金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

雲の中の蔵王登山

2016年08月31日 | 

8月28日(日曜日)曇りところにより晴。

始発(8時30分)の蔵王ロープウエイにて樹氷高原駅へ向かう。山麓駅付近はガスが深いがホワイトボードを見ると山頂駅は晴になっている。実際ゴンドラに乗り換えて標高1,500m付近まで上昇すると雲の上にでた。山頂駅は晴れている。

8時55分地蔵山の東側をトラバースしてワサ小屋跡を通り熊野岳山頂に向かう頃になるとまたガスが濃くなってきた。

雨は降っていないが風が吹くと服が濡れる。雲の中を歩いているのだ。雨具の上衣をつけて強い風の中を歩き続けるとぼんやりと山頂の神社が見えてきた。

10時10分山頂到着(1844m)。

深田久弥の百名山によると「陸奥(みちのく)をふたわけざまに聳えたまふ蔵王の山の雲の中に立つ」という斉藤茂吉の歌碑が立っているそうだが、見当たらなかった(見つける気もなかったが)。

ガスが濃く風が強いのですぐに下山することにした。

ところで茂吉の句にある「陸奥をふたわけざま」だが、熊野岳は大分水嶺上にある。百名山の中で大分水嶺上にある峰は意外に少ない。東北地方では蔵王(熊野岳)と吾妻山(東吾妻山)でその次にくるのは那須岳(三本槍ヶ岳)で、分水嶺は尾瀬を通り至仏山へと続いていく。

ということで中々貴重な山なのだが眺望はまったくなく、お釜を見ることもできないまま下山に向かった。

ところが地蔵岳に近づくとその一角だけが晴れていた。

帰路はトラバース道を通らず地蔵岳山頂を通って山頂駅に向かった。

駅に着いたのは11時20分頃だった。

蔵王山は登りやすい山である。東北の百名山の中では八幡平・岩木山についで三番目に登りやすい山だと私は思っている。

この山はスキーを楽しみ、天気を見てシールで登るのに適した山なのだろう。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

旅先で読んだ「退職歓奨」読後感

2016年08月31日 | 本と雑誌

2泊以上の旅ではキンドル本を読むことにしている。その方が荷物が軽くなるからだ。先週末山形から横手に旅行する前にキンドル本を2冊タブレットにダウンロードしてでかけた。

その中の一冊が江上剛氏の「退職歓奨」という短編小説集である。タイトルは「退職歓奨」であって「退職勧奨」ではない。「退職勧奨」はリストラ等のため、会社が従業員に自主退職を勧めることだが、この短編集の主題は定年年齢に近いサラリーマンが新しい生き方を選択することで自分の人生と妻との関係を取り戻すというもので、それ故「歓奨」という言葉が使われたのだと思った。

ふと選んでダウンロードした一冊(キンドルunlimitedという定額読み放題サービスを使っているので「外れ」であっても損はない)だが、後で考えてみると、今回の旅の目的の一つである横手の酒蔵の社長Sさんと会うことから無意識ながらこの一冊をピックアップしていたような気がする。

Sさんは銀行時代の3年先輩で大阪地区の某支店の支店長をしていた時、ご実家の酒造業を継がれるため中途退職された方である。

家業を継がれた後一度お会いしたことがあった。その時Sさんが「人事部に然々(しかじか)の理由で退職したいと話にいったら、いとも簡単にOKしてくれたよ。内心少しは引き止められると思っていたのだが」と話していたことを思い出した。

Sさんが退職されたのは今から17,8年前のこと。つまり1990年代の終わり頃だ。当時は山一證券や拓銀の破たんで金融界は騒然としていた。人事部は会社の生き残りのためリストラ策を進めていたので、Sさんのように自主退職を申し出る人は大歓迎だったのだろう。

Sさんは人望の厚い親分肌の人で本来はもっと銀行に残るべき人だと私は思っていたが、当時の人事部や経営陣にはそんなことまで考える余裕がなかったのかもしれない。

さてそのSさんは旧銀行のOBを含む我々一行を大歓迎し、自宅の内蔵(母屋の後ろに隣接した土蔵で母屋と一緒の上屋で覆われている)をはじめ、増田町の内蔵を案内してくれた。

家業は順調で跡取りの息子さんも一緒に働き始めて3年になるという。Sさんの場合は退職歓奨だったといってよさそうだ(無論社長として事業を運営される上でのご苦労は多かったと思うが)。

だが継ぐべき家業や手に職のないサラリーマンの場合、必ずしも退職は歓ぶべきものではない。

「退職歓奨」の中に「ハローワーク」という短編がある。信用金庫で41年間勤務した男性が定年退職し、妻の強い奨めでハローワークで職探しをする話だ。妻は妻はのんびりしようと思っていた主人公に「ボケます。あなたなにか趣味がありますか?仕事ばかりで・・・」と言い、少し前に退職した先輩が朝から酒浸りになり体を壊し入院したと伝える。

男はしぶしぶハローワークに出かけるが、担当者から再就職の厳しい現実を突き付けられ気持ちが折れてしまう。

男はそこでアルコール依存症になった先輩を訪ねた。

先輩を男を諭す。「所詮、サラリーマンはサラリーマンだ。朝起きて、仕事に行く、定められた仕事をこなし、帰宅する。この繰り返を絶対に崩すな。このパターン化した生活が心の安定をもたらすのだ」

「仕事なんてどんなものでもいいじゃないか。・・・働かせてもらっていると感謝すればいいんだ。退職したら趣味三昧で暮らそうなんて思いあがったことを考えたのは、この感謝の思いがなかったのだ」

