昨日(9月23日)世界最古の旅行会社トーマス・クックが破産申請した。
日本では2年前に「てるみくらぶ」という旅行会社が破産したことが話題になったが、トーマス・クック破産の影響は当然のことながら、はるかに甚大である。
破産の最大の原因は、オンライン予約や民泊の台頭に圧迫されて業績が悪化していたことだが、数カ月先の航空券やホテルを買い上げ、パッケージ化して旅行客に販売するというビジネスモデルが逆目にでて、負債が積みあがっていたことが救済を難しくしていたのだろう。
オンライン予約が旅行会社のビジネスを奪っている卑近な例はJRの主要駅にあったびゅうプラザがドンドン閉まっていることでもわかる。
JRの指定券はもとより、航空券・ホテルも総てネットで予約する時代。慣れると便利でお得なはずだが、落とし穴もある。自分の経験も踏まえて注意点を考えてみた。
数年前に家内と海外旅行に出かけた時、オンライン旅行会社で航空券を予約したが、その時家内の姓と名を逆に入力したため空港のカウンターで修正に時間を要した記憶がある。どうして姓と名を逆に入力してしまったのかは忘れたが、パスポート上姓と名が逆さまになっていると全くの別人と判断するようだ。オンライン予約はこの類のヒューマンエラーが大きなトラブルにつながる危険性がある。「私は間違いはしない」「安けりゃ少々のトラブルシューティングは平気」という人は良いが、「楽しみでいく旅行でトラブルは嫌い。多少お金を払っても楽に行きたい」と考える人は大手旅行会社を使う方が良いだろう。特に日本の場合は。
もう一つ考えないといけないのは「信用リスク」の問題である。つまり旅行代金を払い込んだけれど、払い込み先が倒産して旅行ができなくなるリスクである。私はこの類のトラブルに巻き込まれたことはないが、格安代理店経由で航空券の予約を行い、代金を代理店に振り込んだ後、ネット上でその代理店の信用リスクが取り上げられているのをみて、ヒヤリとした記憶がある。
今では航空会社がインターネットでダイレクトに航空券を販売しているので、余程値段に差がない限り、航空会社から直接航空券を購入する方が決済リスクはないので良いと私は考えている。
同じ問題はホテルの予約でも起こり得る。宿泊代を旅行代理店に前払いしているが、旅行代理店がホテルに料金を渡す前に倒産するケースだ。このリスクを回避するにはやはり自分で直接ホテルと宿泊代金をやり取りするのが良い。
一番安全なのは「ホテルに泊まった後現地で決済する」という方法だが、これはホテル側が客のキャンセルリスクを背負い込むことになる。海外のホテルの予約ではまずクレジットカードの番号を教えることなく予約は無理だろう。性善説の人が多い日本の場合は、予約段階でクレジットカードの番号を求めないこともあるだろうが。
ただしインバウンド旅行者の中にはレストランを含め、無断キャンセルする人が増えているようなので早晩日本でもホテルやレストランの予約にクレジットカード番号が必要になる時代がくるだろうと私は考えている。
大手の旅行代理店といえども倒産する時代は、旅行者が「信用リスク」問題を考えざるを得ない時代なのかもしれない。