金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

集団的自衛権問題でふと60年安保のことが頭をよぎった

2015年06月29日 | 国際・政治

新聞の世論調査によると、安倍内閣の支持率が急低下している。

日経新聞の調査では現在の支持率は47%で不支持は40%。5月時点の調査では支持50%、不支持47%だった。

不支持の理由は大きく括って2つあると思う。第1は政府がこの国会で成立を目指している「集団的自衛権を含む安全保障関連法案に反対する意見」が多いことだ。もう一つは「政府に景気対策や社会保障改革を優先して行って貰いたいが、安全保障問題が優先されて前者がおざなりになっている」と感じている人が増えていることだろう。

この状況はどこか1960年の安全保障条約の批准国会審議に似ているところがある、という思いがふとよぎった。

60年当時は小学生だったので、細かいことは覚えていない。そこで安保後の騒然とした世情の中で岸内閣

の後を引き継いだ池田勇人のことを書いた沢木耕太郎の「危機の宰相」を読み返してみた。

★   ★   ★

1960年1月19日 ワシントンで新たな「安全保障条約」が調印された。・・・野党をはじめ、ジャーナリズムはいっせいに条約に対する疑問を投げかけた。・・・その前年からすこしずつ起こりはじめていた反対運動を支えていたのは、この条約によって再び戦争に巻きこまれるのではないか、捲き込まれるのはいやだという「心情」だった。・・・「自主外交」を目指した岸内閣の思惑とずれ、新しい安保条約が「対米従属」の象徴のようにみなされるようになってきた。

1960年は日米通商条約が結ばれて百年目。それを記念してアイゼンハワー大統領が訪日することが決まっていたが、岸内閣の「安保批准強行採決」が「反安保」運動に火をつけ、アイゼンハワーの訪日は延期され、岸信介は退陣を迫られる。

「安保」に慎重な姿勢を取っていた池田は通産行政に専念していた。そして岸信介辞任後の総裁選では「議会政治と政治家に対する信用を回復し、社会不安の原因を取り除くためには、反対党に対する寛容と忍耐の精神が必要である」「国民総生産を十年後に二倍以上にする」という旗印を掲げて圧勝する・・・・

この60年当時の状況はもちろん異なる。だが幾つか似たような様相のある。安倍内閣はアベノミクスと呼ばれる一連の経済政策~中核は日銀の超金融緩和策による円安と株高なのだが~により、高い支持率を維持し、安全保障関連法案の通過を目指す。安倍首相の頭の中にあるデッドラインは今年の夏だ。なぜなら今年の春米国両院議員前で「約束」をしてきたからだ。

ところが国会での議論は深まらず、違憲であると唱える憲法学者がでてくる。世論調査でも56%の人が集団的自衛権は憲法違反だと考えている。株高には、中国の景気減速・株式相場の暴落やギリシアのデフォルト懸念で陰りが見え始めた。下げ相場が続くかどうかは不明だが。

仮に現政権が安全保障関連法案の強行突破を図るとすると、支持率の一層の低下は間違いない。そして支持率回復は、所得倍増のような多くの国民の希望となるような経済政策を掲げることに頼らざるを得ないだろう。しかし残念ながらそのような名案はない。既に世論の75%は「景気回復を実感できない」と感じている。

安倍首相の母方祖父の岸信介は安保で躓いた。安倍もまた・・・という気がしないでもない。それを避け得るかどうかは寛容と忍耐にかかっている。そして戦争に捲きこまれることを避けたいという国民の「心情」に対し、集団的自衛権を容認しないと戦争に巻き込まれるというのが「真情」であることを国民に説得できるかどうかにかかっていると私は考えている。

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今日、ギリシアの銀行は臨時休業

2015年06月29日 | ニュース

ロイターによると今日(6月29日月曜日)ギリシアの銀行は臨時休業をする予定だ。

IMFに対する16億ユーロの借入金の返済期日が明日に迫る中、先週末リストラ策の国民投票を求めたギリシアのチプラス首相に対し、債権者側は拒否した。このため今日ギリシアの銀行が開店すると大きな取り付けが予測されるからだ。

このブログでは10日ほど前に「ギリシアの銀行が、月曜日にオープンするかどうか分らない」と書いた。その時の月曜日は22日の月曜日だった。それから1週間後の今日本当にギリシアの銀行は臨時休業に追い込まれた。

ギリシアの預金者を人質にしたギリシアのリストラ交渉劇。どう決着するのだろうか?今日は東京市場も少し荒れそうだ。

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昭和記念公園でE-M1を使ってみた

2015年06月28日 | 写真

今日(6月28日)は6月最後の日曜日。朝から晴れ渡り清々しい。梅雨の最中にしては珍しい日だ。クロスバイクで昭和記念公園に出かけ、新しいカメラを使ってみることにした。

昨日届いた教本で一通りのことは頭に入れたが、カメラの操作は使いこまないと身につかない。身についていない操作は、気象条件が悪い時や疲れている時に行えない。良い写真を撮るには日頃からカメラに慣れておくことが必要だ。

日本庭園に行ってアジサイを撮ってみた。

「撮影モード」の中の「マクロ」を使って手前のアジサイをクローズアップした。背景がボケて良い感じになった。

次に小さな滝?でシャッター速度を変えて、水の表現を変える撮影。

シャッター速度1/1250秒、F2.8で水の流れを止めてみた。

次にシャッター速度1/2.5秒、F8(三脚使用)で水の流れを滑らかに表現した。

こちらの方が情感がでている。

次に花の撮影。絞りを開放値2.8、シャッター速度1/2500秒で思い切り背景をぼかした。

次に鴨を撮影。

ズームレンズの望遠側40mm(フイルムカメラ換算80mm)で撮影し、トリミングしたが、鴨の眼に焦点があっていて中々良い感じだ。

E-M1はフラッグシップ機だけあって性能は高そうだ。

その高い性能をどこまで活用できるか?は今後の練習次第である。

 

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オリンパスOM-D E-M1を買いました

2015年06月27日 | 写真

昨日(6月26日)ヨドバシカメラでオリンパスOM-D E-M1を買いました。ここ2,3年山の写真はソニーのNex-6で撮っていたのですが、少し飽き足らなくなり、以前使っていたオリンパスに戻ることにしました。

オリンパスOM-D E-M1を選択した理由は次のとおりです。

1)マクロ・広角・望遠レンズなどフォーサーズ・レンズがマウント利用で活用することができる

2)防塵・防滴機能があり、天候が急変する可能性があるアウトドアでは非常に心強い

3)マイクロフォーサーズなので、高画質でも軽くてコンパクトである

4)フラッグシップ機でも高性能レンズ付きで17万円弱と手が届く値段である。

キャノンやニコンのフラッグシップ機となると、センサーがフルサイズで価格は軽く50万円を超えます。また重たく山歩きに担いでいく気が起きません(私のように山が主、カメラ従の人間にとっては)。

「ザックに入れていく」気が起きるという点ではOM-D E-M1が限界かもしれませんね。

今朝小雨の中庭の草花の写真を撮ってみました。

コロタン(小さなメロン)の実が一つ写っています。

12-40mmF2.8 という付属のズームレンズを使ったのですが、被写体に20㎝まで近づけるので中々の描写力だと感じました。

とりあえず「お任せ」的な機能で撮ってみました。お任せでも十分楽しめるのですが、色々な機能が着いていてカメラ好きの人には飽きが来ないでしょうね。私はカメラは嫌いじゃないけれど、細かいことは面倒という横着な人間なのでどこまで使いこなせるかわかりません(´・ω・`)

付属のマニュアルだけでは簡単に理解できないので技術評論社からでている撮影ガイドブックを買いました。梅雨の間書斎でカメラをいじり、梅雨明けの夏山では活用してみたいと思っています。

余談ながらヨドバシカメラで「価格ドットコムにはこんな値段で売っているところがあるよ」とPC画面のコピーを見せたら、本部に電話をかけて、ポイント還元込でその値段まで引いてくれました。ご参考までに。

 

 

 

 

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中国株、更に5割低下のリスク~弱気論者の見方だが~

2015年06月26日 | 投資

先週13%下落した上海総合指数は、昨日(6月26日)また3.5%近く下落した。

中国株について弱気の見方をするストラテジストの中には、これから更に5割の下落の可能性があると述べる人もでてきた。

CNBCによると、RMG ウエルス マネジメントのリチャードソン氏は「今中国株のバブルがはじけている。個人投資家が牽引してきた急騰相場の結果株価のバリュエーションは2000年に米国でITバブルが崩壊した寸前のレベル以上に過激な状況になっている。中国経済の成長鈍化と企業収益が低迷していることを考えると今後50%の株価下落に可能性があり、我々は中国株から手を引いている」と述べている。

WSJによると過去2年間ほど、エコノミストたちは日本のバブル崩壊と中国の現状を比較し、共通点と相違点を探ってきた。

共通点は、異常に高騰した不動産価格の崩壊とその後の株式の暴落、そしてデフレの進行だ。HSBCによると中国の卸売物価は根深いデフレの4年目に入っている。一方日本の卸売物価はバブル崩壊が明確になる1991年末まで下落を始めなかった。デフレ面では中国の方が深刻かもしれない。

しかし中国と日本の大きな相違点は二つある。一つは経済発展のステージの違いだ。日本は1980年代には人口1人当たりGDPでは先進国レベルに達していたが、中国はまだ1人当たりGDPは中心国レベルだ。中国経済には先進国ステータスにキャッチアップするという伸びしろがある。これは間違いなく中国にとってプラス材料だ。

もう一つの違いは中国は計画経済の様相が強いということだ。これは中国政府が政策面で日本よりはるかに大きな柔軟性を持っていることを意味する。だが一方でそれは金融改革と企業再編が停滞するというマイナス面を持っている。HSBCは日本政府が金融改革と企業再編に真剣に取り組んだのは2002-2004年からだという見方を示している。また企業が本格的に株主の方に顔を向けだしたのは、アベノミクスによるコーポレートガバナンスの強化とスチュワードシップ・コードの導入が大きな契機となったと後世のエコノミストは書くだろう。バブル崩壊から実に四半世紀後の話だ。中国企業がここまで到達するにはどれ位の時間がかかるのだろうか?

私は中国株が5割の下落を見るかどうか判断に迷うが、宴のツケは大きく、中国株の低迷は続くと考えている。

 

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