話はここで終わる。娘が一緒に退職祝いをしようと自宅にくるという妻の電話を受けて男は深々と礼をして先輩の病室を去る。男がハローワークで職をえることができたかどうかはこの短編の射程範囲には入っていない。

★   ★   ★

旅行中に山仲間の後輩から近々予定していた飲み会をキャンセルしたいというメールが入った。少し前に飼い始めた子猫が死んでしまってそのショックが尾を引いているという。彼は定年再雇用でまだパターン化した生活を続けているが、心の安らぎを求めて飼い始めたペットが不幸に見舞われたことで一時的にせよかえって安らぎを失ったとようだ。生きていくことは楽なことではないとないと感じた。

釈尊は「人生は苦である」と教えた。最近英語の仏教書を読んだところ、「苦」とはsufferingだけではなく、unsatisufactory(不満足)を意味するという解説があった。今の自分に満足できないから苦しみが生まれるという意味だ。

人の中には安定を求める気持ちと冒険を求める気持ちが同居していると思う。その割合は個性やライフステージによって異なるだろうが。

パターン化した生活が心の安定を生み、心の安定が満足につながるとすれば、退職というのはサラリーマンの生活パターンからより自由時間の多い生活への移行transitionということができる。定年後しばらく仕事をしても死ぬまで続けるわけにはいかないだろうから、いずれはtransitoinを経験しなければならない。金銭的な話を別にすれば、その時期が多少早いか遅いかという問題である。

退職歓奨とは新しい生活パターンを作り出すことに他ならない。そしてそこには一つ正解はない。正解は人の数ほどあるというべきだろう。

★   ★   ★

出版した電子本

「人生の山坂の登り方・降り方」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LYDWVPO/

「インフレ時代の人生設計術」 B00UA2T3VK

「海外トレッキングで役に立つ80の英語」

「英語の慣用表現集」 http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00LMU9SQE/

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山形・霞城公園を歩く

2016年08月31日 | 旅行

先週土曜日(8月27日)蔵王温泉に行く前に山形駅に近い霞城公園を歩いた。

霞城公園は山形城の二の丸遺構を中心とした公園で周辺に最上義光歴史館や済生会病院の建物などがある。

公園の入り口には最上義光の銅像がある。重さ5トンの銅像を馬の二本の後ろ足で支えるにはかなり高度な技法が必要だったとボランティアの案内者が教えてくれた。最上義光という武将については詳しくしらないが、私の中には謀略好きな梟雄というイメージがある。

関ケ原の戦いで西軍についた上杉勢は最上勢を従えて東軍と戦おうとするが、最上勢は様子見を決め込んで動こうとしない。そこで東の関ケ原と呼ばれた長谷堂の戦いが起きる。長谷堂の戦いは直江兼次と最上義光が激突した戦いだが、大河ドラマなどで直江兼次の爽やかさが強調された結果義光のイメージは割りを食っているかもしれない。

山形城址に本丸はない(元々天守閣はなかったようだ)が二の丸遺構の石垣や堀は見ごたえがあった。

特に石垣の稜線は美しい。下の写真は復元が進んだ本丸一文字門だ。

旧済生会病院である。

最後に最上義光記念館を訪ねた。入館料無料でボランティアの方が熱心に説明してくれたのが印象的だった。

最上義光という武将についてはもう少し勉強してみたいと思いながら霞城公園を後にして蔵王温泉に向かった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

増田で内蔵を見学

2016年08月30日 | 旅行記

日曜日(8月28日)に蔵王山に登った後、足を伸ばして横手市増田町に向かった。

ここには元の会社の先輩が経営する造り酒屋さんがある。日の丸醸造だ。http://hinomaru-sake.com/

増田の奥の上畑温泉・さわらびの湯http://www.sawarabinoyu.com/に泊まって翌日増田の町で内蔵を見学した。

内蔵というのは母屋の背後にある蔵で上屋で覆われている。雪が降っても蔵との行き来ができるようになっている。

まずは日の丸醸造の酒造現場と内蔵を見学。ここが内蔵の入り口だ。

蔵は2階建てだ。豪雪に耐えるために柱の間隔が狭い。それが造形美になっている。

物置に使われていた2階に登る階段は急だ。

100mほど離れた山吉肥料店さんの内蔵も見学させていただいた。ここのご主人はとても説明がお上手。

多くの人が見学に訪れているのだろう。

内蔵の装飾は防犯・防火等の実用性に美的感覚を加えたもので素晴らしいものだ。

横手は夏の花火や冬の雪まつりで有名なところだが訪問するのは今回が初めてだった。花火は宿の確保が大変(人口6万人の町に60万人の花火見物客が押し寄せるという)だが、雪まつりの方は何とかなるのではないか?などと早くも次の旅を企画したくなる町だった。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イエレン、フィッシャー発言で市場は金利引き上げを予想か?

2016年08月27日 | ライフプランニングファイル

昨日(8月26日)ジャクソンホールでのイエレン連銀議長の発言主旨は「連銀の政策金利引き上げの条件は整いつつある」としながらも、引き上げの時期を明確にしなかった。その後フィッシャー連銀副総裁は来週発表される8月の雇用統計が金利引き上げ決定に重要な意味を持つよ発言したことから、市場は金利引き上げが大方の予想の年末より早い可能性もあると考えたようだ。

株式市場ではダウとS&P500が若干下落し、ナスダックは若干上昇した。

敏感に反応したのはドル円為替でドルは101.80円まで買われた。ただしショートカバー等で飛び跳ねた可能性があるからこの水準が維持されるかどうかはわからない。

このところ市場は昨日のイエレン議長の発言を待って小動きに終始していたが、次の大きな材料は来週の雇用統計になった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする