金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

年の瀬は氷の階段、瑞牆山

2012年12月31日 | 

12月31日(月曜日)快晴→晴。名古屋在住のSさんと瑞牆山に登った。前日午前11時に雨の中、小淵沢をレンタカーで出発。増富温泉で体を温め午後2時過ぎに瑞牆山荘到着。雨の中大日小屋に登るモチベーションはないので、年末登山は瑞牆山に切り替えた。この日の山荘の宿泊客は我々を含めて4人。マスターは笹子トンネル事故等で今年の登山客は例年の1/10だとぼやいていた。

雨は夜半にはあがり、朝外に出ると月が山荘の上に出ていた。午前7時5分出発。7時50分富士見平に上がる手前の急坂でアイゼンを着けた。冬用登山靴+アイゼンという重い足回りにピッケルやオーバーズボンという装備の重さが加わりピッチは上がらない。(写真はアイゼンを着けた場所)

Fujimidairasita

富士見山荘横分岐点から天鳥川、というルートは夏道をたどる。北斜面の下りルートは昨夜の雨が凍りベルグラが張っていた。

天鳥川を渡って瑞牆山の登りに入っても岩の階段には氷がびっしりと張っていた。この時期の瑞牆山登山は「氷の階段登り」だ。瑞牆山の様に岩の間を登るルートではアイゼンの着用は疲労を増す。というのは爪(ツアッケ)の長さ分だけ余計に足をあげる必要があるからだ。またアイゼンを着けると油断は一層禁物。アイゼンを引っ掛けるという小さなアクシデントが大事故につながる可能性があるから、緊張が高まる。今回メンバーが使用したアイゼンは10-12本爪。ピッケルは持っていったが使うことはなかった。

Beforepeak

頂上直下には写真の小さな岩場があった。

10時45分ようやく頂上到着。富士山から金峰山の眺望が素晴らしい。八ヶ岳連峰は主峰赤岳は雪雲の中だった。(写真は金峰山)

頂上から15分ほど下った陽だまりの中でチョコレートをかじりながら富士山の勇姿を撮った。

Kinnpusann

ヤスリ岩も真下に見えた。

Yasuriiwa

自分の写真も一枚。

Peak

頂上から15分ほど下ったところで富士山を見ながら軽い食事。

Fuji_2

天鳥川から富士見平に少し登ったところで瑞牆山の全貌が見えるスポットがあった。

Mizugaki

午後0時35分富士見平に戻りランチ。明るいテント場に数張りのテントが立っていた。

Fujimidaira2

午後1時20分 瑞牆山荘前に帰着。レンタカーを運転して午後2時50分小淵沢駅到着。

★   ★   ★

瑞牆山の積雪は頂上でも10cm程度と軽いものだった。ただしガリー状のところにつけられた夏道は氷が張り少し大袈裟にいうと氷の階段登りのようなものだった。この日我々はトップで瑞牆山の頂上にたった。またすれ違った登山者も7,8名と少なかった。

私にとって瑞牆山に登るには4回目である。前回(今年の秋)の登山記録を見ると登り2時間30分だった。6時40分に登山を開始して戻ってきたのは11時40分だった。今回の登りに要した時間は秋の登山より1時間長い3時間半だった。また往復の所要時間は6時間10分だった(秋の時は5時間だった)。

フル装備の冬山登山はやはり時間がかかるものだった。少し疲れたけれど満足度の高い登山で山に明け暮れた一年を私たちは締めくくった。

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来年は「大輪作」の時期?

2012年12月30日 | 株式

FTは農家が収穫高の最大化を目指して輪作を行う「輪作」の原理が金融市場にも適用できるかもしれないと書き出していた。

2012年は世界的に株高だった。米国のS&P500は1年間で12.23%上昇、欧州のEurofirst300は14.97%上昇、エマージングものもMSCIEmerging ETFが14.3%上昇した。中でも年末にかけてラリーが激しかった日本株(TOPIX)は18.01%上昇と世界のインデックスの中で一番上昇した。

世界的な株高の一番の理由は中央銀行の無制限な金融緩和政策だ。出遅れていた日本でも安倍政権の誕生で本格的な金融緩和・インフレ政策が取られるという予想から、株価が急上昇した次第。

では来年は「株高」にかけて大輪作をする時期だろうか?

予測を立てる前に過去を少し振り返ってみよう。今年1年日本株は18%上昇したが、昨年1年間では19%近く下落した。つまり2年通しでみるとまだマイナス。2008年年央には1,400ポイントだったTOPIXは12月末で859ポイントに過ぎない。

一方2008年年央に1400ポイントだったS&P500は12月にはほぼ同水準に戻している。日本株は出遅れているのかそれともファンダメンタルが違うのか?

農作物の輪作には長年の経験で蓄積された叡智が働く。しかし金融市場の輪作原理はそこまで熟していない。1つ2つの作物に大きな財産をかけるのは危険だ。来年も色々な作物に分散するのが賢明なやり方だ。だが少しエクイティの植え付けを増やしてもいいだろうと私は考えている。

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冬山に必要な道具は?(実践編)

2012年12月29日 | 

最近の私のブログでアクセスが増えているのはNexus7の無線LAN設定に関するエントリーだ。一方検索エンジンから金融や山に関するエントリーがヒットされる件数は余り伸びていない。その中で比較的アクセスが多いのが、「冬山の必要な道具は?」というエントリーだ。

「冬山に行こう!」という人が増えているからだろう。かくいう私も明日から名古屋在住のSさんと金峰山(あるいは瑞牆山)に登る予定で先程パッキングを行ったところだ。パッキングをしながら「冬山に必要な道具は?」の続々編を書いてみることにした。

まず今回の登山計画である。明日(12月30日)JR中央線小淵沢駅に11時前に集合。レンタカーを借りて、食料を調達した後、瑞牆山荘脇の駐車場に向かい、そこから無人小屋の大日小屋に向かう。これがメインシナリオだが、雨が強い場合は瑞牆山荘泊りもあり、これがサブシナリオ。明後日は金峰山か瑞牆山を往復して増富温泉で汗を流して帰る予定だ。金峰山は6-70cmの積雪。瑞牆山は10cm程度の積雪である。

このような登山にどんな装備が必要か?というのが今回のテーマだ。まず足回りは本格的冬靴を履くことにした。6,7年前に買った靴で最近は余り使っていない。靴下は厚手のウールの靴下一枚履きである。クランポンは12本爪。

Crampon

防寒の小物は帽子2つ(通常用・吹雪用)、スパッツ、毛糸のインナー手袋、ナイロンのオーバー手袋だ。オーバー手袋は風で飛ばされないように紐を付けている。写真には載っていないが、この他フリースの薄手の手袋を持っていく。これは写真撮影など細かい作業用だ。

Cap

次に幾つかの小物。ヘッドランプなどは夏冬共通だが、冬は日が短いので使うことが多い。

白い円筒形のケースはワセリンだ。出発前に顔に塗っておくと寒さ対策になる。吹雪で道に迷うリスクもあるので冬はGPSが欲しい。

Glasses

無人小屋では当然自炊である。ガスボンベは極寒用のボンベを用意する必要がある。そうでないと気化しない。一方極寒用ボンベを夏に使うと危険だ。燃料と時間の節約から米はアルファ米を利用する。黄緑の筒は魔法瓶だ。熱くて甘い紅茶を詰めて行く。

Cooking

最後がピッケルとストック。ストックには深雪リングをはめて、雪の中で止まり易くした。

Piore

以上がざっとした装備である。これに寝袋、上下のアウターを詰めると45リットルのリュックはパンパンになった。

冬山は素晴らしいけれど、この装備の重さは応える。

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鉄鉱石価格、4ヶ月で6割上昇

2012年12月28日 | 金融

FTによると、鉄鉱石価格は過去4ヶ月で6割上昇している。2002年にはトン当たり13.8ドルだった鉄鉱石は中国のインフラ投資需要により上昇を続け、2011年初めにはトン当たり200ドルに達していた。その後中国景気の停滞感が顕著になってきたので、鉄鋼メーカーは鉄鉱石の在庫圧縮に動いた。その結果今年9月には鉄鉱石価格は過去3年の底値であるトン当たり88ドルまで下落した。しかし中国の鉄鋼メーカーが、予想より強い需要の中で鉄鉱石の在庫積み増しに動いているため、価格は再び上昇して昨日は過去8ヶ月の高値140.75ドルに達した。このような動きを受けて世界第4位の鉄鉱石生産大手のフォーテスキュー・メタル・グループが90億豪ドルの投資を行なって生産能力を3倍に引き上げる計画を再開する、というのが記事の概要だ。

