金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

年の瀬の大山登山

2006年12月31日 | 

12月30日(土曜日)元の会社の先輩達と相模の大山(1,252m)を登った。新宿を7時20分の小田急急行に乗り、約1時間で伊勢原到着。駅横でおにぎりを買いタクシーでケーブルカー追分駅まで入る。9時のケーブル始発に乗ると途中の不動前駅でネギなど沢山背負ったボッカのおじさんが乗ってくる。大山は初日の出を見ると参詣者も多いと聞くので、山頂の小屋で味噌汁でも振舞うのか?と想像する。

Shimosha_1

写真はケーブル終点(下社駅)から阿夫利神社の下社に向かう石段である。真っ青な空が広がり冷気が清々しい。「阿夫利神社は雨降り神社が詰まったものだよ」と長老のFさんが教えてくれる。神社の祭神は大山祇大神(オオヤマツミノカミ)、大雷神(オオイカヅチノカミ)、高オカミ神(タカオカミノカミ)の三神であるが、大山自体を祭った古代の山岳信仰の流れを引くものだろう。

下社の中には地下水がコンコンと湧き出るところがあり、神韻とした雰囲気を醸し出している。更に石段を登ると登山道に出た。

Shimobasira_1 登山道には霜柱が立っている 。この日は下山道で標高4,5百mのところまで霜柱が残っていたので気温は氷点下だったのだろう。登山道は参拝道であり、距離を示す石柱に「何丁目」の刻みがある。頂上に着いて分ったのだが、28丁目が頂上であるので覚えておくと目安になる。さてその20丁目のところが富士見台で富士山が良く見えた。

Fujisan_4 10時47分大山山頂到着。2,30名の人が山頂や小屋の中にいた。ここで昼食。昼食後は不動尻から七沢へのルートを辿る。頂上直下に開けたところがあり、新宿や品川方面の高層ビルが薄っすらと見えた。大山は東京からよく見える山なのだ。江戸時代に大山詣が盛んだったことも納得できる。

余談だが落語の大山詣というのを思い出した。これは深川辺りの長屋の男連中が連れ立って大山詣をする話である。連中の中に酒癖が悪く飲むと暴れるのがいたので連中はこの男に「暴れると坊主にする」と警告を出しておいた。ところが大山の下の旅籠に着くとこの男やっぱり酒癖悪く暴れたので仲間に坊主にされてしまう。

ここは記憶がはっきりしないのだが、坊主は神社をお参りすることができなかったということで男は山頂に行けなかったのだろう。葬式を扱う坊主が神域に入ることを忌諱されたことは当時では一般的なことだったから。さて腹を立てたこの男一足先に長屋に帰り、奥さん連中に「仲間全員が船遊びの途中死んでしまったので俺は坊主になって帰ってきた。皆さんも尼さんになって後生を弔いなさい」といって奥さん連中を尼さんにしてしまう。

さて暫く下るとススキが茂る気持ちの良いところがあったので一服。

Susuki_1 立山で滑落して怪我をして以来始めての山歩きだが、まずこの程度の歩行なら問題はなさそうだ。眼下一杯に広がる関東平野を見ながら元気でいられることを有難く思った。

2時半頃広沢寺(コウタクジ)に到着し、少し歩いて七沢の日帰り温泉 (七沢荘)に入った。お湯はアルカリ単純泉で滑らかで気持ちが良い。ただし入浴料が1,000円で休憩所の料金が500円というのはいささか高い様な気がした。

七沢からはタクシーで本厚木に出て駅ビルでお酒を頂いて今年の登山の締め括りとした。

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リバース・モーゲージ、利用するなら少し待って

2006年12月28日 | 金融

表題は日本ではなくアメリカの話である。

リバース・モーゲージとは簡単にいうと高齢者向けの住宅を担保ならびに返済原資とした貸付制度で英米で発展してきた。そのアメリカでベビーブーマーが退職年齢に差し掛かりリバース・モーゲージ市場が急拡大する可能性が高まっている。これに伴い金融機関や政府機関が新製品を投入しコストを下げる動きがあるので、消費者に待てるならリバースモーゲージの利用を少し待ったらどうか?という記事がウオール・ストリート・ジャーナルに出ていた。

