金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

不正送金被害急増!銀行から注意喚起メール

2023年08月31日 | 金融
今日取引銀行から「不正送金被害」に注意するようメールが来ていました。
下の写真は三井住友信託銀行からのものです。
三井住友銀行からは【重要・緊急】入出金を規制させていただきました...などのメールは詐欺です。という注意喚起のメールが来ていました。
今年上期(1月~6月)の不正送金件数が過去最多を更新(2,322件)と送金詐欺被害が急増しているので警察庁や金融庁が旗を振って、銀行に注意喚起のメールを発信させたのでしょう。
 銀行からのメールを読むと「不正利用」とか「入出金規制」等と不安を煽り、偽メールからログイン画面に誘導するようです。
☆   ☆   ☆
ところで不正送金被害防止に関して金融機関側に1つ苦情を申し上げたいことがあります。
 それは「緊急時の連絡先が簡単にわからない」ということです。
 私は今三井住友銀行の普通預金は無通帳にして、キャッシュカードはクレジットカードと一体化したOliveを使っています。このカードには口座番号やクレジットカード番号の記載がありません。また緊急連絡先(電話番号)の記載もありません。Olive切り替え時に「キャッシュカード情報」が送られてきましたので、そこを見るかスマートフォンのアプリからログインすれば口座情報等は分かるのですが、緊急連絡用の電話番号を探すのは簡単ではありません。
 どうするか?というとホーム画面の右上の?マークをタップして、次に現れる画面の【お問い合わせ】をタップします。そうすると「三井住友銀行アプリ」「ワンタイムパスワード」などの項目が並んだ画面が出てきます。その中のOliveをタップします。そして「解決しないため問い合わせをする」の下の「こちら」をタップします。
 そうすると「何にお困りですか?」という画面が出てきて「ログイン」「不審なメール」などのアイコンが出てきますので「不審なメール」をタップします。そして次に現れた画面を下までスクロールすると漸く「不審なメールを受け取った場合」として連絡先電話番号が出てきます。
 そこには「不審メールに誘導され情報を入力された方」へ毎日24時間受付ますと書かれていました。

 さて不審メールに誘導され口座情報等を入力してしまった人がこの電話番号からすぐ連絡できるでしょうか?
 私は「ほとんど不可能」と考えます。何故なら一般的には不審メールに誘導される人は高齢の方などITリテラシーが低い人です。さらに不審メールに誘導にされて、気が動転している時に、ホームページの階層の底に書かれた電話番号に素早く辿り着くのは至難の業でしょう。
 銀行側は、人員削減・コスト削減の観点から電話受付を極力削減しようとして、電話番号をわざと見つけ難い場所に記載しているのです。
免罪符にはなっていますが、これでは詐欺にあった預金者の救済という点では不十分でしょう。
 「キャッシュカードの盗難・紛失・詐欺による不正送金等については直ぐにこちらに電話してください」としてヘルプデスクの電話番号をHPの見やすい場所に掲載する位のことはして欲しいと思いますが、如何なものでしょうか?



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不調の8月、ここに来て米国株3連騰

2023年08月30日 | 投資
 8月の米国株は不調だったが、ここに来て3日連続で上昇した。これは今年3月以降最大の上げ幅だ。
 昨日の株価上昇の一つの要因は労働省が発表した7月の求人件数は6月より338件減少し880万件だった。これは2021年3月以降で最も低い求人数だ。 求人数が減少したとはいえ、失業者数580万人を大きく上回っているので労働市場は強い。しかし金利上昇の影響で、減速感が出始めたというところで、債券利回りが低下した。
 債券利回りの低下は通信サービス、裁量消費セクターなど成長志向セクターの株価を押し上げた。個別銘柄ではグーグルとの提携を発表したNVIDIAの株価が高値引けした。
 WSJによると今年ハイテクセクターの株価は42%上昇し、市場全体(S&P500)17%を大きく凌駕している。
 投資家の中には出遅れセクターへの買いが入るとみている人もいる。
今週は木曜日に発表される個人消費物価指数や金曜日の雇用統計と金融政策に影響を与える経済データの発表が控えている。
 景気の程よい減速とインフレ鈍化が確認されると株価は上昇し、8月の負け分を取り戻す可能性が高そうだ。



 
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ジェロントロジ―(老年学)の箴言集⑥~身体は日々少しづつ労動すべし

2023年08月29日 | ライフプランニングファイル
 江戸時代の儒学者にして医師の貝原益軒の養生訓に「身体は日々少しづつ労動すべし 久しく安座すべからず」という教訓があります。労動というのは体の部分や器官を動かすことで現代風にいうと「毎日体を動かしなさい。じっとしていてはいけません」という意味です。益軒先生は「朝晩体を動かしていると消化や血液循環が良くなり、針や灸に頼らなくても健康を維持できる」と続けています。養生訓には腹八分目や運動のすすめなど今日の医学から見ても生活習慣病の予防や改善に貢献する教えが色々書かれています。もっとも中には現代の医学の知識から見ると的外れなアドバイスもありますが・・・
 このことは現代の医学の知見の中にも、後世的外れだったというものがありうるということを示唆しています。
 しかし「運動が健康に良い」ということは、益軒先生の頃から現代まで変わらない教えですし、これから先も健康寿命を伸ばす上で最も重要な対策の一つであり続けるでしょう。
 ただ健康を維持するのに、どれ位の運動量が必要か?ということについては、色々な研究が行われています。そして健康維持のための運動量のガイドラインも時々変わっています。
 早稲田大学等の研究によると「1日5,000歩~7,000歩歩く運動量が死亡リスクを低下させ、それ以上歩いても死亡リスクは減らない」と結論つけられています。5,000歩歩く時間は40分程度だから厚生労働省が推奨する「+10(プラステン)」の65歳以上は1日40分体を動かそうという運動とも平仄があっています。この研究結果が正しいとすれば、1日1万歩も歩く必要はないということになりますね。
 また米国の保健福祉省が推奨する「身体活動に関するガイドライン2018年」では、成人に対し1週間に150分以上の中強度の有酸素運動(または75分以上の高強度の有酸素運動)および週2日以上の中強度の筋肉トレーニングを推奨しています。
 フレイルの予防には歩くだけではなく、筋肉トレーニングも必要でしょうね。
 ところで日々の運動を阻害する要因がありますね。
 第1はこのところの猛暑です。私はスポーツジムのトレッドミルの中でジョギングをしていますが、自宅からスポーツジムに通う間が暑く、猛暑の日は二の足を踏みます。
 コロナの感染防止でジム内のアクティビティが制限を受けていた時もジムに通う人は相当減っていましたから運動不足に陥っていた人は多かったのではないでしょうか?
 熱中症やコロナ感染は予防できたけれど、運動不足でフレイルになるリスクは高まっているかもしれませんね。
 
 
 
