金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

AI時代に必要な"C"で始まる5つのスキル

2025年02月28日 | うんちく・小ネタ
 2月は残すところ今日1日ですが、株式市場では随分売り叩かれましたね。
 私もそうですが、米国株特にIT関係の株を持っている人は、株安とドル安のダブルパンチを食らっていると思います。たしかにIT銘柄はAIブームの中で買われ過ぎました。株式投資の対象としてはしばらくAIは妙味が薄れていますが、働いている人のスキルアップの対象としてはAI技術はmustの技術だと思います。
 しかしスキルの専門家はAIの時代に必要な技術は、むしろある種のヒューマンスキルだと述べています。
  世界最大のプロフェッショナルSNS・LinkedInのアニーシュ・ラーマン経済機会責任者が「AI時代に必要なスキルはCで始まる5つのスキル~創造性creativity、好奇心curiosity、勇気courage、思いやりcompassion、コミュニケーションcommunicationだ」と述べているという記事がCNBCに出ていました。
 記事の題名は'The knowledge economy is on the way out.' These are the skills workers need in the age of AI,says LinkedInです。
 記事によると「知識経済」は衰退に向かい「イノベーション経済」の時代に入ります。長い農業と工業の時代では身体的能力が仕事能力の決め手で、知的能力が仕事能力の決め手になったのは、ここ数十年の話に過ぎません。
 でもその知的能力(あるいは知識能力)と呼ばれるものは今急速にAIに取って代わられようとしています。たとえば外国語の翻訳などもAIを使えば簡単に行うことができます(もっともある程度その外国語の知識がないと誤訳リスクはあります)。
 昔に較べると「翻訳」という知的能力の価値がかなり減っているということができます。
 そんな中求められるスキルは、イノベーションに結びつく創造性などのスキルだというのが、LinkedInの主張です。
 著者は以前は「ソフトスキル」と呼ばれていたこれらのヒューマンスキルがテクニカルスキルと同様に「ハードスキル」になりつつあると述べていました。
 
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ネパールの大学は皆トリブバン?沢木耕太郎の本の話だが・・・

2025年02月25日 | うんちく・小ネタ
 この前ネパール人夫妻が日本に遊びに来た時、聞けば良かったのだが、タイミングを失し、確認できなかった笑い話がある。
 その話は沢木耕太郎のバーボン・ストリート(新潮文庫)の中のクレイジー・クレイジーに出てくる。
 「ネパールにトリブバン大学という有名な大学がある。この大学は超エリート校でこの大学を出るとエリートとして将来が約束されているので、受験生が殺到した。この過熱状況を沈静化するため、文部省のある役人がコペルニクス的転回というべき名案を思い付いた。それは全ネパールの大学をトリブバンと改名するというものだった。」沢木耕太郎は「驚くべきことに学制改革の際にこの案は採用され、ネパール中の大学はすべてトリブバンという名に変わったという。本当か嘘か確かめることもしなかったが、この話は悪くなかった。」と結んでいる。
 無論この小話は超有名校への受験生の集中を揶揄した作り話だと私は思う。
 なぜなら現在ネパールにはカトマンズ大学、ネパール工科大学など幾つかの大学があるからだ。また総ての大学がトリブバン大学では、トリブバンは大学という普通名詞になってしまうだろう。
 ということで話を面白くした小話なのだろうが、この話がネパール生まれなのかどうかをちょっと聞いて見たかったが、今回はその機会をなくした。
 ちなみにトリブバンというのは「三つの世界」という意味でヒンドゥー教では天界・人間界・地獄界を指すらしい。トリブバンはカトマンズの空港名にもなっている。
 ところで現在ネパールの大学生はトリブバン大学などネパール国内の大学に進むより(あるいは進学した後で)海外の大学で勉強することを選好するようだ。海外で先端的な学問を勉強してそのまま海外で働く若者も多い。でもそんな傾向が続くと国が空洞化してしまうだろう。もう一度国内に超エリート校を作る試みがあっても良いかもしれない。
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段取りがよくないと旅はできないが‥‥

2025年02月24日 | うんちく・小ネタ
 先週ネパールから知人のB夫妻が日本に来ていた。私が昨年11月にネパールに行った時「ネパールの観光旅行が暇な2月頃久しぶりに日本に来たらどうだ?」と私の方から誘っていたので、今月来た次第。彼はネパールで小さな旅行会社を経営しているので、春先や秋は忙しいのだ。
 来るのは歓迎だが、彼らの段取りの悪さやスケジュールをコロコロ変えるのには少々疲れた。
 まず直前までやってくる日が決まらない。これは在ネパール日本大使館にビザを申請する必要があるのだが、その申請が遅れたことにある。ビザの申請には日本側の招待者(この場合私)の招待状や滞在費や帰国費用の支払を保証する保証書が必要なそうだが、その作成の依頼がギリギリにやってきた。また作成した文書を電子メールで送るとしばらくして、サインしたオリジナルが欲しいので郵送してくれと依頼がきた。郵便局からEMSで送ると「まだ届かない。トレースしたい」というのでトレース方法をメールで連絡するなど色々な雑事が次々と発生した次第。で結局ビザは降りたが後で聞くと「サインしたオリジナルは以前は必要だったが今は不要になっていた」とのこと。旅行会社の社長なんだからちゃんと調べておけよ、と言いたくなった。
 ホテルの予約は直前になって私がBooking.comで行ったが、B氏は「東京は気に入ったし、友人と会いたいのでもう一泊したい」と前日に言い出す始末。その時泊まっていたホテルは満室で連泊不可なので、近所のホテルを予約してなんとかB夫妻の希望を適えた次第だが、彼らが日本語が分かるなら「あんたらほんとにいい加減やな。もうちょっと段取りよく旅してよ」というところだ。
 段取り悪いというのを英語でいうなら、You are not well organized.というところだが、これはちょっと強過ぎるかもしれない。
 段取りが悪い、効率的にモノゴトが整理されていないというのは、ビジネスパーソンにとって致命的な批判ともいえるからだ。
 段取りの悪さはB氏固有の問題だけではなく、ネパールの社会経済システム全体にいえることだからだ。非効率なシステムの中で暮らしているうちに皆が段取りが悪くなってしまったということはあるだろう。
 私はふとレイモンド・チャンドラーの有名な言葉を思い出した。
「強くなければ生きていけない。やさしさがなければ生きていく値打ちがない」
 言い換えるなら「段取りが良くないと旅は進まない。スケージュールの変更を許容する曖昧さがなければ旅は面白くない」ということになるのだろうか。
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定額減税二重取り?まもなく還付金が支払われますが