私は今リバース・モーゲージについてある専門誌にちょっとした記事を書く準備を進めているところなので、この記事は参考になる。ポイントをまとめておくことにした。

  • バンカメが最近フェニックスでリバース・モーゲージのパイロット商品を販売し始めた。もっとも何時全国的に販売を開始するかは明らかにしていない。またカントリーワイド・ファイナンシャルも2007年に新しいリバース・モーゲージ商品を投入すると述べている。
  • また連邦政府もコスト引き下げを試みている。住宅都市開発省~ここが大部分(約9割)のリバース。モーゲージの保証を行なっている~が住宅の所有者が払うオリジネーション・フィーと抵当保険料の引下げを模索している。またジニーメイも10月にリバースモーゲージを証券化して販売すると発表した。通常の住宅ローンの場合、ジニーメイの保証がつくことで住宅ローン金利は0.5%から0.8%低くなっている。

米国では62歳以上の自宅所有者がリバース・モーゲージを利用することができる。その特徴を記事の中から列挙する。

  • 借り手は借入金の受取り方法について幾つかの選択がある。大部分の人は一度に借り入れることを選択するが、利用枠方式(Line of credit)を選択する人もいる。また毎月均等額を受取ることを希望する人もいる。
  • 連邦政府の保証はHome Equity Conversion Mortgage (HECM)と呼ばれる仕組みを通じて行なわれるが、この抵当権には自宅の価値に係らず上限がある。この上限を超える部分がある場合は典型的には「ジャンボ」と呼ばれるリバース・モーゲージになる。この部分は政府による保証はなく通常コストは高い。
  • 連邦住宅管理局によると1年間(06年9月末ベース)で76,351件のリバースモーゲージが実行された。これは前年比77%の増加である。また全体として現在のリバースモーゲージの半分は過去2年間に実行されたものである。とはいえ2005年1年間で実行された伝統的な住宅抵当貸付が740万件あったことに比べるとこの市場ははるかに小さい。
  • コストについて言えば貸し手はローン金額ではなく住宅評価額の2%のオリジネーション手数料を取る。また強制的な保証保険料が2%かかる。また借り手はその他伝統的な住宅抵当貸付において支払うようなコストを払わなければならない。従って25万ドルの価値の住宅でリバース・モーゲージを利用するとアップフロント費用は1万2千ドルを超える可能性がある。
  • 連邦政府の規則でHECMのプログラムを利用する人は、リバースモーゲージを理解を確実にするため金融カウンセリングを受けなければならない。バースモーゲージで多額の資金を受取る借り手に対して個人年金等の金融商品の販売を試みる業者がいることが懸念されている。一番リバース・モーゲージの実行が多いカリフォルニア州では最近州法でリバース・モーゲージの実行者が借り手に対して年金商品を売り込むことを禁止した。
  • 現在連邦政府が保証するリバース・モーゲージの上限は都市部で362,790ドルで地方で200,160ドルである。連邦政府は全国一律の上限に統一することを考えているがまだ提案は行なわれていない。
  • 政府保証のないジャンボの場合の実例でシアトル・モーゲージ社のプラグラムによると1百万ドルの価値の自宅を持つ68歳の人は約386,000ドルの借入を行なうことができる。一方政府保証プログラムでは住宅の立地により異なるが、108,000ドルから210,000ドルの範囲でしか借入を行なうことができない。

高齢化の速度が速い日本でもリバース・モーゲージの需要は高まるだろう。アメリカの状況など勉強しながら、商品開発等に何らかの提案を行なっていきたいと考える次第である。この記事を読んで一つ感心したところは、米国ではリバース・モーゲージのように複雑でリスクがある商品を販売する場合、消費者の安全性を高める工夫が立法化されていることだ。商品設計とはハード面だけではなくこのようなソフト面の工夫が大切なのだろう。

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一年の計は年末にあり

2006年12月27日 | うんちく・小ネタ

ウオール・ストリート・ジャーナルをネットで拾い読みをしていると、表題のような記事に出会った。原題はYear end is timely for taking stock of career growthである。日本風にいうと「一年の計は元旦にあり」なので少し違和感があるが、欧米ではクリスマスを持って実質的に新年の始りとしていると考えると「一年の計は元旦にあり」という意訳の方が良いのかもしれない。

さてTake stock of だが「株を買う」という意味の他に「資源や見通しを鑑定する」という意味がある。この用例になるとネット上の英和辞典では出ていないので英々辞典で調べることになる。私はネット上でDictionary.com http://dictionary.reference.com/browse/を使うことが多いがかなり役に立っている。

