金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

世界の三大脅威とは?

2013年06月30日 | ニュース

米国の調査機関ピューリサーチが5月に世界39カ国で行った調査によると、世界中の人々がそれぞれの国にとって脅威と考えていることの上位3者は「地球規模の気候変動」(54%)「国際的な金融不安定」(52%)「イスラム過激主義グループ」(49%)だった。( )内は比率。

全世界ベースでは54%の人が「地球規模の気候変動」が主たる脅威と言っているが、地域別には違いがある。米国では40%の人がそう述べるにとどまっているが、ラテンアメリカでは65%の人、アジア太平洋地域では56%の人が「地球規模の気候変動」が主たる脅威だと述べている。日本では「地球規模の気候変動」を主たる脅威にあげた人の割合は72%で比率は世界平均よりかなり高い。だが日本人が懸念材料としてあげたものの中では3番目だ。日本人が懸念材料としてあげたトップは「北朝鮮の核開発プログラム」で77%、2番目が「中国の力と影響力」で74%だ。

このピューの調査を流し読みしていくとある興味深いことに気がつく。それは国によって懸念材料の集中・分散度合いがかなり違うということだ。

例えば米国人の懸念材料のトップ3は「北朝鮮の核開発プログラム」59%、「イスラム過激主義グループ」56%「イランの核開発プログラム」54%となっているが、日本に較べるとトップ3への集中度合いが低い。因みに今暴動が起きているエジプトやデモが続いているトルコのトップ3への集中度はもっと低い。エジプトでは45%の人が「国際的な金融不安定」42%の人が「イランの核開発プログラム」41%の人が「イスラム過激主義グループ」をあげていた。

ここから先は推測の話だが、脅威と感じることが分散している国は、民族的・宗教的・階層的に多様な社会で国として、政策決定に時間がかかる(べき)国である。民主主義国家では、議論と整然とした選挙運動で政策目標のプライオリティが決定され、民主主義が未成熟な国では時として暴力的な手段で政治的意図を表現せざるをえない場合がある。

日本より脅威と感じることが集中している国は韓国で、85%の人が「地球規模の気候変動」を、83%の人が「国際的な金融不安定」を、82%の人が「北朝鮮の核開発プログラム」を主たる脅威にあげている。

☆    ☆    ☆

懸念材料が絞りこまれている日本だが、その対策はきたる参院選挙で主たる論点になるのだろうか?憲法改正問題は「北朝鮮の核開発プログラム」と「中国の力と影響力」に関わる問題だから、かなりの論点になると言えるだろう。だが「気候変動」の問題は、脇に置かれているのではないだろうか?原発の存続・廃止の議論は気象変動に関わる問題なので合わせて論じてほしい問題なのだが・・・・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「観光革命がニッポンを変える」?変えるは我々の意識

2013年06月29日 | テレビ番組

今日(6月29日)NHKの「観光革命がニッポンを変える」を見た。どうすれば外国人観光客をもっと増やすことができるか?ということに関する内外の識者の討論だった。

色々な話が出ていたけれど私は「今の日本にはバカンスvacances(長期休暇)の意識もなければ、その施設も極めて少ないことが一番の問題」だと感じた。

国内旅行のパンフレットを見ても、一泊二日か精々二泊三日のパックものが多く1週間、2週間の長期滞在型はほとんどない。ここがバカンスが主流の欧州との大きな違いだ。

「観光」は英語でいうとsightseeing。つまり何かを見て回る、という意識が強く働く。だから一筆書き的に有名スポットを飛び回るプランになる。だがフランス語のバカンス(長期休暇)は、英語のvacancy(空っぽ)と語源は同じ。つまり何もしないでぼーとする時間、ということだろう。

アメリカ国内で大西洋に臨むリゾート地のホテルに泊まったことがあった。私たち家族は海に入って短い休暇を楽しんでいたが、何人かのアメリカ人の宿泊客は、ビーチパラソルの陰で、波の音を聴きながら読書に耽り、読書に疲れたら眠りに落ちていた。そこには何もしない贅沢な時間があった。まさにvacantな時間と空間である。

日本に外人観光客を増やそうと考えるなら、長期滞在ができる施設やもてなし方法を考えるべきだ。まず今の旅館は料金が高過ぎて長期滞在的でない。次に「何か本格的なことをする」仕組みを欠いている場合が多い。先ほどは「何もしない贅沢な時間」と書いたが、正確にいうと「何もしないことをする」という意味では、心身を脱落させることができるファシリティの提供も立派なしくみだ。

「何もしない」時間は「アクティブに何かをする」時間と対になるものだ。だから本格的にアクテイブな活動をする舞台も欲しい。冬ならば本格的なオフピステのスキーが楽しめるような環境、夏ならば乗馬やフライフィッシングが楽しめるような環境などが良いだろう。

