先週の日経新聞朝刊に「西多摩郡瑞穂町が古い民家を買い取ってコミュニティ施設にした」という記事が出ていた。記事を見て私は昔瑞穂町のフレンチ・レストランに家族で行ったことを思い出した。そのレストランの名前はグランベール「とうすけ」、料理の値段は都内のフレンチ・レストランの半額程度だが、味は互角以上だった。まさに雛には稀なレストランだった。
インターネットでこの「とうすけ」のことを調べたところ、なんと数年前に廃業して建物を瑞穂町に売却したとのこと。これがコミュニティ施設「耕心館」になったのである。
久し振りに雨が上がったので、武蔵村山のショッピングモールに行く前に少し足を伸ばして「耕心館」に寄ってみた。
門の横の立て札を読むとこの建物は、当地の豪農で醤油醸造業を営んでいた細渕家のものを瑞穂町が買収したとあった。
フレンチレストランは今はキーコーヒーの看板が立つありふれた喫茶店になっている。入館料は無料で今日は植物画の展示が行われていた。花や葉っぱを利用して絵をかいたもので、私は上高地から見た穂高連峰の絵のうまさに関心した。
門を出たところから隣の敷地の天まで届くほどのケヤキの巨木が立っていた。このケヤキは細渕邸の変遷を静かに眺めていたことだろう。現在「耕心館」では時々演奏会などが催されている。遠方からわざわざ行くほどのことはないが、近隣の人には手頃だろう。1万円、2万円のフレンチも良いが、1千円程度の軽食には気軽さがある。
「とうすけには昔は野球の田淵選手も来ていましたよ」と「耕心館」の受付の人が言っていた。しかし本格フレンチはついに瑞穂町に定着することはなかった・・・・。