金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

消費税はたいした問題なのかどうか?

2012年10月31日 | ニュース

東京都知事を辞任した石原慎太郎氏が「原発や消費税はたいした問題ではない」と発言したことが、波紋をよんでいる。どんな人のいかなる発言もその発言がいかなる流れと文脈の中でなされたものか?ということを踏まえて評価しないと的を外すことになる。

私は石原氏がどのような文脈の中で何が本意でこのような発言をしたのか知らないし、深く調べるつもりもないし、このことで石原氏を批判するつもりも評価するつもりもない。

ただ消費税の問題はたいした問題なのかどうか?ということを自分なりに少し考えてみた。なお原発問題はかなりtouchyなのでここでは触れない。

まず非常に大きく振りかぶって「政治にとって何が大事な問題なのか」ということを昔の人はどう考えてきたか?ということを考えてみた。

論語の顔淵第十二の中に孔子とその弟子の子貢の次のような会話がある。

子貢が孔子に政治の目的を聞いた。孔子は「食を足し、兵を足し、民之を信ず」と応えた。政治の目的は国民の生活を安定化し、国民の命を支える食料を十分に供給すること。兵備を整え外敵に備えること。国民に規範を明らかにして政府を信じて叛くことがないようにすること。」という意味だ。

子貢は重ねて質問した。「やむをえないことが起きてどれかをgive upしなければならないとすれば何を放棄しますか?」 これに対して孔子は「兵を捨てよう」と答えた。子貢は更に質問する。「残る二つつまり食と信のいずれかを捨てるとするとどうしましすか?」これに対する孔子の答は「食を捨てる」だった。中国哲学の泰斗・宇野哲人氏の論語新釈によるとその理由は「食を捨てよう。民は食がなければ必ず死ぬ。しかし、死は古(いにしえ)から人みな免れられないものである。民が我を信じなければ、民は生きていても自立することはできない。むしろ死ぬ方が安心である」ということだ。

「食の確保」は現代でいうと「社会保障とその資金源の税金・社会保険料の確保」の問題を含む。だが孔子はそれよりもなお政治に対する信頼が重要だというのである。解釈を加えるならば、税金の増減よりも税金が正しく使われるかどうかということに対する信頼の方が重要だということになる。

次に消費税引き上げの問題を考えてみると「税収を増やさないことは分かった。しかし個人のふところを直撃する消費税を引き上げるべきではなく法人税を引き上げるべきだ」という類の議論が起こりうると考えられる。しかし法人税を引き上げるとその財源捻出のために企業は製品の値上げか人件費を中心としたコスト削減かあるいは配当金の削減という施策を取らざるを得ない。

製品の値上げは消費者のふところを直撃し、人件費の削減は給与所得者の手取りを減らし、配当金の削減は年金基金の収入低下を通じて現在および将来の年金受給者を直撃するのである。

石原氏がこのようなことを踏まえて消費税は対して問題ではないと発言したのかどうかは知らない。

国として一番大事なことは何か?ということに対する孔子の意見を現代流に解釈すると「その国で働き暮らす人に安心と将来に対する希望と信頼を与えることが一番大切なことで、税率やその徴収方法は二の次の問題である」ということになる、と私は考えている。

財政再建と社会保障を賄うためには、税収増は避けられない話だ。前回総選挙では「埋蔵金」と「無駄の削減」で増税回避を掲げ政権を奪取した民主党。だが多少なりとも国の財政を眺めた人間であればそんな話が夢物語であることは分かりきっていたはずだ。分かった上で旗を振っていたとすると国民に対する欺瞞だし、分かっていなかったとすると国政のアマチュアであり、どちらにせよ国民の信頼を失ったことには変わりはない。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グーグルのNexus10、直感的には買得だろう

2012年10月31日 | デジタル・インターネット

今週月曜日にグーグルは新しく10インチのタブレット(サムソン製)と4インチのスマートフォン(LG製)を販売すると発表し、あわせてNexus7をアップグレードすると発表した。

つい今月Nexus7を購入したばかりなのに、もう新製品の投入とアップグレード?と疑問を感じないでもないが、タブレット市場が電子端末の主戦場になりつつあるので、グーグルも戦力を集中運用する方針なのだ。「兵力の逐次投入」は戦略論上もっとも忌むべきこことでグーグルの判断は正しい。アップルを追随するグーグル・サムソン連合軍は「高品質なものを安い価格で提供する」戦略をとる。もっともどこまでその戦略を取り続けられるかは体力次第だが。

個人的にはNexus7を購入したばかりだし、コストパフォーマンスに結構満足しているので10インチタブレットNexsus10をすぐ買うつもりはまったくないが、直感的には幾つかの理由でユーザにとっては買得な商品だろうと私は思う。

第一は価格だ。Nexsus10のダイレクトな競合相手はiPadだが、Nexsus10の方が100ドル安い。次は画面の解像度が極めて高いことだ。また最近10インチタブレットをPCの替りに家族間で共用する動きがでているが、ユーザ別のアカウントを設定できることもNexus10の強みだ(iPadにはこの機能はないそうだ)。

グーグルのオンラインショップサイトGoogle Playは提供サービスの内容で競争相手に見劣りしていたが、最近ワーナー・ミュージック・グループと提携したのでアンドロイドユーザは巨大なMP3のカタログを手に入れることができるようになる。

先行するiPadに加え、グーグル、アマゾン、マイクロソフトが激突する様相を示す10インチタブレットの世界。10インチタブレットが充実すると高くて使い勝手の良くないPCは駆逐される可能性がある。