2025年02月12日 | うんちく・小ネタ
 今年の確定申告は1月末に行いました。先日税務署から今週金曜日に支払い手続きを行うと通知がありました。申告を行ってから2週間で処理されていますので、以前より若干処理速度はあがったような気がします。
 今年の確定申告はe-taxを使い、マイナンバーで紐づけされた情報はそのまま使用しました。手入力を行った部分は支払った企業年金、医療費と社会保険料(国民健康保険料)だけでした。国民健康保険料あたりはマイナンバーを使って確定申告に紐づけして欲しいものですね。
 さて確定申告で気になっていた点は定額減税が二重取りになっているのではないか?という懸念でした。マイナポータルからダウンロードした公的年金等の源泉徴収票を見ると「源泉徴収時所得税減税控除額」として1万円なにがしの金額が記載され、その下に控除外額として6万円(夫婦二人分の所得税減税額)マイナス1万円なにがしの金額が載っていました。
 普通に考えると確定申告では控除外額つまり控除していない額が控除されると思いますが、確定申告では6万円控除されていました。つまり控除額相当分は二重取りするのではないか?と思っていましたが、国税庁のプログラムに従って処理したのでよかろうと思いそのまま申告した次第です。
 最近ネットで「定額減税 二重取り」と検索すると「制度設計のミスから二重取りが発生するケースがある。財務相は自治体等の事務負担を考え二重取りを容認すると述べている」という記事がありました。
 定額減税は岸田前首相時代に「賃上げの促進とデフレ脱却を確実にする」目的で実施されました。数日後の還付金は昨今のインフレで傷んでいる家計の助けにはなりますが、当初の政策目的達成にはあまり寄与しなかったと思います。
 この政策目標を達成するにはもっと即効性のある現金給付が良かったのでしょうね。といっても私は現金給付を支持している訳ではありません。そもそも定額減税や一律現金給付のようなバラマキ型には反対なのです。それよりは傷病等により本当に支援が必要な人にきちんと給付や減税を行うというきめ細かい政策の実行が政府の役目だと考えているからです。
 
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トランプだから裏表あり?

2025年02月09日 | うんちく・小ネタ
 トランプ大統領の言動を見ていると「表裏比興 (ひょうりひきょう)」という言葉を思い浮かべますね。表裏比興 とは、知略はあるが狡猾な陰謀家で言動に裏表があるという意味です。これは秀吉が真田正幸を評した言葉として有名ですね。信州の小さな大名だった真田正幸は武田家の家臣でしたが、武田家滅亡の後、徳川・北条・上杉にくっついたり離れたりしたので表裏比興 と呼ばれたのですね。しかし領民や家臣からは信頼さてていたのでしょう。そうでなければ少人数で徳川軍を二度にわたり撃退することはできませんからね。
 さてトランプ大統領ですが、自国の要求を通すために関税引き上げを武器に交渉を進めている姿を見ると「義」の人というよりは「表裏比興 」の人という感じがしますね。
 まあトランプだから裏表があっても良いか?(ダジャレですみません)
 先日石破総理大臣と会談した時、日本製鉄のUSスチール買収案件について「買収でなくて投資であればよい」と述べたそうですが、どうもUSスチールというやや落ち目の会社に対して日本製鉄には多額の投資をさせながら、自分はちゃっかり政治ショーの幕引きを図ろうとしている可能性があると私は見ています。トランプ大統領の盟友ウィルバー・ロスは先月「日本製鉄によるUSスチールの買収に米国の国家安全保障上のリスクはない」と述べています。
 心情的な問題を別にすれば、世界ランキング20位以下のUSスチールが日本の会社に買収されようがされまいが米国経済や国家安全保障に与える影響は微々たるものでしょう。それよりは「このディールをまとめて日本側に恩を売る」ということと選挙戦で「USスチールのディールを阻止する」と述べたレトリックの落しどころをつけるという一石二鳥を狙うトランプ大統領は中々表裏比興 の人だと私は見ています。表裏比興 とは一般に悪いニュアンスが伴いますが、領民や家臣団からは強い支持を受ける場合があります。
 一国の利益を守るためには形振り(なりふり)構わず、これが表裏比興 の君主なのかもしれません。
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