金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ビル・グロスの防御的投資モデルを参考にすると・・・

2012年02月29日 | 投資

世界最大の債券ファンドを運用するPIMCOのビル・グロス氏が「投資スタンスをディフェンシブに変える」と宣言した。顧客向けレターの中で彼は「各国中央政府による超金融緩和政策の持続に対し潜在的なリスクを感知した」と述べる。彼の戦略は具体的には、発展途上国などリスクの高い債券を減らし、米国のモーゲージ担保債や国債・国債関連債券を積み増すというものだ。

防御的投資モデルは持続する「ゼロ金利」時代に対応するもので、相対的に信頼できるインカムゲインに注目しアルファを追及しようというものだ。

昨年前半は米国債への投資を減らす戦略を取ったグロス氏のファンドは、ドル金利の低下メリットを享受できず、苦杯を舐めたが今度はどうだろうか?ひょっとすると、短期的には今度も相場は逆を打つかもしれない。

だが長期的に見ると、グロス氏の判断は正しいのではないだろうか?

特に人様のお金を運用して手数料を稼ぐ立場ではなく、自分の虎の子を運用する個人投資家の立場で今の状況を考えると「防御的運用」はまず考えるべきことだ。

私が今行なっている防御的運用の一つは「高配当の日本株投資」で、NTTドコモなどをポツポツと拾っている。また資金調達面ではこの前フォルクスワーゲンを購入した時、0.99%という低金利のリースが利用できたので、利用してみた。この資金で高配当株を買ったとすると3%程度の鞘を取ることができる勘定だ。高金利の資金調達でレバレッジをかける時代ではないが、低利の資金調達の機会は利用して損はないだろう。

問題は目先堅調な米国株とそれに追随する日本株のキャピタル・ゲインをどこで実現し、よりディフェンシブなポートフォリオに変えるか?というタイミングの問題だ。あるいはディフェンシブな投資とオフェンシブな投資の比率をどうするか?という問題だ。

それは相場観の問題だけではなく、今後どの程度仕事を続けるか?どの程度遊びにお金をかけるか?という問題と深くかかわっている。その最適解が得られる自信はないが、ゼロ金利の持続を相当期間予想すると、ポートのデフェンシブ化が必須であることは間違いない。

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ダウ13,000ポイント到達、だが気になる失業率

2012年02月29日 | 投資

昨日米国ダウは2008年以降初めて13,000ポイントを超えた。またS&P500は1,371.98とリーマンショック後の最高値を更新した。これは米国の2月の消費者信頼感指数が市場予想の63を大きく上回る70.8だったことを好感したものだ。またユーロの反発やイタリア国債の利回りが5.37%と昨年9月以降で最低レベルまで下落したことがサポート材料だった。

今日(2月29日)前場の日経平均もこの流れを受けて120円以上上昇。総じて株式市場はブルだ。

だが少し先を見ると懸念材料がないわけではない。例えばギャラップが先週発表してる季節調整前の2月中旬の失業率だ。2月の失業率は1月の8.6%から9%に上昇している。

米政府が発表する季節調整後の失業率は3月第2週に発表される予定だが、過去の傾向を見るとギャラップ調査をフォローしているので、失業率が上昇すると考えるべきだ。

またギャラップ調査の不完全雇用率は1月中旬の18.1%から19%に高まっている。これをどう解釈するべきか?

景気が良くなってきたので、今までパートタイムで働いていた人が恒久的な仕事を求めだしたと読むべきだろうか?

個人的には2月の雇用統計が大きなコレクションを起こすとは余り考えていないが、注目はしておきたいと思う。

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本日(2月28日)の日本再建イニシアチブの発表は?

2012年02月28日 | ニュース

本日午後3時から財団法人 日本再建イニシアチブが福島原発事故に関する調査結果について記者発表を行なう予定だ。

たまたまこの時間帯はミーティングがあり、外出するがライブ中継もあるので、見れるものなら見たいとこころだった。

さてその記者会見の内容の一部になると思われる内容について、ニューヨーク・タイムズが報じていたので、ちょっと拾ってみた。

それによると「福島第一原発事故の後、日本政府は東京電力が福島第一から作業員を全面撤退させた場合、悪魔の連鎖的反応により、他の原発にまでメルトダウンの可能性が高まるので、東京から撤退することを考えていた」「日本政府はこの最も恐怖心を抱かせる評価を国民のみならず米国のような同盟国に対しても隠した」

また今回リリースされる4百ページにおよぶレポートは米国政府内外の核問題専門家の「日本政府は福島原発の全面的危険性について率直に述べていない」という懸念を追認すると思われると記事は述べている。と同時にレポートは米国政府が時としてリスクについて過剰反応したことも指摘すると思われる。

なおレポートは「政府の調査とは異なり、東京電力は福島原発から全面撤退することを望んでいた」と述べ、菅首相が東電に乗り込み、その動きを止めたことを日本を救ったと評価している。

☆   ☆   ☆

さてこのレポート、どの部分にフォーカスするか?によって政府の対応に対する評価が変わるだろうと思われるが、政府が国民にリスクを知らせることなく、逃げようとしていたなどということを強調すると「とんでもない!」ということにもなる。

財政赤字の問題などを見ていると、この国の政府はリスク感覚はあるのか?と強い疑問を感じることが多い。慢性的に国民をリスクに晒して平気な感覚はこの国の政治屋に脈打つ弊風なのだろうか?