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ガソリン価格の上昇がインフレ疲れのアメリカ国民を直撃

2023年08月29日 | ライフプランニングファイル
 日本でもガソリン価格の上昇は大きな話題になっていますが、アメリカでも大きな話題です。
 WSJにRising Gasoline Prices hit inflation-weary Americansという記事が出ていました。今後のアメリカのインフレ動向を予想する上で、またガソリン価格の動向を予想する上で参考になるところがあるかもしれません。
 記事は最近のガソリン価格の上昇は「歓迎できない昨年の夏の記録的なガソリン価格の上昇をデジャブとして思い出させる」と書き出します。
 現在のガソリン価格は1ガロン3.82ドルと書いてありますから、日本円に換算すると148円/Lになります(1ガロン=3.78L 1ドル=146円として)。
 昨年ロシアがウクライナに侵攻した時、原油価格は1バレル120ドルに達し、ガソリン価格は5ドル/ガロンを超えてきたため、バイデン政権は緊急用備蓄ガソリンを放出してガソリン価格の抑制を図りました。
 その後原油価格は下落しましたが、サウジアラビアやロシアの減産効果で現在の原油価格は1バレル80ドル近辺です。
 ガソリン価格を押し上げている要因は他にもあります。一つは米国の製油所が、コロナ騒動期間中メンテナンスを延期していましたが、今そのメンテナンスに取り掛かっているため、ガソリン生産能力が低下していることです。
 また猛烈な暑さのため、一部の製油所で操業停止が起きていることもガソリン価格の上昇を招いていると分析されています。
 さてガソリン価格の上昇は景気や物価動向にどのような影響を与えるのでしょうか?
 ダラス連銀の経済政策上級アドバイザーのKilian氏は「消費者やビジネスに与える影響は管理可能な範囲」と言っています。一方クリーブランド連銀はガソリン価格の上昇は今月の消費者物価を前月比0.8%上昇させるだろうと推測しています。
 ガソリン価格の上昇がCPIを引き上げ、連銀の政策金利引き上げを後押しする可能性はありますね。
 一方今後ガソリン価格が低下する材料としては、生産コストの高い「夏ガソリン」からコストの低い「冬ガソリン」に変わっていくことで、価格上昇圧力が緩和されると考えられています。
 ガソリン価格は、住居費用やサービス費用に較べるとCPIに与える影響は小さいのですが、人件費の上昇などとともに、生産コスト上昇要因となり、事業者側はコスト吸収のため、雇用圧縮や販売価格引き上げに動くため、景気の悪化要因であることは間違いありません。


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ジェロントロジ―(老年学)の箴言集⑤~勝たむと打つべからず

2023年08月27日 | ライフプランニングファイル
 徒然草に双六(すごろく)の名人が勝負のこつをかたる話があります。
 「勝たむと打つべからず。負けじと打つべきなり。いずれの手かとく負けぬべきと案じて、その手を使わずして、一目(ひとめ)なりとも遅く負くべき手につくべし」というくだりです。
 双六の名人に、勝つためのこつを尋ねたところ、「勝とうと思って打ってはいけない。負けないように打つことだ。どの手でいったら、早く負けてしまうかを考えて、その手は避けて、少しでも遅く負けるような手を選ぶことが大切だ」と語ったということです。
 この話を出した理由は、「負けないような手を選ぶ」ことがシニア時代の資産運用で大切な原則だと考えるからです。
 古い資産運用の本を読むと、高齢者になると株式運用を止めて債券運用に切り替え、更に年を重ねると預金の比率を高めなさいと勧めています。
 しかし我々の平均寿命が伸び、それに伴って健康寿命も伸びてくると、生涯を通じた支出額は増えていきます。以前は想定していたよりも寿命が伸びてくると、それに合わせて資産寿命も伸ばしてやる必要があります。
 シニアになると大部分の人は金融資産の一部を取り崩して、生計費や突発的な支出に充当していくことになります。
 この時ほとんど利子を生まない預貯金からの取り崩しとインカムゲインやキャピタルゲインを生む有価証券投資を行いながら資産の一部を行うのでは、資産寿命の長さに大きな違いがでる可能性があります。
 最近ではかなりのファイナンシャルプランナーなどが、「資産を運用しながら取り崩す方法」を勧めていると思います。
 ただし大切なことは「儲けようと思って資産運用を行わない」ことです。特に負けても取り返す機会があまりないシニアの場合は。
 むしろ「負けないように資産運用を行う」という方針で良いと思います。
 何に負けないようにするのか?それはインフレに負けないようにすることです。20年以上我々はデフレの世界に慣れてきましたが、いま世界のトレンドは変わりつつあります。ロシアのウクライナ侵攻のような動乱の発生、地球温暖化防止のための諸施策に伴うエネルギー等のコモディティ価格の上昇、発展途上国の経済成長に伴う食糧需給のひっ迫など物価押し上げ要因は目白押しです。
 これからしばらくの間は物価上昇の一部を資産運用でカバーして資産寿命を少しでも伸ばすということが必要ですが、欲張りすぎて大きなリスクを取ると資産を棄損する可能性が高まります。勝とうと思わずインフレに負けない程度に資産運用を行うという程度で良いだろうと私は考えています。
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