もしPCを買い換える予定があるなら、1,2ヶ月待ってみたらどうだろうか?ぐんと選択肢が増えるはずだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ユガテから日和田山を早歩き

2012年10月30日 | 

10月30日曇、11月に任意団体ながら設立予定の相続学会の準備などやらねばならないことはちょっとあるが、トレッキング前の最後の足慣らしに西武秩父線の東吾野の北側の山を歩いてみた。

長年西武沿線に住みながら、この辺りの山は歩いていない。標高400m程度の山なのでもう少し年をとってから歩いても良いと考えていたからだ。だが雨具やヘッドランプ等山道具は宅配便で空港に送ってしまったので、今日は手頃な奥武蔵の入口を山を歩くことにした。

10時55分東吾野駅出発。駅から国道を渡ると「虎秀」という曰く因縁ありそうな地名にであった。後で調べてみると「ヒデトラ」と読むのではなく「コシュウ」と読むそうだ。舗装された林道をドンドン登っていき、11時40分「ユガテ」の表示に出会った。ここで車道を離れて「ユガテ」と呼ばれる2軒の農家が建つミニ高原・奥武蔵の別天地と呼ばれるところに行くべきだったが、そのまま車道を進んでしまった。途中で気がついたがルートは「北向地蔵」で一緒になるのでそのまま進む。12時10分北向地蔵到着。

「hiwadahike.pdf」をダウンロード

Kitamukijizou

小さな地蔵堂の脇に立て札があり、由来が書いてあった。「天明6年(1786年)流行した悪疫を防ごうと野州(栃木県)の岩船地蔵を招来したので北を向いている。現在は男女の逢瀬にもご利益あり」とのこと。

東吾野からここまで5.5kmの坂道を1時間17分時速4.3kmで歩いてきたらかなり汗をかいた。私は日頃は汗をかかない程度の速度で歩くことを目標にしている(無論暑い日は大いに汗をかくが)。しかし今日はトレーニング目的で汗をかくことにしてピッチを上げて歩いた。北向地蔵で軽くランチを食べて、物見山(375m)へ向かった。物見山到着12時42分。「物見」の名前に反して眺望は良くない。昔は木が小さかったのか?

Monomiyama

日和田山(305m)到着13時17分。こちらは眺望良し。頂上から少し下ったところにある鳥居の向こうに高麗の郷が見える。

Hiwadayama

Torii

鳥居の下は岩場の「男坂」で危険とある。日頃ならホイホイ降りるのだが、万一足でもくじくとトレッキングに影響するので左手の「女坂」を下ることにした。

高麗川を渡る時彼岸花で有名な巾着田が見えたが、花はかなり前に終わり、秋色が濃かった。

Kinnchakuda

13時46分高麗駅到着。北向地蔵から5kmの道を1時間25分で歩いたことになる(日和田山での休憩を含む)。ユガテの桃源郷をパスしてしまうというミスはあったが、早歩きの良いトレーニングをした半日だった。冬でもこの辺りは陽溜りの山だ。天気が良くて空気が乾いた日にまた歩いてみよう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヒマラヤの地図届く空高し

2012年10月29日 | 

ネパールトレッキングまで1週間を切った。渡航保険などの手続きも済ませ、ほぼ用意は済んだが一つ気懸かりがあった。それはアマゾンで注文した地図が中々送られてこないことだった。Trekking in the Nepal Himalayaという英語のガイドブックの中に地図名があったので、アマゾンに発注してが到着予定日を過ぎても届かないので、ちょっと気をもんでいた。

ネパールにトレッキングに行く連中が総てこの1:125,000の地図を持っていくかどうかは知らない。おそらく詳細な地図がなくてもガイドについて歩けばなんとかなるのだろうが、それでは面白くない。山屋には地図は必需品だ。

Map

その地図が今朝届いた。今日は素晴らしい秋晴れで空が高い。

1週間後のカトマンズや僕等が旅するランタン谷の上には更に高い空が広がっているだろう。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

グーグル、即日配送を試みる

2012年10月29日 | うんちく・小ネタ

米国でグーグルが即日配送を試みている、という投稿記事がニューヨーク・タイムズに出ていた。グーグルのスポークスマンはコメントを拒んでいるが、事情通によると少なくとも1社の全国的なアパレルチェーンが関与して即日配送プロジェクトを試験しているという話だ。

米国ではウォールマート、アマゾン、eBayなどが即日配送を目指しており、グーグルもその仲間入りを目指している格好だ。だがグーグルは自前で巨大倉庫を抱えるアマゾンとは異なり、自ら配送業務を行う意図はないということだ。

話は個人的な経験になるけれど、オンラインショッピング特に衣料品のショッピングでありがたいのは、即日配送より「無料で簡便な商品交換サービス」だと私は思っている。

私が時々利用するランズエンドは「翌日配送」だが「楽替」といういわば試着サービスを行なっている。これはオーダーした商品のサイズやイメージが合わない時、「サイズ交換はもちろんのこと他の商品との交換もできる」というサービスで、返却品は交換注文する商品を持ってくる宅配業者に渡すだけで良いというものだ。

幸いなことに?私はまだこの「楽替」サービスを利用する状況には陥っていないが、このようなサービスがあるということで安心して買い物ができることは事実だ。

デリバリーの速さに加えて、色々なサービスが通販業者の競争力を高める。ランズエンドの商品はファッション性は乏しい。つまり流行り廃りにあまり影響されないっものが多い。しかし衣料品としての質の高さ(たとえば洗濯で型くずれしたいなど)や着心地は相当なものだ。

通販で顧客層を拡大・維持するのは、商品の質の高さが一番で、即日配達等のサービスはその次の問題だろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする