金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

金融機関の夢ビジネス

2009年07月31日 | 金融

私のオフィスの向かい側にみずほ銀行がある。今日お店の前を通ると法被をきた若い行員さんが声を嗄らしてサマージャンボのセールスをしていた。暑い中ご苦労様です。

ところで銀行員がもし「預金をすると元本がマイナス30%になります」という預金を勧誘したどうなるだろうか?いや、どうなるどころかそのような商品がなりたつ訳がない。ところが「宝くじ」という仕組みは全体から見るとこのような商品である。勿論1億円当たる人もいるし、百万円当たる人もいる。だが大多数の人は10枚連番で買った場合300円当たるだけである。くじ全体の期待値としては7割程度(正確ではないが)しか配当されないので、確率論的にいうと「宝くじは預金をすると元本がマイナス30%になる」商品なのだ。

しかし宝くじには「夢」がある。3千円で宝くじを買ってしばらくの間当たったらどう使おうか?と夢を見ることができる。そして万万が一本当に3億円当たると好きなことをして暮らすことができる。一方それに較べると失うものは高々3千円だ。3千円失っても日々の生活に困る訳ではない・・・・と人々が考えるから宝くじは成り立つのである。宝くじは「夢」をリターンに加えないと成り立たない商品なのだ。

ところでみずほ銀行以外の金融機関が取り扱っている商品の中にも「夢」をリターンに加えないと成り立たない商品がある。それは何かというと投資信託特にアクティブ型の投資信託だ。

アクティブ運用というのは、個別銘柄を選択投資することで市場平均(=インデックス。TOPIXや日経平均)を上回るリターンを上げることを目指す運用方法だ。アクティブ運用はインデックスに勝てるか?というのは中々深遠なテーマなのだが、実際の運用成果を見ると、インデックス運用を上回るアクティブ運用は少ない。従ってアクティブ投信を買う多くの人は高い報酬を支払いながら、市場平均並みのリターンを上げることができていないということになる。

仮に優れたファンドマネージャーは市場平均を上回ることができるとしても、誰が優れたファンドマネージャーであるかを見つけることが難しい。「過去の運用成績が良かった」ファンドが将来も良い成績を上げるという保証はない。何故なら「過去の運用」が「運用スキル」の成果なのか「タマタマの幸運の結果」なのか判定することが難しいからだ。

だが多くの人は過去の運用成績(しかも短期間の!)でアクティブ投信を選ぶ。市場平均を上回る運用を「夢」見て。

やや捻くれた見方をすると「資産運用ビジネスというのは、タマタマの幸運で得た運用成績をマーケッティングするビジネス」ということができる。タマタマの成果を幸運の結果でなく、スキルの成果に見せる・・・というビジネスなのである。アクティブ投信のセールスはそういう意味で「夢」を売る金融機関のビジネスである。もっとも宝くじでは「金銭面での期待値」はマイナスに決まっているが、投信では当然のことながら「金銭面のプラス」が期待できる。ただアクティブ投信に払う報酬が「夢」に見合っているかどうかという問題はあるが。

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アジアの景気回復は持続するか?

2009年07月31日 | 社会・経済

昨年末から今年初めにかけて急速に収縮したアジアの経済の回復が目立ってきた。今年の第一四半期と第二四半期のGDP成長率(年率換算)を較べると韓国では10%近い増加(ただし前年比では2.5%のマイナス)、シンガポールは20%(前年比3.7%)の増加となっている。中国は四半期成長率を公表していないが、エコノミスト達は15%-17%の増加と考えている。

この急速な回復の要因についてエコノミスト誌は次のように分析している。「昨年末から今年初めの生産量の急低下は在庫調整によるもの」「より重要なことはアジアが世界で一番大きな景気刺激策を取ったこと」と述べる。韓国の消費支出は自動車購入に対する減税や低所得者層支援策のお陰で第二四半期に14%(年率換算)拡大した。

アジア開銀は東アジアからの輸出は最終的に6割先進国に輸出されるという。アジア経済の回復に懐疑的な筋は欧米の景気が本格回復していないので、東アジアの景気回復は持続しないのではないかという懸念をしめす。しかしエコノミスト誌は中国の景気回復が東アジアのビジネスと消費者の信頼を高める効果を無視していはいけないと述べる。

エコノミスト誌によると最近のHSBCのレポートは、金融緩和策の持続によりアジアの景気回復は来年も持続するだろうと予測している。

エコノミスト誌は「新興アジア諸国が面しているリスクは西欧諸国の弱い需要ではなく、自国のインフレまたは資産バブルだろう」と述べている。2,3日前のインド中銀は今年のインフレ見通しを5%に引き上げ警戒を強めた(ターゲットは3%)。中国の金融当局は銀行に貸出金が株式投資に流れず、実体経済に向かうようにルール強化を命じている。

この記事の最後にエコノミスト誌は、アメリカの連銀がバブルに対してもう少しこのような対応を取れば、世界はこんなに混乱しなかっただろうと述べている。

以下若干の私のコメント

今回のリセッション入りの前に「ディカップリング論」が流行ったことがあった。昨年末のアジア経済の収縮を見てディカップリングはすっかり影を潜めたが、中国経済の回復が東アジア経済の回復を牽引し、地域の内需を高めそれがアメリカの輸出を高めることになると、再びディカップリング論が復活するのだろうか?