長期滞在して楽しめる環境とエンターテイメントをもっとリーズナブルな値段で提供する施設が増えてくると日本にも外人観光客が増える可能性があると私は考えている。だがそのような施設を「外国人向け」に作る必要があるのだろうか?むしろ我々日本人が休みの過ごし方や休暇のあり方を見直して、もっとバカンスを楽しむようになるべきなのだろう。そしてそのようなファシリティが増えてきた時、自然に外国人利用客も増えるというのがこの国の正しいレジャー産業のあり方だ、と私は思っている。我々の意識を変えないで、観光産業を変えるというのは本末転倒である。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「山角景気ウォッチャー的」にはかなりOK?

2013年06月28日 | うんちく・小ネタ

今日(6月28日)は日本株が3%を超える急上昇。米連銀の債券買取プログラムの削減が遠のいたとの判断から買いが入っているようだ。たまたまかもしれないが、証券会社からはNISA(少額投資非課税制度)の売り込みセールスの電話が入ってきた。株価が反騰しているので、電話がしやすいかったのだろうか?

さて後1ヶ月ほどで夏山シーズンなので、数日前山小屋(八方池山荘)に予約の電話を入れたところ、「既に満員です」とあっさり断られてしまった。慌てて別ルートの山小屋を予約したが、こちらもかなり混んでいます、とのこと。リーマン・ショックの後も夏山の山小屋は混んでいたから、景気と登山者数の連動性が高いかどうかは分からないが、ハイカーまで入れると今年の山は相当混むのではないか?と予想している。

一つは富士山の世界遺産登録が決まったので、富士登山者が増えること。そして富士山の足慣らしとして、高尾山など近郊の山を登る人が増えることだ。また富士山からスタートして他の高山に登る人も増えるかもしれない。次に円安基調が続くと外国からの登山者が増えることだ。

団塊の世代の退職で、中高年登山者が増えることも登山者の増加要因だ。また「山ガール」も元気である。

幸いなことに山小屋予約、往復の列車の予約も無事済ませることができた。夏にお出かけ予定のある人は早目に動いた方が良い、と感じた次第。山角景気ウッチャーの目には景気はプラスに向かっていると見えた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ダドリーNY連銀発言で米株3日続伸

2013年06月28日 | 投資

昨日(6月27日)米株は3日続けて続伸。ダウは114ポイント上昇して節目の15,000ポイントを回復し、15,024.49ポイントで終了した。

新規失業保険申請数が先週より9千件減少して、355千件になるなど好調な指標が発表されたこともあるが、市場はニューヨーク連銀のダドリー総裁等複数の連銀関係者の「債券購入プログラムの削減は暦の上の日程の問題ではなく、経済概況に依存している。」という発言を好感した。バーナンキ連銀議長の発言でQE3の終了時期が予想よりも早いのではないか?と疑心暗鬼になった株式市場だが、経済成長と労働市場の回復が予想より遅い場合は、バーナンキ議長が示唆したタイムラインよりもQE3はもっと積極的になるだろうというダドリー発言に安心感が広がったようだ。

さて私も一時利食ったETF SPDR S&P500をまた購入することにした。これから数年間は米国株が強いと私は考えているので、米国株長期投資の姿勢は変わらない。ただし長期投資をする、ということは売買をしないで持ち続けるという訳ではない。上がり過ぎたと思ったら売り、下がり過ぎたと思ったら買いながら、長期的に時価を安定させていくオペレーションが長期投資なのだろうと私は思っている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米国GDP成長率、下方修正で株が買われた

2013年06月27日 | 投資

昨日発表された米国の第1四半期のGDP成長率(年率換算)は、1.8%と前回予想の2.4%から下方修正された。GDP成長率は過去指標なので、市場の注目度合いは雇用統計などより低いが、昨日の米国株は買われて約1%上昇した。一般的にはGDP成長率の下方修正はマイナス要因だろうが、景気の鈍化懸念で連銀が債券購入プログラムの縮小を延期するのではないか?という予想が市場心理をサポートした。

GDP下方修正の最大要因は、給与税の2%上昇により、消費が予想より伸びなかったことだ。

前回予想では3.4%だった消費の伸びは、2.6%にとどまった。しかしその前の四半期に較べると消費は伸びているし、消費者のセンチメントは後退していない。消費減退のリスクは高くないが、景気は連銀が考えているよりは弱くて、債券購入プログラムの縮小時期を連銀は再考するのではないか?という連想が働くレンジの数字だったのだ。

連銀の金融緩和政策持続は日本株にも好材料。シカゴ日経先物は230ポイント上昇していた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする