金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

しばらくブログを休みます

2008年03月16日 | ブログ

北の旅人の娘です。

北の旅人は、先週から肝膿瘍(かんのうえん)で入院しています。

順調に治療は進んでいますが、退院は来週以降になりそうです。

しばらくブログをお休みします。

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都会でもテレビ電話診療で事足りる?

2008年03月09日 | 健康・病気

先週金曜日に風邪で近所のT医院に行った。ワイフはあそこはヤブだからSクリニックの方が良いという。どうしてヤブか?と聞くと「私は子供のとき扁桃腺をとったにもかかわらず、T医院で扁桃腺が腫れていませんね」と言われたからだとワイフの弁。しかし私は敢えてT医院に行った。何故ならSクリニックは混んでいるが、T医院は空いているからだ。

朝は熱が高すぎてとても病院に行く気がしないので、少し熱が落ち着いた午後の開業(3時)合わせてT医院に行くと5分位で診察を受けることが出来た。先生は熱の状態を聞いて、喉をチラッと見た。念のためインフルエンザかどうか検査しましょうと言って、鼻の粘膜に試験薬が着いた細い棒を挿入する。その結果待ちに10分位。早いことは早いのだが、診療に丁寧さがない。昔の記憶ではお医者さんは聴診器を当てたり、指で胸を叩いたり、お腹を押さえる触診をしたりと色々やってくれた。そして好きではないが注射をしてくれた。注射は痛いけれど、その分早く治る気がした。今は風邪位の病気では患者の話を聞いて処方箋を出すだけ。

これならテレビ電話で診療してもらっても変わらないだろう。以下は空想上の話ながら、こんなシステムがあれば良いと思う。

体に変調をきたした場合、パソコンの医療ポータルの画面に入ると問診票が出てきて、それに答えていく。次にポータルサイトがテレビ診療でも可か対面診療でないと無理かを判断する。テレビ診療が可能であれば、次に空いている病院・医師・時間帯が表示され、予約を取ることが可能。無論その時空いていると直ぐ対応することも可能だ。

テレビ電話で舌の色とかのどの腫れ具合は分かるが、鼻に棒を突っ込むとなるとこれは無理だ。従ってインフルエンザかどうか症状から見て微妙な場合はやはり来院してもらうことになるだろう。

だが対外の風邪とか慢性化している病気(例えば高血圧)であれば、自宅の体温計や血圧計と組み合わせることでテレビ電話診療が可能なような気がした。だって今の大体のお医者さんの対応がテレビ電話診療的だもの。

そして診療が終ると処方箋がファックスかEメールで届く。それを持って近くの処方箋薬局に行く訳だ。無論お金の支払いはクレジット決済か電子マネー決済をパソコンで行う。

これが実現すると本当に苦しい時、病原菌の多そうな待合室で待ち続けなくてもすむようになるのだが・・・・なんてことを布団の中で考えていた次第だ。

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久し振りにピーター・リンチの名前を見た

2008年03月09日 | 金融

木曜日の夜から急に熱が出て、金曜日は会社を休み病院に行った。インフルエンザではないと言われたが38度を越える熱が続いていた。日曜日の午後になって漸く熱が下がり、パソコンの前に座る気力が出てきた。ただし余りパソコン遊びをしていると又熱がでるかもれない。サイトが更新されていることを期待して頻繁にサイトを訪問して頂いている人々の期待を裏切りましたが、こんな体調でしたのでご容赦ください。

さてピーター・リンチはフィデリティ投信で伝説的な成功を収めた株式ファンド・マネージャーである。彼の書いた本は日本語にも訳されているので読まれた方もいるだろう。
そのピター・リンチの名前をニューヨーク・タイムズで見かけた。

記事には「フィデリティが最良執行違反で米国の証券取引委員会(SEC)の調査を受けていて、最終的に8百万ドルを支払って和解した」「ピーター・リンチ(フィデリティの副会長)を含む13人の社員が証券ブローカーから多額のギフトを貰っていた」とあった。
フィデリティのような投信会社は、大量の株式発注を行うので注文を受ける証券会社は、ファンドマネージャーに高価な贈り物をして、注文を取ろうとする。記事によればフィデリティは2002年1月から2004年10月の間に23億ドル(約24百億円)もの手数料を証券ブローカーに落としている。
証券会社に行く手数料は投資信託の財産の中から払われるので、手数料を払えば払うほどファンドの財産が減る。
このためファンドマネージャーは、ファンドのためつまり投信の受益者のため、支払手数料を最小にする等「最良執行の義務」を負っている。米国の投信会社法はファンドマネージャーがブローカーから金品を貰うことを禁じている。因みに日本の金融商品取引法も40条2項で「最良執行義務」を明記している。

