私が理事を務めるあるNPO法人が4月初旬に大阪で理事会を開催したいと言ってきた。5月に社員総会を開くために理事会開催が必要ということだ。だが大阪では松井市長が「当面は不要不急の外出や会合は控えて欲しい」と呼び掛けている。NPOの理事会や総会が不要だとは思わないが、緊急性には検討の余地がある。「新型コロナウイルス感染拡大防止に協力するため、総会を暫く延期する」と会員に通知しても大きな反対はおきないはずだ。
問題は会員に低コストで迅速に情報を伝える手段を揃えていない点である。このNPO法人は教員のOB・OGが多いが高齢の方が多く、連絡は事務局からの手紙・はがきの郵送となっている。手紙やはがきの郵送にはコストと手間がかかるので、頻繁に連絡をとることができない。
私はかねてより、情報伝達手段としてHPの活用やメーリングリストの活用を提言してきたのだが、抵抗勢力が多く実現していない。
ついでにいうとかって事務局長を務めていた相続関連の団体もIT技術の活用にはあまり熱心ではなかった。こちらの団体は現役の税理士や司法書士の方も参加している団体なのだが、IT技術を活用して、コミュニケーション環境を整えるということにほとんど関心を示さなかった。これは「先生方」の顧客が高齢者でコミュニケーション環境を整えても、顧客との情報交換に使えないという事情があるのだろうと私は好意的に解釈している。
だが今回のコロナ騒動は、企業のみならずNPO法人など各種団体にもテレコミュニケーション環境の整備の必要性を痛感させたろう。
NPO法人もメールはもとより、ZOOMなど安価で使い易いビデオ会議ツールを使い、コミュニケーションを行うように努めるべきである。それはコロナ対策のためだけではない。NPO法人といえども、会員から集めた会費や寄付金を効率的に使うべきである。つまり通信費や交通費は極少化するべきなのだ。
コロナという危機を将来に生かすことがあるとすれば、それは全国民的なITリテラシーの向上とマイナンバーを使ったある程度の国民の行動管理が必要、という教訓なのだが、どこまで理解を得ることができるか?私は少々悲観的である。