米国の投資家の間では「連銀はいつ政策金利の引き下げに動くか?」ということが話題になり始めている。
金利先物市場では4月30日ー5月1日に開催されるFOMCで連銀が政策金利引き下げを決定する可能性が10%程度あるということを織り込んでいる。
投資家の間で政策金利引き下げの可能性が話題になっているのは、国債の流通利回り、つまり長期金利が急速に低下して、長短金利の逆転現象が起きているからだ。昨年の秋に3.2%を超えていた10年国債利回りは、2.37%まで低下し、3ヵ月短期国債利回り2.43%以下になっている。
長短金利の逆転はリセッションの予兆と言われているから、連銀が早めに金融緩和に動くだろうという思惑が働く訳だ。
もっともダラス連銀のカプラン総裁は「政策金利引き下げを考えるのは早過ぎる。金利引き下げを考えるには少なくとも数ヶ月にわたり、長短金利逆転現象が続く必要がある」と市場の勇み足に水を差している。
だが長期金利の低下は利回りを求める個人投資家の選択を狭めている。
WSJはRates are low again. Where should you put your cash?~再び低金利、どこに現金を投資すればよいか?~という記事で低金利時代の投資対象を示唆していた。
一つは金利の高い銀行口座の選択だ。現在マネー・マーケット・アカウントの平均利回りは年0.21%だが、アメリカン・エクスプレス銀行などいくつかの銀行は2%を超える金利を提示している。ただしこれらの銀行の金利は連銀が政策金利を引き下げると引き下げられるリスクがある。
消費必需品企業~プロクターアはンドギャンブルやコカ・コーラなど~に特化したETFへの投資を推奨するファイナンシャルアドバイザーもいる。消費必需品企業の配当利回りは3%程度はあるので、国債利回りを超える配当利回りが期待できるからだ。
3.7%の配当を出すバンガードのリートのETFも投資対象。
またあるファイナンシャルアドバイザーは、4%~6%の利回りがでるインドやブラジルの債券も投資対象だと推奨している。更にはハイイールド・ファンドを推奨するアドバイザーもいる。
もっとも国債利回りを大きく超えるような投資商品は、元本棄損リスクや流動性リスクが伴っている。
このあたりは米国の方が投資商品の種類は多いとは言え、日米同じ状況である。
「10年で2%を超えるなら国債購入で良いのでは?」と考えるのは、インフレ懸念に乏しい日本の投資家の見方だ。
2%近いインフレが起こりうる米国では低利回りで資金を長期間固定することは資産が目減りすることを意味する。
インフレヘッジ力と利回りのバランスということでは、個人的には消費必需品ETF(または個別銘柄)はこの時期ポートフォリオに組み入れてよいと考えているが如何なものだろうか?