今日(10月31日)はハロウィンの日だ。この日日銀政策委員会は大方のエコノミスト達が予想していなかった大規模な金融緩和を決定した。詳しいことは明日の朝刊紙面を飾るだろうから、あらましを述べるとマネタリーベース(資金供給量)を60-70兆円ベースから80兆円に引き上げる、ETFやREITの保有額を3倍に増やす、JPX日経400を新たに購入対象のETFに加えるというところが主なところだろう。午後に発表されたニュースを受けて、日経平均は775円急騰(4.8%)し、円は対ドルで急落。現在111.60円近辺で取引されている。
円安・株高を加速したもう一つの理由は政府がGPIFの株式投資拡大を認めたことだ。
このダブルパンチについてCIBC World Marketのストラテジストが、It is a double whammy for the Yenというコメントを述べたとロイターは報じている。
Whammyには「致命的な一撃」という意味と「悪運をもたらす超自然力」という意味がある。ハロウィンなのでwhammyという言葉を使ったのだろうが、日銀の緩和策拡大・JPIFの外国株を含むリスク運用割合拡大それに今週明らかになった米連銀の債券購入プログラム終了が円安を一気に推し進めたことは間違いない。
この動きを受けて欧州株や米国株先物も1%程度値を上げているようだ。
だがうがった見方をすると日銀の緩和策が「悪運をもたらす超自然力」にならない保証はない。それはどのような経路をたどって出口=正常化に戻るか?という点にある。
リーマンショック後素早く大規模な金融緩和策を実施して不況を乗り越えつつある米国だが、成功原因を金融政策だけの効果と考える舵取りを誤る可能性はある。
それと大規模な金融緩和と円安は、大企業や資産保有層にメリットが大きくそれ以外の層にはマイナスの影響を与える可能性が高い(恐らくこれで消費税再引き上げは決まりだろうし)。所得と資産の格差拡大は不可避だろう。
ハロウィンの日に黒田総裁が打った大胆な一策が悪運を招く可能性がない訳ではない。金融緩和は5対4というギリギリの過半数で決まったそうだ。