金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

コロナ禍で「後払い」ブーム、アメリカの話だが

2020年12月31日 | 投資
 コロナはレストランやツーリズムで商売を奪いながら、宅配業者やストリーミング会社などには商売の機会を提供している。金融についていえば、アメリカでは自宅籠りの人がオンラインで株式トレードを行うことが増え、数百万の証券口座が新規に開かれたという。コロナで職を失った人も桁外れに多いが、新しいビジネスの出現も桁外れに多い。それがアメリカだ。そんなアメリカで急速に伸びている金融関連のビジネスが「後払い」Buy now Pay laterだ。日本流にいうと「無金利のショッピングローン」である。たとえばビッグカメラは15,000円以上の買い物をした人が分割払いを希望する場合、提携金融会社のショッピングローンを斡旋し、ローン金利を負担(購入者は無利息)するサービスを提供している。基本的にはBuy now Pay laterも同じ仕組みだ。
 ビッグカメラの場合、オリコがショッピングローンを提供しているが、アメリカの場合、Affirm HoldingsやAfterpay Ltd, Klarna Bank ABなどがファイナンスを提供している。アメリカはクレジットカードのリボルビング払いなど消費者信用の盛んな国だが、コロナで先行きが不透明な中、クレジットカード債務の拡大に慎重になっている。一方商品を販売する方としては多少の手数料を負担しても、販売促進のためにBuy now Pay laterを提供しても良いと考えている。そこに新興金融会社が新しい金融サービスを提供するチャンスを見出した訳だ。
 日米同じような仕組みはあるが、最大の違いはサービスを提供する会社の株価トレンドだ。例えばAfterpayの株価は今年3月には20ドルを切っていたが、12月には120ドルに達している。ちなみにオリコの株価は3月以降110円~120円でほとんど変わらず。
 コロナは色々なビジネスチャンスを生み出し、それを捉えた人は金儲けができるという一例なので紹介した次第。
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葬送アイテムのダウンサイジング

2020年12月30日 | ライフプランニングファイル
 昨日新幹線の中で読んだWedgeの「時流仏流」が東京ビッグサイトで実施された「エンディング産業展」の話を取り上げ、最近葬儀アイテムがダウンサイジングしていると述べていた。
 また葬送業界もエコロジーを意識していて霊柩車もエコになっていると報じていた。実は昨日私は霊柩車に乗ったのだが、その時運転する葬儀社の人から聞いたところ「神輿が乗った霊柩車は現在京都で2台しかありません。この車はアメ車をリムジン型に改造したものですが、最近は国産のハイブリッド車が増えています」ということだった。
 また少子化が進み、一人のお子さんが4人(自分と配偶者の両親)を見送る場合も増えていて、一回の葬儀に100万円かかるとすれば400万円払うことになる、と葬儀社の人の話。
 で実際どの位葬儀費用がかかるか?というと昨日行った母の葬儀費用が70万円程度(お布施は含まず)。棺桶の材質や祭壇をもう少しダウングレードする余地はあったが、まあ家族葬でもこの程度のお金がかかるということだ。
私は葬儀屋さんに「で葬儀費用って遺族が負担するの?それとも亡くなる人が負担するの?」と聞いたところ、昔は遺族の負担が一般的だったが今は互助会方式で本人が積み立てる場合が多いとか。ただしこれは互助会を運営している葬儀会社の人の話なので注意して聞く必要がある。
 自分の経験を踏まえて考えるとコロナは葬儀のダウンサイジングを加速する。元々諸外国に較べて日本の葬儀費用はバカ高い。墓も立派だし、個性的だ。これに較べるとキリスト教の墓は概ね質素で没個性的(もちろん有名な音楽家の墓など立派な墓もあるが)だ。イスラム教の墓はもっと質素で、ヒンドゥ教になると墓はない(火葬して遺骨はガンジス川に流すので)。
 ★  ★  ★
 私は葬礼が宗教を作ったと考えている。その地域地域に適した方法で人は死者を葬ってきた。木のない乾燥した中東では火葬を、湿潤で土葬にすると非衛生なインドでは火葬と川への散骨を、木も水も乏しいチベット高原では鳥葬を、人は選択したのである、おそらく。そしてその後葬礼に意味を与える形で色々な宗教の教義が作られていったのだ。
 
流行りつつあるダウンサイジングを支える教義はあるのだろうか?と考える時、私はヒンドゥ教が良いことに気が付いた。ヒンドゥ教によれば、人間を含む総ての生き物は輪廻転生を繰り返す。肉体は魂の乗り物に過ぎず、いわば蛇の抜け殻のようなものなので、荼毘に付された遺体はガンジス川に流されて終わりである。インドでは荼毘に薪を使うがその煙が公害につながるということで最近は電気の火葬炉を使う動きが始まっているとか。