記事によるとピーター・リンチはゴルフのライダーカップのチケットなど1万6千ドル近いギフトを受け取って、その金額を返す(誰にだろうか?)と言っている。彼が実際に高名なマゼラン・ファンドを運用していたのは1990年でそれ以降は投資業務にたずさわっていない。

しかし証券取引委員会はファンドマネージャーだけでなく、会社の幹部が証券ブローカーからギフトを貰うことも、法律違反としたのだ。

この件で証券取引委員会がフィデリティを査察したのは3年前だから、粘り強くやったものである。
最近ロス疑惑の三浦和義氏を米国が逮捕したことでも分かるように、アメリカの警察や証券取引委員会は結構ねちっこいのである。
このねっちこさが社会正義の屋台骨を支える。

ピーター・リンチ氏は慈善事業に多額の寄付を行うなど、金にはきれいな男なので、ブローカーにたかったというよりは手に入りにくいチケットをちょっと回してもらったという感覚だったのだろう。ただし証券取引委員会は「他人の資産を運用する会社として上層部から襟を正せ」と多額の制裁金を課したということだろう。

なおピーター・リンチの投資哲学というのは「分からないものには手を出すな」であった。自分が良く知っている会社の株を買う。だから一般投資家がプロのファンドマネージャーを出し抜くこともできると言っている。これは別の言葉でいうとローカル・ナレッジの重視だ。ローカル・ナレッジというのはその社会に固有な経験智のようなものだ。そんな常識をそなえているピーター・リンチでさえ道を踏み外してしまった。あるいは彼のローカル・ナレッジでは多少のギフト位貰っても問題ないとということだったのだろうか?

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会社は肥って個人は痩せる

2008年03月05日 | 社会・経済

会社は利益を貯めこむ一方、個人は給料が伸びず貧しくなるというのは日本の絵姿かと思っていたら、アメリカも同じだった。いやアメリカの方がその度合いは大きいだろう。
連銀のバーナンキ議長は先週の議会証言の中で「良好な企業のバランスシートは暗い見通しの中で数少ない明るいスポットである」と述べている。実際S&P500の企業は98年には2千億ドルの現金を持っていたが、昨年12月末には3倍の6千億ドルの現金を持っている。
また借入金が減っているためキャッシュ・レシオが向上している。キャッシュ・レシオとは(現金+市場性有価証券)を流動債務で割ったものだが、
この比率が中央値で見た場合、1998年から2004年の間で3倍になっている。(S&P500の企業について)
企業が現金を積み上げている理由を専門家は、世界で不確実性が増し、ビジネスリスクが高くなったので、企業は手持ち現金を増やす行動に出ていると分析している。
企業が不確実性に晒されるのと同じく、個人も不確実性に晒されているのだが、こちらはリスクをカバーする現金が乏しくもろにリスクをかぶっているというのが米国の構図だ。より正確にいうとアメリカの個人にとって「住宅の資産価値がリスクに対するバッファー」だった。つまり住宅価値が上昇している限り、短期的に失業しても大きな病気になっても不動産担保ローンを使うことで凌ぐことが出来た。ところが現在のように住宅価値の下落が続くと、不動産担保ローンの借り増しや自宅を売却してキャピタル・ゲインを得ることが困難になる。つまり多くのアメリカ人はバッファーを失っている。

このようなことが起きた一つの要因は、中間所得層が減ったことにあると私は見ている。企業は人件費削減のために正社員を減らし、パートタイムを増やした。企業は経費削減し、将来の不確実性というリスクに備えて現金を積み上げた。しかし正社員が減ったことは中間所得層は減少したことを意味する。その結果まともな住宅ローンを組んで自宅を購入する層が減少し、サブプライムローンを借りないと住宅が買えない層が増えたのである。そして今サブプライムローンの破綻が起き、回りまわって企業業績にも悪影響を与え始めている。

