9月後半の3連休に乗鞍山麓の五色ケ原http://www.hida.jp/goshiki/index.shtmlに行った。この地域は自然環境の保護のため入山が制限されており、専属のインストラクターの同行が入山条件である。また一日の入山人口も制限されている。現在の散策コースは滝を巡るカモシカコースと池を巡るシラビソコースがあり前者を終了した人だけが後者のコースに入ることができる仕組みになっている。
さて滝を巡るカモシカコースの最初の滝が左の写真の久手御越滝(クテミコシダキ)である。落差は58mで滝の手前から全貌を見ることができる。コースのスタート点(国道158号横)からここまでは約1.7km・標高差は160m弱の道のり。この道のりを1時間15分程度で歩いてくる。メインインストラクターの方は上平さんという方だったが、実に動植物に詳しく話も上手なので余り疲れを感じず歩いてきた。
ところで今回の滝巡りの私の目的の一つは滝のきれいな写真を撮ることにある。そのために3つの準備をした。まずレンズは広角レンズ(ズイコーデジタル11-22mm f2.8-3.5)。次に滝の水の柔らかにつながる感じを写すためシャッター速度を落とす小道具としてNDフィルター(減光)。最後に手ブレ防止のために一脚+自由雲台を準備した。本当は三脚の方がより安定した写真が撮れるが移動性を考えて一脚とした。
上の写真はシャッター速度を1/15秒で撮影した。水の連綿と落ちる様子をとらえて美しいと思う。
次の滝が池之俣御輿滝。この滝は数段に重なっているが全貌を撮ることは難しい。この写真は登山道の丸太橋を渡ったところから撮ったもので最下部の写真である。深い森の中で滝の冷気を浴びると昨日のお酒を流す汗も引き本当に気持ちが良い。
池之俣御輿滝からは少し登って木の香りがする烏帽子小屋へ着く。新しい小屋(登山道自体昨年オープンとのこと)はエコトイレで総てがきれいだ。 ここでおにぎり3個の昼食。空気がおいしいせいか食欲が進む。
烏帽子小屋からはブナの林やサワグルミの林を通っていく。ブナの林は暗いがサワグルミの林は明るい。これはサワグルミに陽樹の性格があり、洪水に襲われた後の谷筋などに生育するからだ。一方ブナは陰樹であり、暗いところでも生育できる。このためサワグルミの林も表土が安定してくるとブナに駆逐されることがあるという。そんな大きな時間の流れの中の植物相の変遷に思いを巡らせながら歩くことも楽しい。
さて「ネズ壁」というところから急斜面の下降が始まる。急坂の中ほどまで降りると左手に青垂滝の雄滝、右手に雌滝が見える。左の写真は雄滝だ。雄滝は大きく2つに分かれていて下段は柱状摂理が順層に積み重なっているので、登ろうと思うと登れないことはない。しかし上部はオーバーハング気味で空中から水のしぶきが降ってくる様に見える。
上の写真は青垂滝の雌滝である。雌滝の方が落ち口の標高が雄滝よりやや高い様な気がする。また滝の幅も広い様だ。ただしまとまりのよさという点から私は雄滝に軍配を上げたい。
これでこのコースの滝は総て終わり、その後富士山麓の青木が原樹海の中に似た地形~地元ではゴスワラと呼ぶそうだ~の中を歩く。
その後平凡な道を少し歩くと出会い小屋(バス乗降所)は直ぐである。
なおついでに池巡りコース中の最大の滝、というか五色ケ原を代表する名瀑布・布引滝の写真を掲載しよう。
インストラクターの方によればこの滝の中央部分の岩が円空仏に見えるという。
いわれてみればなる程そのとおり。そういえば青垂滝・雄滝の下部にも円空仏が浮かんでいた様な気がする。
この写真の他何枚か写真をフォトアルバムに掲載したのでご関心のある方はお立ち寄りください。