葬送のダウンサイジングには大賛成だ。だが経済的な理由だけに後押しされたダウンサイジングには危うさと虚しさを感じる。それは葬送のダウンサイジングとともに生きる意味のダウンサイジングにつながる危険性があるからだ。
 ちゃんとした世界的宗教は実はそれ程葬礼に熱心ではないと私は思う。世界的宗教が熱心なのはこの世でどう正しく生きるか?ということについてである。正しい生き方には幅があるが、概ね貪欲や争いを避け、喜捨に努め、敬虔で規則正しい生活をすることがボトムラインだ。

 幾ら豪華な葬式をしても、多くの坊さんを呼んで読経をして貰っても、立派な戒名をつけても、正しい生き方をしない限り良い来世はないという基本に立ち返ることが葬送のダウンサイジングで最も必要なことだと私は思う。そうすれば一日限りで破棄される祭壇にお金をかけるより、そのお金を貧しい国の子供たちの支援に回す方がはるかに功徳があることが明らかになるのだが。
  



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母の死が呼び起こす一族の絆

2020年12月30日 | うんちく・小ネタ
 昨日母の葬儀が終わった。99年も生きると知人・友人はほぼ先に旅立っているので家族葬である。しかもコロナの影響で遠距離からの列席は控えたので小さな見送りとなった。
 そんな中アメリカに住んでいる従兄弟からお悔やみのメールが来た。アメリカに住んでいる娘に母の死を伝えて欲しいと連絡していたからだ。
 この従兄弟は小学生の頃父親について渡米して以来アメリカで暮らしているので日本語はほとんど分からない。英語でメールを書くのは億劫だし、書くほどの用事もないのでご無沙汰が続いているが丁寧なお悔やみだった。
 メールの趣旨は次のようなものだった。「伯母さんの死をニュースを聞いて大変悲しい。私たちが古いお寺(私の実家)で遊んでいる時伯母さんがしばしば僕たちの上で笑っていたことを忘れないだろう。伯母さんは僕の日本における子供時代の最良の思い出の一部である」
 私はお礼の返事の最後に「億劫相別而須臾不離」という大燈国師の言葉を添えた。言葉の意味は、非常に長い間離れていても真理を体得した人(大燈国師と国師を師と仰いだ花園上皇)の間では心はいつも寄り添っているという意味だ。
 遠く離れて暮らす従兄弟と心が寄り添っているというのは言い過ぎだが、母の死が従兄弟に遠い昔の日本の思い出を呼び起こし、それが反響して私はまた日本に帰国する度にハイカラなアメリカの土産を持ってきてくれた叔父のことを思い出していた。
 私はサラリーマン時代に数年間ニューヨークで仕事をしたことがあるが、さしたる違和感や抵抗感もなく彼の地で過ごすことができた。これは叔父一家が長く彼の地で暮らしてきたという一種の親近感の賜物だったと思う。
 縁(えにし)は深いものである。
 
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母の最後の気遣い?別れにGoToキャンペーン

2020年12月28日 | うんちく・小ネタ
昨日母が亡くなった。同居の弟から危篤の連絡があり、新幹線に飛び乗ったが車内で息を引き取ったとメールを受けた。最後の数ヵ月は入院しコロナで面会ができなかったのが残念である。車内からbooking.comを使って実家に近いホテルを予約した。するとGoTo割引が適応されている。「あれ?GoToは停止じゃないの?」と一瞬思ったがGoTo停止は今日28日から。またもし数日前に亡くなったとすると仕事の関係で少しばたばたしただろう。99才の母はタイミングの良い時に亡くなったのである。生涯自分のことよりも、家族や周りの人への気遣いを心掛けた母らしい最後だった、と思う。
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1年を締め括る入笠山登山

2020年12月26日 | 
 今日(12月26日)山の会のメンバーと入笠山(1955m)に登ってきました。富士見パノラマリゾートのゴンドラ終点から往復2時間のスノーハイキングでしたが、快晴の下、富士山、南アルプス甲斐駒ヶ岳、八ヶ岳連峰の景色を堪能することができました。(10時30分ゴンドラ山頂駅出発11時26分山頂12時30分ゴンドラ山頂駅に戻る)
 入笠山には何回も登山をしていますが、いつも晴れていたと記憶しています。この辺りは晴天率が高い地域なのですで。
入笠山には広い雪面の右端の尾根から山頂を目指します。少し傾斜がきつい直登ルートと尾根を回り込んでいくルートがあります。私たちは直登ルートを登って回り込むルートを降りました。
頂上です。バックの中央アルプスは雪雲の中です。
富士山と甲斐駒ヶ岳。雪が少ないです。日本海側では大雪が降っていますが、雪はそこで止まっているようです。
広い雪の斜面を自由に歩くのがスノーハイキングの醍醐味です。
コロナでアウトドア活動も随分制約された1年ですが最後に絶景を楽しみ少し溜飲を下げた一日でした。
山は良いですね。山を歩いていると風に吹かれて魂が清々しくなっていくと感じますね。
帰りに近くの日帰り温泉「ゆーとろん水神の湯」で冷えた体を温めて帰りました。ぬめりのある良い湯でした。またシニア割引(一般9百円に対し70歳以上は5百円)があったのもうれしいですね。
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