのではないか?」というあるファンドのリサーチャーの意見を紹介していた。

ディスカウントストアの業績が上昇し株価が上がることは、消費者が財布の紐を締めて節約志向を高めた結果と言えるし、トランプが中間選挙を前に貿易問題小競り合いに一旦終止符を打ちたいと考えているというのも推測の世界でそれ程好材料とも思えない。

ただ足元の景気が堅調な中で5月は少し株が売られ過ぎたと考える投資家がいたことは事実だろう。

米国にはSell in May(5月に株を売れ)という格言がある。一般にSell in Mayの部分が強調されるが、この格言にはand go away; don't come back until St Leger day. という後半がある。つまり「5月に株を売れ、そして9月の第2土曜日まで相場に戻ってくるな」というのがこの格言の意味だ。つまり6月から9月前半までは軟調な相場が続くので警戒しろ、ということなのだ。

世の中格言通りに行くとは限らないが、しばらく米中貿易問題小競り合いは続き、中間選挙を前に米国がある歩み寄りを見せて株価が上昇局面に入るという大きなシナリでモノを考えると今年もSell in Mayは当たる可能性があるだろう。

貿易小競り合いは相手から譲歩を引き出すための交渉期間であるとともに、国民に対して「これだけ頑張って交渉したのだから、この辺で妥協しても良いよな」という納得感を求めるために必要なプロセスではないだろうか?

と考えるとしばらく相場を離れて(一喜一憂せずに)辛抱しているというのも一つの投資戦略だろう。

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「日本三大〇〇」考

2019年05月30日 | うんちく・小ネタ

昨日ブログで「日本三大峡谷」に触れ、その流れで「日本三大うどん」の話を書いた。

今日はさらにその流れで「日本三大〇〇」を考察してみようと考えた。考察というと大袈裟に聞こえるが、実のところは本棚の中にある「『日本三大』なるほど雑学事典」を読み返してみた程度の話なのだが。

その雑学事典に「なぜ日本人は三大にこだわるのか?」というコラムがある。それによると「三という数字は人間にとって馴染み深く、三大の座りのよさは際立つ。区切りでいえば、五大や十大も捨て難いが、すべて覚えて暗証するにはやや多すぎる。」ということだ。

これはある程度納得がいく説明だが、「他の国には三大〇〇はないのか?」ということにも言及して欲しかったと思う。

私の限られた海外旅行の経験からいうと、諸外国で三景、三名瀑などという表現は聞いたことがない。

世界三大河川(アマゾン川・ナイル川・ミシシッピー川)などという表現があるが、これは日本人が勝手に選んだもので、外国では全く通用しない。

以上の点から「日本人は他の国の人より三大〇〇が好き」と私は推測している。

では何故日本人は三大〇〇が好きなのか?ということを考えると、私は三大〇〇にはある種の思考停止機能があるからだ、と考えている。

どこか観光地を旅行したいと思う時、「あそこは三大〇〇だから行こう」「前に三大〇〇の内、2つは行ったから残りのここに行こう」などと目標が立てやすいのである。

そもそも三大〇〇の大部分は「誰がどのような基準で選んだのか」はっきりしないものが多い。いやむしろ根拠がはっきりしているものは極めて少ないだろう。例えば「日本三景(松島・天橋立・宮島)」は江戸初期の儒学者・林春斎が日本国事跡考でこれらの名前を挙げたのが始まりとされるが、これなど出所がはっきりしている例外と考えた方が良い。

従って多く三大〇〇には異説がある。例えば日本三名瀑では「華厳の滝・那智の滝・袋田の滝」をあげる人が多いが、袋田の滝が立山の称名滝や宮城県の秋保大滝に入れ替わっている場合もある。

「類型をまとめるのが好き」というのも日本人の特徴かもしれない。例えば「西国三十三観音」「四国八十八箇所」などだ。最近のものでは深田久弥の「日本百名山」なども類型をまとめたものである。

これら類型をまとめたグループを順繰り訪問することは、広義の趣味の世界で「目標設定とプロセス管理の手間を省く」効果があると私は考えている。

もちろん登山の世界では目標の高いところでは「世界の8千メートル峰に登る」とか「台湾の3千メートル峰に登る」といった数を目標としている人はいる。ただこれらの類型は基準が客観的な場合が多いが、日本の数モノは選定基準があいまいなのが特徴だろう。

あいまいな基準で選択された三大〇〇などが独り歩きし、サラリーマン時代に目標数字に追いかけられて苦労した元サラリーマンが趣味の世界で数字を追いかける・・・・ひょっとするとそこに日本人の特性があるかもしれないし、そもそも人間とはそのようなものなのかもしれない。

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中国製品への関税強化で利益を得るのは、中国の隣国

2019年05月30日 | 社会・経済

WSJにThe real winners from Trump's tariffs are China's Neighborsという記事がでていた。

中国からの輸入品に対する関税強化は、結局台湾・韓国・東南アジア諸国など中国の隣国を利するという見方だ。

この見方の元になっているのは、ニューヨーク連銀のエコノミストが、2018年の関税強化の影響を分析したレポートだ。

それによると25%の関税により米国の一世帯当たりの負担は年間831ドル(9万円強)増えた。これは輸入業者が中国製品の関税分を消費者に転嫁したこともあるが、輸入業者が中国以外の外国からの輸入に切り替えたインパクトの方が大きい。中国の隣国の製品は、関税課税前では中国製品より高くても、25%の関税がかかった中国製品よりは安い場合があるからだ。

それを裏書きする事実として、今年3月に中国からの輸入品は前年比18%減少したが台湾・ベトナム・韓国からの輸入は顕著に増加している。

記事は「中国の東南アジアや台湾に対する今年第1四半期の輸出増加率は加速しているから、中国の製造業者はこれらの国を通じて製品を米国に輸出しているのかもしれない」と述べている。

記事は米国の中国製品に対する関税強化は、米国の輸入製品価格の上昇と中国の雇用悪化を招き、中国の輸出業者が市場シェアを失い、その分関税がかからない隣国がメリットを受けることになる可能性が高いだろうと結んでいた。

米国の政治家は米国民に対して「中国製品に対する関税強化は、家計に幾らか負担をかけるが、中国をアメリカのルールに従わすという戦略目的が達成されると意義あるものだ」という説明を行っている。

だがこの記事を読むと、政治家の説明に懐疑的になる米国人が増えるかもしれない。

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旅は企画が楽しい

2019年05月29日 | 旅行

この週末ワイフと貝掛温泉に泊まり、魚沼近辺を散策することにした。

新緑の季節、どこか山間(やまあい)の温泉に行こうと考えていたが、今回の企画を思いついたのは次のような経緯だった。

  1. 偶々図書館で借りた御朱印の本の中に南魚沼市の雲洞庵の御朱印が素晴らしいと書いてあった。魚沼方面にはスキーではしばしば出かけているが、寺社参詣や観光で訪ねたことはなかったので、この機会に雪のない魚沼を旅することにした。
  2. 少し調べてみるとこの地には「日本のミケランジェロ」と呼ばれた江戸後期の木彫家・石川雲蝶の作品が残るお寺が幾つかある。
  3. 時々居酒屋で注文する清酒・八海山の蔵元が近い。また直営の飲食店もあるのでランチを兼ねて醸造元を訪ねることができそうだ。

色々な観光スポットを効率よく回るには、マイカーが一番だがマイカーの難点は高速道路の渋滞に巻き込まれることだ。ただし魚沼・所沢は高速道路で2時間少々なので、昼過ぎに現地を発つと渋滞に巻き込まれる可能性が少ない。

