金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

雇用堅調とはいえ、消費者ムードは悪化

2025年02月08日 | 投資
 昨日(2月7日)に発表されたアメリカ1月の非農業部門雇用者増は予想(16.9万人)を下回る14.3万人だった。失業率は予想(4.1%)を若干下回る4.0%だった。ただし昨年11月12月の非農業部門雇用者増が10万人以上上方修正されたことで市場関係者の労働市場に対する見方は「冷え込んでいるがなお堅調」というもののようだ。
 だがWSJには気になる記事がでていた。
 それはThe mood of the American consumer is sourting「アメリカの消費者ムードは悪化している」という記事だ。トランプが大統領選挙に勝った後、高まっていた消費者信頼感は2月に約5%低下して2024年7月以来最低レベルに達した。信頼感が後退した理由は、トランプ大統領の関税戦術に消費者心理や株式市場が振り回されていることにある。12月中旬から1月上旬にかけて行われた調査によると「アメリカの消費者は仮に20%の関税が課せられた場合、平均してそのコストのほぼ半分を負担しなければならないと考えている」ことが分かった。
 このようなことから今後1年間のインフレ予想率は1月の3.3%から4.3%に急上昇している。
 アメリカ個人投資家教会の最新の週次調査では「株価が今後6カ月で下落するとの予想が42.9%に上昇し、2023年11月以来の高水準となっている」
 アメリカ経済をささえる個人消費に警戒ムードが高まると株式相場には悲観的なムードが漂いそうだ。
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今年の1月の米国株パフォーマンスは何を教えてくれたか?

2025年02月05日 | 投資
米国の株式相場には有名な格言があります。それはAS january goes, so goes the year.というものです。
 1月の株価の動きがその年の株価のパフォーマンスを予測するという意味です。インデックスアナリストによると1928年以降S&P500の1月のリターンが+だった年は8割株価が上昇したということです。また1月の株価が下落した年は約56%の割合でその年は株価が下落したということです。
 今年の1月の株式相場は大荒れでしたが、S&P500は配当まで入れると2.8%のプラスでした。
 相場の格言を信じるなら今年の株式相場も昨年同様プラスになることが予想されます。
 しかし多くの人は1月の株式相場の乱高下から異なった予想を得たと思います。それは「トランプ政権になって関税問題など想定し難い事態が発生し、相場のボラティリティが高まるだろう」という予想です。
 今年に入ってウォールマートやコストコといった生活必需品大手の株のパフォーマンスが上がっています。ウォールマート11.53%、コストコ11.52%で、これはS&P500の2.66%(2月4日現在)を大きく上回っています。
 ディフェンシブ銘柄が買われているのですね。1月の相場は、今年の相場は予想が難しいので、ディフェンシブ銘柄にシフトしておいた方が良いということを教えているようですね。

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中国のAI新興企業DeepSeek引き起こしたハイテク暴落

2025年01月28日 | 投資
 昨日(1月27日)米国株市場では、AIモデルに最新チップを提供してるNVIDIAの株価が17%下落し、同社の時価総額が5,890億ドル減少した。また生成型AI用サーバーを製造するスーパーマイクロコンピュータの株価は13%下落した。
 AI関連銘柄の軒並みの下落で、テクノロジー中心のナスダック総合指数は3.1%下落し、S&P500は1.5%下落した。一方大手テクノロジー株の割合が低いダウは0.7%上昇した。
 昨日はDeepSeekショックはなぜ引き起こされたかというと、同社が高価なAIデータセンターチップを使わず、NvidiaのH800と呼ばれる低機能チップを使用して、わずか2カ月と6大万ドル未満で、オープンソース大規模言語モデルを発表したことだった。モデルの発表は先月下旬の話だったが、昨日AppleのアプリストアでライバルのOpenAIを抜いて同社のAIアシスタントが首位の座についたことが、NVIDIA株暴落の引き金になった。
 つまりDeepSeekモデルがChatGPTを運用するOpenAIモデルをコスト面や性能面で凌駕することになると、高性能・高価格のチップは不要になるため、チップメーカーのNVIDIAの株価は暴落した訳だ。
ただしDeepSeekのAIがChatGPT等に較べて本当に優位性があるのかどうかはもう少し専門家の意見などを聞きながら判断していく必要があるだろう。
 私が使っているAIパーソナルアシスタントアプリケーションMonicaの中に
AIエンジンとしてDeepSeek R1はGPTやGeminiなどと並んで登場している。
 つまり実力はユーザーから認められている訳だが、製造コスト面などはもう少し突っ込んだ分析を見てみたいと思う。
 さてNVIDIAの暴落を買い場と見るかどうか?ここも興味深いところだ。
 WSJはある証券会社のCEOのコメントを紹介していた。
「いずれにせよ売りは起きるはずだった。古い格言にあるように、市場は階段を上って窓の外に飛び出す。この暴落は窓の外に飛び出す瞬間だった」
 理由はどうあれ過熱相場が少し冷やされたことは、長い目で見ると相場のためにプラス、と考えてよいだろう。
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トランプ大統領のメキシコ・カナダ関税でも日銀の利上げはあり?