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頭の良い人は投資が上手い

2012年02月27日 | 投資

先週テレビのクイズ番組で、タレント達のIQをテストを行なっていた。5問中3問正解をすると勝ち残りという仕組みで問題がだんだん難しくなっていくというもので、IQ120位から先は東大・京大出身のタレントばかりが残っていた。彼等・彼女等の解答アプローチを聞くと「世の中には頭の良い人がいるものだなぁ」と改めて感じた次第だ。

ところでニューヨーク・タイムズに「12月のジャーナル・オブ・ファイナンスに発表されたレポートによると条件付だけれど、頭の良い人は投資が上手だ」という記事が出ていた。

仮にこの命題が正しいとすればその対偶である「投資が上手くない人は頭が良くない」という命題も正しいことになるが、昨今この対偶は物議をかもすかもしれない。

例えばAIJ投資顧問に多額の年金資産を預けて大損をした〇〇総合基金の運用担当理事などは、結論からいうと「投資が上手くない人」で「頭が良くない」ということになるからだ。

さて何故ジャーナル・オブ・ファイナンスに出た研究が条件付か?というとその研究がフィンランドでの実証的研究のみをベースにしているからだ。

フィンランドが何故研究対象になったというと、徴兵制を取るフィンランドでは対象男子全員のIQデータがそろう。またフィンランドでは資産税が課税されるので、対象者は投資ポートフォリオを政府に報告する義務がある。よって研究者はIQと投資行動の関連を調べることが可能である。

調査結果について研究者が到達した結論は「IQが高い人間は、個別銘柄選択に特段の才能がある訳ではないが、IQの高い人間は成功する投資の基本的なルール~例えば分散投資~をフォローする傾向がある」ということだった。

そして頭の良い人は素直に他人の成功体験を信頼する傾向があり、彼等は株式市場を信頼し、株式投資比率を高める傾向があることが分かった。

ニューヨーク・タイムズは「誰を信頼するかを知ること自体は知性の領域の問題であり、投資に関する意思決定は脳のブロードマンエリア10(前頭極?)に大いに依存する」と述べている。

この話をもう少し突っ込んで考えてみよう。投資というものは一人で行えるものではない。年金基金等の機関投資家になると、信託銀行や投資顧問会社に運用を委託する。個人でも証券会社や銀行で投信を買うことも増えている。

この時「信頼できる運用者」を選択する眼が投資のパフォーマンスの分かれ目になる。頭の良い投資家とは、信頼できる運用者を選ぶ眼を持っているかどうか?ということになるのだろう。信頼できる運用者を選ぶ眼というのは、より一般的にいうと信頼できるプロフェッショナルを選ぶ眼ということで、これは世の中を渡る上で常に必要なものだ。IQが高いとはそのような眼を持っているということなのだろう。

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米国株、リーマンショックのレベルを回復したが・・・

2012年02月26日 | 投資

先週金曜日にS&P500は1,365.74ポイントまで上昇した。これは2011年4月の1,363.61ポイントを超え、08年のリーマンショック前のレベルまで戻ってきた。リーマンショック後の米国株の下落は激しく、1ヶ月で4分の1の価値が吹っ飛んだ。ただし株価は「将来の期待」を先取りするものだから、回復の方も早かった訳だ。これは歴史的に見ても、非常に素早いリバウンドだ。1929年の大恐慌や1989年の日本のバブル崩壊と比較するとそのリバウンドの素早さが分かる。大恐慌後、実質価値において株価が恐慌前の水準を回復するには25年の年月を要したし、日本では未だにピークを回復していない。

だがもっと広い眼で金融危機が先進国に与えたマイナスの影響を見てみると傷跡は大きそうだ。2月25日付のエコノミスト誌は「失われた時を求めて」のプルーストからプルースト指数という言葉を作っている。それによるとギリシャは経済危機で12年を失った。イタリア、ポルトガル、スペインといったところは7年の損失、英国は8年で米国は10年の損失ということだ。

エコノミスト誌は損失を計算するに際して7つの経済健全性指標を3つの大きなカテゴリーに分けている。第一は家計の健全性に関するもので、金融資産の価値や不動産価格がこのカテゴリーに入る。二番目は年間生産量や個人消費、三番目は実質賃金や失業率だ。

例えばインフレ調整後の不動産価格で見ると平均的なアメリカの自宅所有者は2001年の物件価値の上にいるから10年の遅れがある。アメリカの失業率は改善傾向にあるが、未だに1983年当時のレベル。英国の失業率も過去17年で最悪だ。

今回の世界的な株高は中央銀行の思い切った流動性供給や米国の景気回復ムードが牽引したことが大きい。株高が消費拡大や住宅市況の本格回復につながるかどうか?原油高などのマイナス要因を抱えながら、実物経済は前に進もうとしている。

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