先週北朝鮮は「豊渓里(プンゲリ)の核実験場を廃棄する」と発表した。同時に大陸間弾道弾の発射実験も中止すると発表していたから、南北サミットやトランプ・金会談に向けて、殊勝な準備を進めていると思っていた。
だが今日WSJを見ると「北朝鮮の核実験場は実験場の山の中の地下坑道の大崩壊で使用不能になっていると中国の地震学者が述べた」と報じている。
昨年9月の北朝鮮の最大級の核実験の後、日本のメディアは「地下坑道崩壊で200名以上の死者が出た」と報じ、北朝鮮はこれは虚偽報道だと猛反発していた。しかし中国の地震科学者の研究は「地下坑道の大規模な崩壊」説の信ぴょう性を高めるとWSJは報じている。
中国の地震科学者による研究は、中国および中国外の観察点で、核実験時の最初の揺れ(マグニチュード6.3)と8分後の小さな揺れ(マグニチュード4.1)を分析した結果、2回目の小さな揺れは核爆発や地殻変動によるものではなく、地下坑道の大崩壊によるものだ結論付けた。
9月の核実験後の衛星写真によると、実験場の上のマンタップ山の頂上が低くなっていることが分かるそうだ。
地震科学者によると、もし仮に次の核実験を行うと「環境面での大惨事を引き起こすだろう」と警鐘をならしている。
この分析が正しいとすれば、北朝鮮は今後核実験を行うことができなくった(少なくとも今まで使用していた場所で)ので、地下坑道の崩壊が大々的なニュースになる前に、対韓国・対米国との協議を進めることを急いでいると判断することができる。
もっともこの程度の情報は米韓とも知っているはずだから、北朝鮮の核実験場廃棄は交渉材料にはならないだろう。
米韓にはより踏み込んだ北朝鮮の譲歩を引き出して欲しいものである。