以上のようなことを考えてマイカー一泊旅行の骨子が決まった。

次はどこに泊まるか?という問題。この方面には越後湯沢温泉や六日町温泉など温泉は色々あるが、マイカー利用のフットワークの良さを利用して山間の貝掛温泉に泊まることにした。ここは「日本秘湯を守る会」の推奨宿だ。秘湯を守る会の推奨宿になると宿代が数千円高くなると経験値から私は判断している。「秘湯」がブランドになり、そのブランド料分が高くなる訳だ。ただしこれまで秘湯を守る会推奨宿に泊まって、期待外れだったことはないので、インターネットで予約した。なお一休.comサイトの料金が一番安かったので同サイトから予約したが、これは偶々安いのか、いつも安いのかは不明。

ところで貝掛温泉は清津川の上流域にある。この清津川を少し下ると(車では石打経由だが)と清津峡という景勝地がある。清津峡は、黒部渓谷・大杉谷と並んで「日本三大渓谷」と呼ばれていると清津峡のHPに書いてあった。

ただしこの手の「日本三大〇〇」は少し要注意。例えば「日本三大うどん」というと「讃岐うどん」「稲庭うどん」「水沢うどん」を指すそうだが、讃岐と水沢では知名度に相当な開きがある。黒部を知っている人は多いが清津峡は知らない人の方が多いのではないだろうか?私の勝手なguessなのだが。

さてこれで一泊二日ドライブ旅行の骨子は固まった。

旅は企画が楽しい。あることを調べているとまったく別のものを発見する「セレンディピティ」効果に出会うのが面白い。

ワイフはスキーをしないので、この方面に一緒に旅行することはなかったが、「スキーシーズンはこんなところに来ているのね」と情報共有しておくことも来シーズンのための下準備である。

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株価のボラティリティ上昇は個別銘柄ピックアップのチャンス?

2019年05月28日 | 投資

WSJにInvestors try stock picking as volatility risesという記事が出ていた。

米中貿易交渉が長期化し、また世界的に政治地政学的リスクが高まる中、米国株の値動きが荒くなっている。

一般に投資家はボラティリティの上昇を嫌う。だが記事は一部の個人投資家が株式相場の値動きが荒い時こそ、個別銘柄を安値で拾うチャンスと考えていると報じている。

大きな流れで見るとリーマンショック前の2000年代は、個別株の動きが産業セクターの株価動向より投資パフォーマンスに影響を与え、それ以降は産業セクターの株価動向が個別銘柄より投資パフォーマンスに影響を与えたことがバンカメ・メリルの調査で示されている。

この流れに変化が出たのが、今年の第1四半期だった。10年ぶりの個別銘柄の影響の方が産業セクターの影響よりも強くなったのだ。

セクター優位というのは、例えばIT銘柄なら何でも上昇するという時代だから、投資家は個別銘柄を物色するよりITセクターをETFでまとめ買いする時代である。個別銘柄優位というのはその逆でIT銘柄の中にも値上がりする銘柄も値下がりする銘柄もあるから、個別銘柄を選択しようとすることを意味する。

ただ私は、限られた資産を運用する個人投資家、特に退職金を運用する人々にとっては個別銘柄に過度に投資することは危険だと考えている。

それは個別銘柄を選択することは容易ではないからだ。著名な投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイでもベンチマークであるS&P500を上回ることは中々難しいのである。

「運用環境が不透明だから、優良個別銘柄を選びましょう」というのは、証券会社の誘惑である。優良個別銘柄に投資するとセクター平均や市場平均を上回るパフォーマンスを上げることができる可能性があるということと、一投資家がその優良銘柄を発掘できるかどうかということは分けて考える必要がある。

個別銘柄選択を否定する訳ではない(実際私も個別銘柄選択でも投資を行っている)が、それは遊びの範囲でやるべきことである。

遊びの範囲とは「投資が成功すれば、海外旅行に行く時ラグじゃリーホテルに泊まろう。でも上手くいかなければ暫く国内旅行で余暇を過ごそう」という程度の余裕の中で遊ぶという意味である。

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