今日届いたモンベルの会員誌OUTWARDに載っていた対談記事「受け継がれる生命」。対談者は生物学者の福岡伸一氏とモンベル代表の辰野勇氏だ。
この対談のキーワードは「センス・オブ・ワンダー」だ。この言葉は「自然の不思議さに目を見張るような感性」を米国の生物学者レイチェル・カーソンが表現したものだ、と福岡さんは言う。
これを受けて辰野さんは、「ハインリッヒ・ハラ―の『白い蜘蛛」の一説を読んだことでアイガー北壁に心惹かれ、それがセンス・オブ・ワンダーとなった」と述べている。
二人に対談記事を読んでいると福岡さんの場合は小学校時代のアゲハチョウ観察が最初のセンス・オブ・ワンダーとして、原点となり、辰野さんの場合は先人の登山本が登山への関心の原点となった。
そして二人は時々それぞれの原点に立ち戻りながら人生を生きていく。
福岡さんはこのことを「令和の人生100年時代、いつでも自分の原点に立ち戻り、みずみずしい感覚で、後半の人生を生きていくことの素晴らしさを感じました」と結んでいる。
この対談記事を読んで、私のセンス・オブ・ワンダーの一つの原点は雪が降り積もった林の中だと思った。
一番初めに雪が降り積もった林を経験したのは、4,5歳の頃、叔父が鶴居村で営んでいた牧場に冬に馬橇で行った時のことだ。何かのはずみで私は橇から転落し、ふわふわの雪の上に落ちたことを覚えている。
私は抱き上げてくれた叔父の腕の中でニコニコしていたそうだ。
その時雪は柔らかいものだという印象を持ったことを微かに覚えている。
その印象が私のセンス・オブ・ワンダーになった。
この歳になっても、スキーを履いて樹林の中を滑ると生き生きした気分になるのは雪との幼児体験を思い出すからだろう。
そしてその体験はどこかで北の大地を開墾した祖父母の経験に繋がっているので雪の樹林に入るとみずみずしい感覚を覚えるのかもしれない。