話がそれてしまったが、ウオール・ストリート・ジャーナルの記事のポイントは次のとおりだ。

  • クリスタル・バークレー社というコーチング会社の社長は「私は年末の週を愛している。それは自分自身を振り返るすばらしい週だ」という。同社長は顧客に「この一年何を学んだか?」「どのような技術を身に付けたか?」「今の仕事が面白いか?」「次のステップは何か?」などと自問することを勧めている。
  • ライト・マネジメント社のキャリアコーチ、マシュー氏によるとクリスマス休暇中に突然会社を辞めるという意思決定をする人がいる。これは思ったよりも低いボーナス、悪い結果に終わった年末の人事面接あるいは自慢好きな親戚との会話によるプレッシャーで会社を辞めることを決めてしまうという訳だ。しかしこれは最良の選択ではない。辞めると決める前にマシュー氏は従業員に次のようなことを自問することを示唆している。「どれ位長い間自分は不幸だったか?」その答が「9ヶ月から12ヶ月以上」であれば転職のタイミングかもしれない。

私の銀行員時代の経験に照らして言えば、昇格・昇級時期の後辞める人が多かったということに思い当たる。辞めた人は「もし今度昇格するならこの会社で頑張ってみよう。でも昇格しないなら将来の見込みがないから転職しよう」と考えているのだ。

  • もう一つの良い質問は「私の不幸はどの程度ボス(直属上司)によってもたらされているのか?」・・・つまり転職するのではなく、ボスを変えることで問題が解決するかもしれない。次の要素は勤務先の財務的健全性である。もし勤務先の将来が不安定ならキャリア・パスはどこにでも見つけることが出来るだろう。しかし勤務先が成長しているのであれば、会社は別の仕事を提供してくれるかもしれないし、違うボスに仕えることもできるかもしれない。
  • 前述のマシュー氏はとにかく辞める前に信頼できる第三者に目標・目的について話をすることを勧めている。この第三者とは会社内部の信頼できるメンターであるかもしれないし、人事部の専門家かもしれない。

ここでHuman - resource departmentを人事部と訳した。これ自身は妥当な訳だろうが訳の問題は一度訳語になった場合、原語の意味を離れて訳語の意味に縛られるところだ。つまりアメリカの会社のHuman - resource departmentと日本の会社の人事部は同じと考えてよいのか?という問題である。この二つは相当に異なる。つまり日本の人事部は全社的に相当な人事権を持っているがアメリカの会社は人事権はそれぞれの部署のボスが持っている。典型的にはアメリカでは人事部は教育プログラムの提供等人材開発を担う部署であろう。

この記事を読んだ後、昔一緒に働いていたM君と久し振りに昼食を食べた。M君は少し前銀行の系列会社を辞めて外資系金融機関に転職したのだが「今の仕事はやりがいはあります」と言う。仕事の量は増えたがやりがいがあるので疲れを感じないとも言う。

私は今日本の会社~特にバブル後遺症からリストラを進めた会社~に欠けているものが二つあると感じた。一つはウオール・ストリート・ジャーナルに出てくるような転職する前に相談するべき信頼できる第三者である。会社の上司はどれ程自分のことを親身になって考えてくれるか分からない。所詮上司は自分の部署や会社の人繰りだけで示唆を与えるだけかもしれない。人事部も同様だ。無論中には私のように~言い過ぎか?~会社のことだけでなく部下のキャリア形成を親身に考える上司がいない訳ではないが、それは少数派だ。大切なことは会社が「制度としてキャリア形成について相談できる様なコンサルタントを持つ」ということではないだろうか?

もう一つ日本の会社で欠けているものはホワイトカラーの間の労働密度のバランスだ。深夜残業が連続する様なハードワーカーがいる一方楽に仕事をしている人間やそもそも仕事をしていない人間が多過ぎるのである。今日本では平均勤務時間とか平均残業時間などというものは余り意味がないだろう。勤務時間の格差の大きさ。この問題を是正しない限り日本の勤労者はハッピーになれない。これを是正する第一歩は経団連の主張とは正反対ながら「残業代の割増率を大幅にアップする」ということである。こうすると勤務先は残業を増やすより雇用を増やすインセンティブが生まれ、労働配分率が向上するのである。

少し話が大きくなったが、勤労者も会社も何かを考える年末年始であっても良いだろう。

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燻製の休日(2)~鶏の燻製

2006年12月27日 | 燻製

日曜日はクリスマスイブなので、鶏を食することにした。娘達はそれぞれの都合で外食するというので、ワイフと二人分ではやや多いが鶏のもも肉の燻製を試みる。Torikun2

