3月31日(土曜日)朝NHKテレビで秩父の清雲寺の桜を紹介していたので、急に思い立ちワイフと桜見物に出かける。数本の桜を見るために50km片道2時間の道をドライブするのだから酔狂というほかない。
しかし親鸞聖人に「明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐のものかは」という和歌がある様に今日のこの桜は今日しかみることができないかもしれない。思い立ったが吉日である。
秩父市内に入ると観光バスが2台前方を走っているのが見えた。清雲寺の駐車場は混んでいるのではないか?という不安がよぎるが、お寺の周りの民家が臨時駐車場を提供しているので問題はなかった。駐車料金は5百円。
清雲寺は臨済宗建長寺派の末寺、応永27年(1420年)の開山である。開山時に植樹された(一説にはその前)という樹齢6百年の枝垂桜(江戸彼岸桜)は埼玉県指定天然記念物である。
この桜もすばらしいが枝ぶりが良く、花が多いのは本堂に向かって右側の枝垂桜だ。
桜を美しく撮るには桜とそれ以外の景色のバランスだろう。上の写真ではわざと桜の花の上を切り落とした。こうする方が桜の上への広がりと大きさを感じさせる様だ。
下の写真では桜の木の全体を取り込んでみた。
これはこれで青空に映えてきれいだ。今回は広角レンズZUIKO DIGITAL 11-22mm 1:2.8-3.5を使った。大振りの桜の古木を写すにたる実力のあるレンズだ。
さて清雲寺であるが、お寺の由緒書きによると慶応4年に京都の公家、大炊御門(おおいみかど)尊正(たかまさ)公が忍藩大宮郷代官所の役人に殺害されるという事件があった。これは右大臣藤原家信の嫡子である大炊御門尊正が秩父を拠点に尊王の挙兵を図ろうとしたところ忍藩が応ぜず、捕殺されたということだ。
世に枝垂桜の名木は多い。名木か否かは木の良し悪しだけでなく回りの風景のインパクトの強弱によるところが大きいだろうと私は考えている。東北や信州にあって雪山を遠景に伴う桜が名木に数えられるのはその故だ。その点清雲寺の桜は遠景に恵まれないというハンディキャップがある。しかし一度この桜を見るとハンディキャップをものともしない迫力に感動するだろう。