企業のリスク回避行動が結局はリスク発生につながったということである。これは対岸の火事ではなく、規模こそ違え近々日本でも発せすることであると考えておいた方が良いだろう。

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野村の社長交代の真相

2008年03月04日 | 金融

野村ホールディングスの社長が古賀氏から渡部氏に交代することは日経新聞で読んだ。交替の理由について日経は古賀社長は「サブプライムローンで損失を出したことと社長交替はほとんど関係ない。今の野村に必要なのは若い力を引き出すこと。自分のやり方では変化しきれないと感じていた」と述べたと報じて、それ以上の分析を加えていない。

一方ファイナンシャルタイムズ(FT)を読むと次のような解説が出ていた。見出しは「野村のトップは損失を出して辞任」だ。FTは古賀社長の辞任はサブプライムローンで1,456億円の損失を出したことがきっかけとなったのが業界の大方の見方だという。その論拠としてドイツ証券の前島アナリストの「社長交替が示唆するところは、古賀社長が責任を取って辞めたということだ」というコメントを引用している。

更にFTは古賀氏から渡部氏に交替したことは「野村が古賀社長の指揮下でグローバル金融のパワーハウスになることを目指したが、失敗して国内回帰を鮮明にしたこと」を示すという。
渡部新社長について日経は「海外、財務、国内営業と幅広い経験を積んで」と書いているが、FTはあっさり海外勤務の経験はないと断言している。
古賀社長はインスティネットという米国の電子取引ブローカーを1千億円で買収したり、フォートレスというヘッジファンドの持分15%を1040億円で購入したり、海外展開を推進した。しかし野村證券は結局のところ海外での競争力を高めることができず、サブプライムローンで損失を出した。そして住宅ローン部門を閉鎖し、固定利付債取引部門の縮小を余儀なくされた。

野村證券が述べたことをそのまま書いている日経新聞の記事が真実であるか、FTの記事が真実であるかは時間が決めることである。

野村といえば極めてローカルな話題であるが、私が住んでいる田無の駅前に最近新しく支店をオープンした。そのその建物は以前UFJ三菱銀行の支店で更にその昔は三和銀行の支店だった。銀行の店舗を買ってまで店を出そうというとこころに野村の国内重視戦略が垣間見えるというとこじつけ過ぎだろうか?

もしFTの分析が正しいとすると「日本でもっとも海外展開に積極的な金融機関である野村證券でもグローバルな金融競争では歯が立たなかった」ということだ。金融立国などという看板を掲げる政治家がいるが、それは絵に書いた餅のようなものだということが分かる。
次に古賀社長を先鞭として、サブプライムローン等で大きな損失を出した会社のトップは詰め腹を切らされるということだ。

サブプライム関連の損失というと新聞に「武富士が社債の実質的期限前償還スキームで最大300億円の損失を計上」という記事があった。

恐らく一般の人にはほとんど関心がないことなので、読み飛ばして頂きたいが、金融にご関心のある方のために説明を加えるとこれは「信託型デットアサンプション(債務引き受け)」と呼ばれるスキームである。社債の発行会社(この場合武富士)は、その社債の元利金の支払にほぼ等しい国債等リスクの低い債券を購入する資金を信託して、信託財産で債券を購入する。
何故こんな面倒くさいことをするのかというと、一つは発行した社債を繰り上げ償還することは出来ないが、オフバランスしたい場合。
もう一つは財テク的に少しでもクーポンの高い債券を信託財産で購入して、発行する社債との鞘取りを狙う場合。
日経新聞は明記していないが、私は武富士が鞘取りのためにデットアサンプションを使ったと推測している。

さて300億円の損失の責任は誰にあるのだろうか?それは誰がディールを仕掛けたか?そして誰がリスクを説明し、誰が理解したか?という問題につながる。責任はメリルにあるのか?武富士にあるのか?それは私には分からない。分かることはいずれにせよ武富士の株主としては等閑視できない損失であり、責任を追及するべき問題ということだ。サブプライムローンはまだまだ日本の中で暴れそうだ。

そう考えると国内回帰を決めた野村證券は賢明にも見えるが、長期的には勝ち目のない篭城戦を決め込んだ戦国大名のような気がしないでもない。

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