世界最大の債券ファンドを運用するPIMCOのビル・グロス氏が「投資スタンスをディフェンシブに変える」と宣言した。顧客向けレターの中で彼は「各国中央政府による超金融緩和政策の持続に対し潜在的なリスクを感知した」と述べる。彼の戦略は具体的には、発展途上国などリスクの高い債券を減らし、米国のモーゲージ担保債や国債・国債関連債券を積み増すというものだ。
防御的投資モデルは持続する「ゼロ金利」時代に対応するもので、相対的に信頼できるインカムゲインに注目しアルファを追及しようというものだ。
昨年前半は米国債への投資を減らす戦略を取ったグロス氏のファンドは、ドル金利の低下メリットを享受できず、苦杯を舐めたが今度はどうだろうか?ひょっとすると、短期的には今度も相場は逆を打つかもしれない。
だが長期的に見ると、グロス氏の判断は正しいのではないだろうか?
特に人様のお金を運用して手数料を稼ぐ立場ではなく、自分の虎の子を運用する個人投資家の立場で今の状況を考えると「防御的運用」はまず考えるべきことだ。
私が今行なっている防御的運用の一つは「高配当の日本株投資」で、NTTドコモなどをポツポツと拾っている。また資金調達面ではこの前フォルクスワーゲンを購入した時、0.99%という低金利のリースが利用できたので、利用してみた。この資金で高配当株を買ったとすると3%程度の鞘を取ることができる勘定だ。高金利の資金調達でレバレッジをかける時代ではないが、低利の資金調達の機会は利用して損はないだろう。
問題は目先堅調な米国株とそれに追随する日本株のキャピタル・ゲインをどこで実現し、よりディフェンシブなポートフォリオに変えるか?というタイミングの問題だ。あるいはディフェンシブな投資とオフェンシブな投資の比率をどうするか?という問題だ。
それは相場観の問題だけではなく、今後どの程度仕事を続けるか?どの程度遊びにお金をかけるか?という問題と深くかかわっている。その最適解が得られる自信はないが、ゼロ金利の持続を相当期間予想すると、ポートのデフェンシブ化が必須であることは間違いない。