【レシピ】

  1. 鶏のもも肉2枚に塩、胡椒を振りバジルをかけて冷蔵庫に3時間位で寝かせておく。少し肉汁が染み出る位になると良い。
  2. さくらチップを使って50℃で1時間燻製する。
  3. 燻製後数時間空気に晒し、スモーク臭を飛ばす。

そのまま食べても美味だが少し物足りない感じがした。マヨネーズをつけると一層美味くなった。

さて2枚のもも肉はさすがに多く残りがでた。残った肉は細く刻み翌朝のスープに入れた。私は寒い時期は朝野菜たっぷりの自家製スープを飲むことにしているが、このような残り物の肉を入れるとよく合う場合がある。

団塊の世代でソムリエならぬ「ソバリエ」(そばの愛好家、そばを手打ちする)が流行っているそうだが、私は燻製を中心にアウトドア系の料理の幅を少しづづ広げていこうと考えている。ただ問題は食べてくれる人だ。娘達はやがて独立していくだろう(またそうなってもらわないと困る)。ワイフと二人では食材が余りそうだ。「近所で同じような趣味を持つ人と仲間を作れると良いのだが・・・・・」などとワイフに話をすると「あなたは無愛想で人見知りするから駄目よ」と言われてしまった。

燻製を作るよりの人の輪を作る方が難しいということですかね。

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燻製の休日(1)~イカの燻製

2006年12月24日 | うんちく・小ネタ

冬の関東地方は空気が乾いていて燻製に適している。昨日の土曜日(23日)も良い天気が予想されたので、前日から燻製に準備に入った。燻製は材料によっては、かなり前からの仕込みが必要である。今回作るイカの燻製も前日からの準備が必要なので、ワイフに頼んでした準備をして貰った。私は前日の夜は前からの約束で会社に人達と忘年麻雀をして少し負けた。負けた日は不思議と電車が混んでいて疲れも倍増する。風呂に入ると冬至なので徳島産の柚子が浮かんでいた。

徳島の柚子湯で慰む負け麻雀  (北の旅人)

さて【イカの燻製のレシピ】

  1. イカはできるだけ新鮮なものを買い、胴と足をはずしワタを取り除く。エンペラをつけたまま皮をむき、ソミュール液に漬けておく。ソミュール液はイカ2,3杯に対して水1.5カップ、酒0.5カップ、塩50g、三温糖または黒砂糖20g、粒胡椒、ローリエ、オールスパイスを混ぜて作る。ソミュール液に漬けておく時間は「はじめての燻製作り」(地球丸)には一晩(15時間)と書いてあるが、少し長い様だ。この辺りは自分で工夫するしかないが、7,8時間でも良いような気がする。
  2. ここまでが前日の仕事で以下が当日の作業だ。まず流水で1,2時間塩抜きをする。塩抜き後蒸し器で3-5分蒸す。
  3. 直射日光を避け風通しのよいところで1時間程乾燥させる。
  4. スモーカーに入れる前にイカの表面にオリーブオイルを薄く塗る。
  5. スモーカーの温度を50℃位に保ち、ナラかヒッコリーで1時間燻製する。

なお「はじめての燻製作り」ではスモークする時間を30分と書いてあったが、30分ではあまり色付が良くなかったので1時間スモークした。

Ikatouhu 燻製作りのポイントは風乾次第だと思う。この日は天気が良かったが、それ程乾燥しておらず風もなかったので今一つ乾きが良くなかった。ネットの上がイカで下が豆腐である。豆腐の燻製も上手くいくと大変美味なものだ。

Smoker スモークのポイントは温度管理だ。蓋の上の隅についているが、温度計。このスモーカーには着いていないタイプの温度計で最近東急ハンズで840円で購入した。この温度計を見ながらレシピに書いてある温度を保つ様にスモーカーの下に入れてある電熱器のスイッチを点滅させる。

従ってスモークしている間はつっきりではないにしろ、時々温度の点検が必要だ。昨日は年賀状を書きながら時々温度チェックをしていた。今年の年賀状にはイカ燻の匂いがついているかもしれない。

燻製は出来立てを食べるより、出来上がったものを数時間空気にさらして煙臭さを取る方が良い。

さて出来上がったイカの燻製だが、少し塩味が強いものの豊かな風味があり、酢酸液に漬け込んで作った市販品にはない旨みが口に広がった。少しマヨネーズを付けると酒の肴として絶品である。昨日は軽い赤ワイン(ピノノワール)を飲んだが、これにも良くマッチした。

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