米国の調査機関ピューリサーチが5月に世界39カ国で行った調査によると、世界中の人々がそれぞれの国にとって脅威と考えていることの上位3者は「地球規模の気候変動」(54%)「国際的な金融不安定」(52%)「イスラム過激主義グループ」(49%)だった。( )内は比率。
全世界ベースでは54%の人が「地球規模の気候変動」が主たる脅威と言っているが、地域別には違いがある。米国では40%の人がそう述べるにとどまっているが、ラテンアメリカでは65%の人、アジア太平洋地域では56%の人が「地球規模の気候変動」が主たる脅威だと述べている。日本では「地球規模の気候変動」を主たる脅威にあげた人の割合は72%で比率は世界平均よりかなり高い。だが日本人が懸念材料としてあげたものの中では3番目だ。日本人が懸念材料としてあげたトップは「北朝鮮の核開発プログラム」で77%、2番目が「中国の力と影響力」で74%だ。
このピューの調査を流し読みしていくとある興味深いことに気がつく。それは国によって懸念材料の集中・分散度合いがかなり違うということだ。
例えば米国人の懸念材料のトップ3は「北朝鮮の核開発プログラム」59%、「イスラム過激主義グループ」56%「イランの核開発プログラム」54%となっているが、日本に較べるとトップ3への集中度合いが低い。因みに今暴動が起きているエジプトやデモが続いているトルコのトップ3への集中度はもっと低い。エジプトでは45%の人が「国際的な金融不安定」42%の人が「イランの核開発プログラム」41%の人が「イスラム過激主義グループ」をあげていた。
ここから先は推測の話だが、脅威と感じることが分散している国は、民族的・宗教的・階層的に多様な社会で国として、政策決定に時間がかかる(べき)国である。民主主義国家では、議論と整然とした選挙運動で政策目標のプライオリティが決定され、民主主義が未成熟な国では時として暴力的な手段で政治的意図を表現せざるをえない場合がある。
日本より脅威と感じることが集中している国は韓国で、85%の人が「地球規模の気候変動」を、83%の人が「国際的な金融不安定」を、82%の人が「北朝鮮の核開発プログラム」を主たる脅威にあげている。
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懸念材料が絞りこまれている日本だが、その対策はきたる参院選挙で主たる論点になるのだろうか?憲法改正問題は「北朝鮮の核開発プログラム」と「中国の力と影響力」に関わる問題だから、かなりの論点になると言えるだろう。だが「気候変動」の問題は、脇に置かれているのではないだろうか?原発の存続・廃止の議論は気象変動に関わる問題なので合わせて論じてほしい問題なのだが・・・・・・