中国のインフラ投資が盛んだった時は「コモディティ・ス-パー・サイクル」という言葉が流行った。中国など新興国のインフラ投資が鉄鉱石等コモディティの価格を長期的に上昇させ、資源国が潤うという理屈だ。だが中国の景気が減速して、鉄鉱石の価格が下落してくると、気の早い人は「コモディティ・スーパー・サイクル」は終わったのじゃないか?と言い始めた。

世界の鉄鉱石の半分以上を食っている中国の鉄鋼需要が鉄鉱石の価格に影響を与えるのはまぎれもない事実だが、鉄鉱石の価格を更に大きく動かしているのは、原材料を先買いする鉄鋼メーカーの動きなのだろう。これは一種のレバレッジのようなものだ。

長期的にみると中国など新興国の鉄鉱石需要は強いとしても、個別の投資はその時々の景気により増減する。景気上昇が予測されると鉄鉱石の価格は敏感に上昇し、悪化が予測されると先行指標的に価格は下落する。

という考え方が正しければ、コモディティ・スーパー・サイクルは終わったのではなく、一休みしていただけで再びサイクルが回りだしたという判断が成り立つ。

もし安倍政権にツキがあれば、コモディティ・スーパー・サイクルの波が円安と相まって、日本の物価上昇を支援するだろう。もっともそのことが日本の消費者にプラスなのかマイナスなのかは別の話であるが。

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円安、短期的には歓迎、だがその後大丈夫なのか?

2012年12月27日 | 社会・経済

総選挙で自民党の勝利が織り込まれて以来相場の上昇が止まらない。「噂で買って事実で売られる」という相場の特性から選挙後や内閣発足後は売られるのかな?と予想していたが、これは見事なハズレ。

今朝(12月27日)も日経平均はシカゴ先物市場の90円高を引き継いでしっかりと推移している。ドル円為替は85円台半ばと私が予想していた84円をあっさりと越えてしまった。

株高・外貨高はマイポートフォリオの点からは大いに歓迎。ブログの読者の中にも今年は大いに含み益(あるいは含み損の減少)で、気分良く年を越せると考えておられる方も多いのではないか?と推測する。

市場は安倍政権による「インフレ率2%をターゲットした金融緩和政策」を歓迎し、日本株買い・円売りドル買いが進んでいる。

だが言うまでもなく財政発動による景気浮揚には国債の追加発行が必要だし、円安は原材料とエネルギー資源の上昇を招き、電力代等の高騰を通じてじわりと家計を圧迫する。

自らを危機突破内閣と名付けた安倍内閣。新しく財務相に任命された麻生大臣は「24年度補正予算については44兆円の国債発行枠にこだわらす」と記者会見で発表した。

麻生氏の財務相任命については「国債発行枠増額等財政健全化の観点から大型景気対策に反対する財務省幹部をコントロールできるのは麻生氏のみ」と解釈する識者が多い。

ところで円安やインフレは多くの日本人にとってプラスになるのだろうか?

どのような人にとってプラスになるのか?というと、まず海外資産を保有し、その海外資産から将来配当が期待できる人である。円安になると輸出企業は目先競争力が高まり輸出が増える。しかし長期的に見ると、原材料費やエネルギーコストが上昇するので、円安は諸刃の剣である。

サラリーマンにとってはどうだろうか?インフレが給与の上昇に転嫁されていう限り適度な物価上昇は悪い話ではない。だが給料の上昇がインフレに追いつかない限り、生活は苦しくなる。

ではこれから日本で益々増える高齢者特に年金生活者にとって円安・インフレはどうだろうか?これは短期的にはまったくマイナス。物価は上昇しても年金(特に企業年金等)はフルに物価スライドしないから生活は苦しくなろ。楽しみにしていた海外旅行も高くなる。

むろん長期的にみると、デフレ脱却が日本経済を活性化し、税収や社会保険料の増加につながり、年金財政基盤を強化するという効果はあるが、これは一般の人には見えない話だ。

冷静に考えると安倍内閣は「危機突破」内閣というより、「危機転嫁」内閣というべきなのだろう。つまりデフレと経済停滞という慢性病的な危機を「インフレ・財政の一層の悪化」という劇薬的治療にかけた、と判断するべきだ。だからといって私は阿部内閣がやろうとしていることを否定する訳ではない。だが劇薬治療は長続きしない。

本当に経済を活性化するには、TPP参加等による経済活動の活性化や金融円滑化法の打ち切り(既に麻生大臣は言及しているが)により、経済主体を筋肉質に変えることができるかどうかにかかっているのである。

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