金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

株式投資にとって不確実性の高い2025年が始まった

2025年01月04日 | 投資
 今朝(1月4日)の読売新聞に「なぜ投資…インフレ時代 預金は目減り」という記事がでていた。物価上昇が続く中、資産防衛や配当収入確保の観点から株式投資比率を高めよう、あるいは株式投資を始めようと考える人が増えているようだ。
 しかし水を差すようだが、今年は大きく株式投資を増やすには、環境はあまり良くない。環境が良くないという最大に理由は、一昨年、去年と米国株のパフォーマンスが非常に良かったことだ。S&P500は2年連続で20%以上上昇したが、これは過去100年位なかったことらしい。相場の格言の「山高ければ谷深し」に従えば、大相場の後には大きな株価下落がある。これは当たり前の話で、株価が上昇している時は、将来の企業利益の成長について強気の予想が支配している訳だが、冷静に考えると好景気や企業収益の拡大が永続すると考える方がおかしい。
 CNBCでジム・クラマー氏が次のようなことを述べていた。
  • 私は毎年年初にその年の相場を牽引するような銘柄をピックアップしているが、今年は不確実性が高いので、そうすることが難しい。
  • 不確実性が高い理由は「長期米国国債の利回り水準が予想しにくい」「労働市場は堅調だが、トランプ新大統領が大幅な不法移民の海外追放を実施すると労働力不足からインフレが再燃する可能性がある」「関税の引き上げを強行するかどうかなど、トランプ新大統領の政策は予想がつかない。」「企業収益の伸びについてS&P500の企業については12%というコンセンサスがある。これは達成可能と思われるが、堅調な消費の持続、積極的な設備投資、規制緩和や中国経済の復活などがうまく組み合わさることが前提だ」ということだ。
 相場というものは、いずれの時も先行き不透明だ。その不透明なものに勇気をもって入っていくから、リターンという報酬を得ることができる。
 そして不透明さには、幅があり比較的予想がしやすい時と非常に予想がし難い時がある。今年は先行きを予想しにくい年だと相場のプロが考えていることは、頭の中に入れておいた方がよい。

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65歳超人口の増加がアメリカの金融界に与えるインパクト

2024年12月28日 | 投資
 アメリカは定年がない国である。年齢による強制的な退職は、差別と考えられているからだ。しかし実際上は公的年金が支給される62歳から公的年金がフルに支給される66歳(生まれた年により若干異なる)の間で退職する人が多いようだ。また最近は平均退職年齢は伸びる傾向にある。そのようなことから国連が高齢者の基準としている65歳が退職年齢の基準と考えてよいだろう。
 その65歳人口がここ数年ピークを迎え、それが金融界に影響を与えるという記事がWSJに出ていた。記事のタイトルはWhat the record wave of new 65-year-olds means for Wall Streetだ。
 記事によると2024年から2027年の間で毎年410万人以上が65歳を迎えるという。これをPeak 65 zoneと呼んでいる。
 記事は「金融サービス業にとって、退職するということは、人々が働かないことで失う収入を穴埋めするために高利回りが期待できる投資への需要が高まる可能性がたかい」と述べる。
 そしてそれは個人年金の販売額拡大につながっていると記事は述べる。
「生命保険市場調査会社ウィンクによると、2022年の米国の個人年金売上高は3千億ドル未満だった。2024年の売上高は4千5百億ドル、2025年には5千2百億ドルを超えると予想される」
ウィンクの社長は「金利が魅力的であり、市場が上昇傾向にある限り、年金の販売は好調に推移するだろう」と述べている。
 このような退職者の貯蓄傾向の変化は、個人の資産が銀行から保険会社にシフトし、保険会社と連携する資産運用会社の手に委ねられる可能性が高いことを示唆している。

 ★    ★    ★
この話を我々の資産運用の点から見ると次のようなことが言えるだろう。
・アメリカの個人資金は、リスク資産へのシフトが続くだろう。ただし総てが株式や国債など市場性の高い運用ではなく、一部は代替資産運用に向かう可能性はある。とはいえここ数年アメリカの株式市場に個人資金の流入が続くという可能性は、米国株式市場の底堅さを裏打ちしている。
・個人年金を取り扱う生命保険会社の株価動向には注目。

 記事はネガティブ面にも言及していた。それは高齢者のクレジットカード負債の増加など高齢化に伴う返済リスク上昇だ。
 この問題は頭の隅に置いておかないといけないが、トータルで見ると、Peak 65問題は少なくとも米国株には、プラス材料であり、それについていける日本人にもプラス材料だろうと私は考えている。




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ナスダック、初めての2万ポイント越え。好成績の後が怖い?

2024年12月12日 | 投資
 昨日ナスダックは、1.8%近く上昇し、20,034で引けた。高値更新で初めての2万ポイント越えとなった。
 背景は11月のインフレデータが、前月より若干加速しているとはいえ、ほぼ予想の範囲にとどまったことと一昨日に続き、超高速量子チップを発表したアルファベットがIT銘柄の株価を押し上げたことによる。
 Nvidiaやテスラの株価も上昇した。
 11月の消費者物価は前年比2.7%上昇し、食品・エネルギーを除くCPIは3.3%上昇した。
 インフレは若干加速しているが、トレーダーの間では連銀が政策金利引き下げを躊躇するレベルではないという見方が広がり、金利先物市場では、今月連銀が政策金利を引き下げるだろうという予想は95%に高まっている。
 米国株については、年初来ナスダックが35.6%、S&P500が28.2%、ダウが17%上昇している。今年も残すところ2週間ほどなので、このペースで終わることは間違いないだろうが、来年以降の株価を先取りしていることが気がかりだ。
 つまり人工知能関連市場がさらに拡大し、インフレが沈静化していけば株高はまだ持続するだろうが、うまい話はそれほど長続きしないと考えた方が良い時期に差し掛かっている。インフレについていうと、来年1月からトランプ大統領が本格的に動き出すと関税引き上げに伴い、物価上昇が持続すると考えられる。当然連銀は金利引き下げペースを落とすから、金利面の株式相場への追い風は減速する。
 人工知能については、設備投資の費用対効果について投資家の目が
 厳しくなりそうだ。今年自分の目標以上のリターンをあげた人は、少し長い目で相場を見た方が良いかもしれない。
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運用パフォーマンスをあげたいなら証券会社に騙されないようにすること

2024年12月06日 | 投資
 昨日若干取引をしている野村證券から突然電話がかかってきました。電話をかけてきたのは若い男性で「トランプ政権後のアメリカ経済についてお話をしたいので、どこかで30分ほどお時間を頂けませんか?」という話でした。
 当然お断りする。理由は明快です。証券会社の人が話をしたいというのは、会社側が売りたい商品をセールスするためで、顧客の運用パフォーマンスを向上させたいからではありません。
 またなぜこの時期突然電話がかかってきたのかも不思議でした。
 
 野村証券といえば、今年の夏広島支店の営業担当者が高齢者の顧客宅で放火して現金を奪い強盗殺人未遂などの罪で逮捕、起訴されるという事件を起こしていましたね。数日前には奥田社長が謝罪会見を開き、役員報酬の一部を返上することを発表していました。
 証券マンの電話勧誘と証券マンの強盗事件を同列に論じると暴論だ、と批判されるかもしれませんが、敢えていうと私はある共通点があると思っています。
 それは「顧客の財産からなにがしかの金品を取ろう」という考え方です。
 一番滅茶苦茶なのは、顧客の財産を力で強奪するケースで、次に無茶苦茶なのは、顧客の無知に付け込んで、リスクが大きくて、証券会社の儲けが大きい商品を販売するケース。この二つは犯罪です。問題は「犯罪とまでは断定し難いが、顧客利益よりも自分の利益を優先してセールスするケース」です。
 犯罪とまでは断定し難いと書きましたが、Fiduciary duty(受託者責任)に抵触している可能性が高いといえるでしょう。
 Fiduciary dutyとは「自分の利益を後回しにして顧客の大切にする」ということです。
 私の経験からいうと、証券会社の営業マンが勧めてきた話で長期的に儲かったというものはほとんどありません。何故なら証券会社の営業マンは自分の成績や会社・支店の営業目標を最優先して行動するからです。
 そこから得た教訓は「運用パフォーマンスをあげたいなら証券会社に騙されないようにすること」なのです。騙されないようにするなら、ネット証券を使う方が良いのですが、家族の中には物理的な建物がある証券会社の方が安心できるという人もいるので、野村さんともお付き合いしている次第です。
 資産運用とは何か?というと「証券売買手数料や信託報酬など確実な出費を支払ながらキャピタルゲインという不確実な収入を狙う事業」と考えてよいでしょう。そこをビジネスにする証券会社などは、不確実な収入をいかに確実なものか?と思わせながらより我々に高い出費をさせるように知恵を絞っているのです。
 この罠にはまらないようにするのが、資産運用の第一歩です。
 
 
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米国株、全軍躍動

2024年12月05日 | 投資
しばらく株の話は書いていませんでした。また投資活動もお休みでした。先月初めから2週間程ネパールに行き、その後風邪でゴロゴロしていて、その後京都に紅葉ハイキングに出かけていたものですから。
その前から「米国株は年末にかけてもう少し上昇する可能性が高い」と判断してポジショニングしていたので、おおらかな気持ちで遊んでいました。
昨日(12月4日)ダウ、S&P、ナスダック総合が同日にそろって高値を更新しました。WSJによると今年7回目のことだそうです。
この現象を見ると、「ハイテクなど少数の銘柄が市場を牽引する」というシナリオはやや過去の話になり、ここ数ヶ月は相場を牽引する銘柄が増え、強気相場が持続するという見方を支持したくなりますね。実際私はコストコなど大手小売を少しポートフォリオに加えたのですか一部のハイテクを上回る成績をあげてあます。
もっとも昨日の株高を牽引したのはセールスフォースなどテクノロジー銘柄でした。
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