2025年01月21日 | 投資
 今週月曜(1月20日)にトランプがアメリカの第47代大統領に就任した。この日は祝日(キング牧師の日)だったため、株式市場は先物市場を除いて閉鎖されていた。就任式でトランプ大統領があまり過激なことを言わなかったことを好感して株式先物は上昇し、為替は円高ドル安に動いた。
 今週後半に日銀は金融政策決定会合を開く。大方の予想は「トランプ大統領就任後に大きな市場の混乱がなければ、日銀は政策金利を引き上げる」というものだ。
 現在私は短期の為替取引を行っていないため、日々の為替の動きにはそれほど関心はない。しかしトランプ就任直後に為替相場がどう動くか?には野次馬的関心はあるのでちょっと様子を見てみた。
 相場の動きを見ると就任後ドル円為替は一時154円台まで円高が進んだが、その後155円台後半まで押し戻された。
 これは火曜日の朝方、トランプ大統領がカナダとメキシコに関税をかけることを検討していると発言したことから、投資家の間でインフレ懸念が頭をもたげ、米国金利の先高懸念などからドルが買われたようだ。
 まあこの程度の動きであれば、日銀の利上げ方針は変わらないと思う。
 しかし何を言い出すのか?何をやりだすのか?予想がつかないトランプ大統領だけに日銀の金融政策決定会合前に何かが起きる可能性がないとは言い切れない。
 それをウオッチしている人々はご苦労様だと思う。
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トランプ大統領就任を前に株価は上昇したが……

2025年01月18日 | 投資
 昨日(1月17日金曜日)米国株は大幅に上昇した。週明けの1月20日にはトランプ大統領の就任式が行われる。年初は下落していた相場は、今週発表された物価統計がインフレ鈍化の兆候を示唆したことを受け、大幅に上昇し今のところ今月の成績はプラスに転じている。
 年初来のパフォーマンスは、S&P500が1.96%、ダウが2.22%,ナスダックが1.65%のプラスだ。
 今週の株価上昇についてCNBCの記事は次のようにコメントしている。
 Those gains come after investors received back-to-back reports showing inflationary pressures softening somewhat. 
 「株価上昇は投資家がインフレ圧力が減じているという連続的なレポートを受け取ったあとに起きている」という意味だ。
 Back to back reportという表現は日本でもプロジェクト・マネジメントなどでは使われるようだが、それほど一般的ではない。「プロジェクトの進捗を把握し、必要な調整を行うために連続的な報告」という意味だ。
 ここでは今週発表された米国の卸売物価指数統計や消費者物価指数統計の報告が、連銀のインフレ抑制というプロジェクトの進捗状況を反映しているという意味で、back to back reportという表現を使ったのだ。
 ところで今週の株高は昨年11月の大統領選挙後の株高以降で最高のものだった。単純に考えるとトランプ大統領の減税案など景気促進政策を歓迎しているとも取れる。しかしトランプ大統領が関税引き上げを実施すると景気が減速する可能性が高い。
 こう考えると今年の株価見通しはまだまだ不透明と言わざるを得ないだろう。
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