ところで不況時に強力な景気刺激策を取るためには、健全な財政を保っておく必要がある。借金の上に借金を抱えて景気刺激策を取った日本は例外だが、これは政府の借金である国債が、預貯金や保険システムにより最終的日本国民に保有されているから成り立つ話。高齢化の進行とともに、個人金融資産が減少しはじめるとこのシナリオが成り立つ保障はない。

私は苦しい中でも日本は増税をして~増税と社会保障への信頼向上をパッケージにして~、財政の健全性回復を図らないと手の打ちようのない事態がくるのではないかという懸念を禁じえないのである。

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三菱UFJ社長、自己資本比率強化に懸念を示す

2009年07月29日 | 金融

ファイナンシャル・タイムズによると、三菱UFJファイナンシャルグループ(MUFG)の畔柳社長が同紙に「英米および欧州の金融当局が銀行の自己資本比率の大幅な引き上げを求めていることに対して、銀行が融資を抑制するリスクがあると懸念を示した」ということだ。

畔柳社長の論点は以下のとおりだ。「自己資本比率が過度に高められると、銀行は安全資産にシフトするので、中小企業は融資を受けることが困難になるだろう」「資金調達面で安定したリテイル資金を持っている銀行と資金調達を資本市場に依存している銀行では万一の場合の流動性リスクが違う」「世界が未だリセッションの最中にいることを考えると自己資本比率強化のタイミングとして今が良いか時期かどうか疑問」

ファイナンシャル・タイムズは「自己資本比率を高めると銀行はROAを高めるために、複合的な大きなリスクを取ることになり、意図するところと違う結果をもたらす」という佐藤隆文前金融庁長官の懸念も紹介している。

私は二人の意見は正論だと思うが、英米欧連合は銀行の自己資本特に普通株自己資本比率の強化に動くだろうと私は見ている。金融にしろスポーツにしろ日本人が強くなってくると「競技のルール」を自分達に有利に変えるというのが彼等の常套手段だからだ。

だが繰言を言っていても仕方がない。日本人も色々な分野で「ルール」を作る側に回るべきであろう。簡単なことではないが、大手行にはがんばって欲しいものである。

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財布が出てきた

2009年07月29日 | うんちく・小ネタ

昨日自宅に地元の警察署からファックスで「遺失物届けを出していた財布が見つかりました」と連絡が入っていた。今朝早速取りに行ったところ、クレジットカード・免許証・現金まで総てそのまま入っていたので感激!地元の食品スーパーの中で落としたらしく、お店の人が届けてくれたとのこと。しかもお礼はいらないとのこと。西東京市には親切で正直な方がいらっしゃるのですね。どうもありがとうございました。

ちょっと残念だったことは昨日の昼間東陽町の免許センターで運転免許の再発行を済ませたこと。遺失物届けを出した時警察の人から「1週間位で発見されることがあるから、再発行は少し様子を見たら」と言われていたのだが、10日経っても見つからないので諦めて再発行手続きを取った次第だ。再発行手数料(4千円弱)も惜しいが、警察の人によると「運転免許証の再発行回数が多いと、お金を借りる時怪しまれることがありますよ」という話なのでちょっと気になった。運転免許証の再発行回数は免許番号の下一桁に「2」とか「3」という具合に発行回数が表示されるのだ。まあ今すぐサラ金でお金を借りることもないので問題はないと思うが・・・・

ところで遺失物について調べていたところ、現在はインターネットで遺失物が検索できることが分かった(平成19年12月の遺失物法改正による)。因みにこちらが警視庁の関連ホームページ www.keishicho.metro.tokyo.jp/kouhoushi/no4/welcome/kaisei.htm ただし落とし主を特定できない遺失物のみが掲示されるということだ。

試しに「7月下旬に西東京市で財布の落し物」という検索を行ったところ2件の該当があった(私の財布は免許証が入っていたので掲載されないはず)。落し物って結構あるのですね。

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マザーボードって壊れるのですね

2009年07月27日 | パソコン

一昨日自宅のデスクトップ・パソコンの電源が入らなくなってしまった。通電を示すランプも点灯しないのでお手上げ。そこで昨日カンカン照りの中を自転車でパソコンを持って花小金井のPCデポに診断に出かけた。どうして車で行かないのか?というと、先週財布を落として運転免許証の再発行をまだしていないから。

しばらくPCデポに行く用事がなかったので、気が付かなかったけれど「修理・買取コーナー」が充実している。皆さん、不景気で新品を買うのを手控えたので、修理部門を充実したのだろうか?それでも「診断に1時間かかる」というので、また1.5km程の道を自転車を漕いで一旦帰宅する。

1時間後にまたカンカン照りの中をPCデポに行くと「マザーボードが故障しています。メーカーでないと直せません。修理代は4万円から6万円。3週間位かかります」とのこと。がーん、って感じ。新しいパソコンが5万円で買える時代に修理代が同じ位かかるとは・・・

そういでば少し前からパソコンのパフォーマンスがかなり悪くなっていたが、マザーボードに変調が起きていたのだろうか?

会社でシステム担当の人に聞くと「マザーボードって時々潰れますね。デルのコンピュータとか」という話。「僕のはソーテックのだけど」というと「ソーテックのもたまに潰れます」という返事。

マザーボードとはCPUなどを着装した基盤のことだが、パソコン内部が高温になると壊れる(勿論他にも原因はある)という話だ。推測だけれどパソコンを冷やすファンがおかしくなっていたのだろうか?

なお自宅には他に2台パソコンがあるので、壊れたパソコンのマザーボードは交換しないで廃棄することにした。壊れたパソコンはワイフがメールやネットサーフィンに使っていたもので、ハードディス内になくなって困るデータが入っていなかったのは不幸中の幸いだ。それにしてもバックアップの必要性を再認識した次第である。

会社の業務用サーバーは猛暑に備えて冷却装置を増設したところだが、自宅のパソコンも高熱を持つ場合は要注意だと改めて思った。それにしても壊れたパソコンを持って自転車で走っていると暑さが余計こたえた日であった。

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