明日(7月31日)の米連邦公開市場員会FOMCで政策金利が引き下げられることはほぼ確実である。
だが景気が堅調な中で何故連銀が政策金利引下げに動くのか?ということについては、米国人の中にも疑問に感じる人がいるようだ。
だからWSJはWhy the Fed is cutting rates when the economy looks goodという記事でこの問題を解説している。
その答の一つは「自然利子率The neutral rate of interestが従来想定していたものより1%程度低い」というものである。
自然利子率(あるいは中立金利)とは、経済成長を促進も抑制もしない金利を指す。WSJによると2015年の後期に大部分の連銀高官は自然利子率は3%~4%の水準と考えていた。
また連銀は健全な経済成長を達成するため、インフレターゲットを2%に置いてきた。昨年12月にインフレ率は一旦この水準に近づいたものの、今年に入ってまた鈍化している。第2四半期の食品・エネルギーを除く消費者物価指数上昇率は1.5%に留まっている。
従来失業率とインフレ率の間には強い逆相関関係があると考えられてきた。つまり失業率が低下すると、賃金上昇が始まり、それが物価上昇に繋がると考えられてきたが、その相関関係が弱くなっている。
パウエル連銀議長は、今月初めにに議会でThe relationship between declining unemploymnet and rising inflation has become weaker and weakerと証言している。
2015年に連銀が政策金利を引き上げ始めた時の失業率は5%だった。その後失業率は下がり先月は3.7%となっている。一方時間給の上昇率は2月の3.4%をピークとして6月は3.1%に低下している。
またパウエル議長は2週間前パリで連銀は政策目標達成のために、世界経済の影響を考慮する必要があると述べた。
自然利子率の見直しと減速する世界経済の影響が連銀の政策金利引下げ見直しの背景であるとすると年内に更なる金利引下げがあると判断するのは自然の成り行きかもしれない。