金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

"Why Nations fail"(邦訳「国家はなぜ衰退するのか?」)を読むことにしました

2024年10月16日 | 英語・経済
 今年(2024年)のノーベル経済学賞は、ダロン・アセモグル氏(マサチューセッツ工科大学教授)、サイモン・ジョンソン氏(マサチューセッツ工科大学教授)、ジェームス・ロビンソン氏(シカゴ大学教授)に贈られた。

 アセモグル教授とロビンソン教授は2012年に出版された"Why Nations Fail"の共著者である。まだ読んだことがないこの本の結論は「国が繁栄するか衰退するかを分けるのは制度だ」ということらしい。
WSJのNobel for Economics awarded to authoors of "Why Nations fail" and an Ex-IMF figureによると「著者の結論は『権威主義政府が原材料や労働者などの既存の資源を効果的に搾取できることは認めているものの、長期的な繁栄をもたらすものは、民主主義だ』」というものだ。
一方アセモグル氏は記者団との電話会談の中で「中国の最近の経済実績は、この後半な調査結果に対する『挑戦』であると述べ、民主主義は『困難な時期を迎えている』」と語っている。
 アセモグル氏は記者会見の最後に「ノーベル賞が、より良い制度を構築し、より良い民主主義を構築することの重要性をより多く認識することに貢献できれば、とてもうれしいです」と語っていた。
 この本の中で日本は英国、米国と並んで繁栄できた国に数えられているようだが、「失われた30年」という言葉が示す通り、その繁栄には陰りが見えている。
 それは何故だろうか?もし彼らの結論が正しいとするならば日本の制度の中に、衰退につながる要因が潜んでいるのだろうか?
 そこでまずWhy Nations failを読んでみることにした。Kindle版で1,100円だ。 邦訳された「国家はなぜ衰退するのか」はKidele版が上下に分かれ各1,078円だ。
 英語版の方が経済的なので英語版で読むことにした。ただし英語版は読むのに時間がかかる。それでも総選挙前には読み終えて、選挙時に意思決定に役立てたいと思う。
 


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米国株を牽引するのは7社から4社へ。でもそれは強気相場のシグナル?

2024年04月02日 | 英語・経済
 WSJにThe stock market's magnificent seven is now the fab fourという記事がでていた。直訳すると「株式市場の素晴らしい7銘柄は今では素晴らしい4銘柄へ」という意味だ。Fabはfabulousの略でmagnificentとともに「すばらしい」という意味だ。Fabとmagnificentの間に意味の違いがあるのかどうかは私には分からない。Fabが会話で使うことが多く、magnificentは文章やフォーマルな場面で使われる言葉だという位のことは分かるが意味に差はないと思う。
 英語では同じ単語を繰り返すのは、下手な文章と思われるので、同義語を使ったに過ぎないと思う。それにしても「すばらしい」を意味する英単語は多い。
 Great,excellent,amazing,wonderful,lovelyなどだ。褒め言葉が多いということは、英米人の中にちょっとしたことで相手を褒めるという習慣があるからなのだろう。
 それはさておき、少し前に荒野の7人をもじってMagnificient seven「相場を牽引する7銘柄」という言葉が流行った。7銘柄とはアップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、メタ、テスラ、Nvidiaだ。
 だが今年に入ってアップルとテスラの株価は低迷している。この3カ月でアップル株は11%、テスラ株は30%下落した。テスラは中国の競合企業に追い上げられ、アップルは法務省から独禁法違反で訴追されているし、AIへの取り組みが遅れたことも投資家の懸念材料になっている。
 一般的には相場を牽引する銘柄が減ることは、マイナス要因だが現在の相場ではプラス要因だとこの記事は見ている。
 というのは7銘柄の牽引力が落ちても、S&P500は堅調であり、その理由は残りの493銘柄が以前より頑張っているからだ。また牽引車NvidiaのPERは2023年のピーク時には62倍だったが、現在は40倍まで下がっている。
 割高感が少し薄らいだということができるだろう。
 それにしても相場の潮目の変化は早い。そろそろ決め打ちの時代からより幅の広いインデックスに切り替えていく時期なのか?と考え始めている。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

強弱入り混じった雇用統計の後、米国株下落

2024年03月09日 | 英語・経済
 昨日(2月8日)発表された米国の雇用統計は強弱入り混じった内容だった。2月の非農業部門雇用者増は事前予想198千人を上回る275千人だった。ただし1月の雇用者増は353千人から229千人に下方修正された。
 失業率は1月の3.7%から3.9%に増加した。
 2月の平均時間給の伸び率は事前予想の0.2%を下回る0.1%で、1月の0.5%に較べて大幅な鈍化となった。
 この状況についてHarris Financial GroupのCoxパートナーは"Labor is rolling, and wage inflation is rolling over"という言葉で説明していた(WSJによる)。
 Rollingは前進するという意味で使われ、Roll overは反転するという意味で使われている。つまり「雇用は拡大しているが、賃金インフレは反転した」という意味で、これは連銀の「雇用の極大化と物価の安定」という命題を満たしていることになる。
 WSJによると、雇用統計発表後、金利デリバティブでは6月に連銀が金利引き下げを行う確率が60%に高まった(1カ月前は約40%)。
 これらの情報を総合すると株価にはプラスだと思うのだが、昨日はナスダック銘柄が牽引して株価は下落した。ナスダック1.2%、S&P500は0.7%、ダウは0.2%下落した。
 なぜ株価が下落したかという点について「失業率や賃金上昇率鈍化から見て、連銀が金利引き下げを行う前に雇用市場は悪化するのではないか」という憶測が働いたのではないか?とあるエコノミストは述べていた。
 ただ多くの人の意見は「株価の上昇速度が速いのでこれ位の調整はあっても不思議ではない」というものだ。
 私もこの見方で良いと思う。
 個別銘柄を見ても、株価が急速に上昇している銘柄は、ちょっとした弱点から売られることがある。
 前日に決算発表したコストコは、利益面は予想を上回っていたが、売上高が若干事前予想を下回ったため、売り込まれ株価は7.6%下落した。同社株は
昨年60%も値上がりしていたので、売りが入ったのだろうと私は考えている。
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米国小売売上高堅調、早期の利下げ予想交替、円安進む

2024年01月18日 | 英語・経済
 昨日(1月17日)商務省が発表した12月の小売売上高は、前月比プラス0.6%と市場予想0.4%を上回った。
 数カ月前は、消費者が高いレベルの支出を維持できるかどうか懸念されたが、賃金の上昇とインフレの鎮静化により、強い消費水準が維持されている。
 11月と12月のホリディシーズンの売上高は9,644億ドルという新記録を達成した。
 前年比で好調だったのは、レストランやバーの売上、電子製品、健康とパーソナルケア、自動車と自動車部品でいずれも前年比1割以上の増加となっている。

WSJは「好調な消費支出は少なくとも第一四半期は持続し、連銀が3月に金利を引き下げるという期待を抑制するだろう」というネーションワイド・ミューチュアルのチーフ・エコノミストのコメントを紹介していた。
 早期の利下げ予想の後退は、日米金利差が持続することを想起させ、円安が進んだ。
 ところで先月頃から一時日銀が金融政策を転換するのではないか?という一部の人の思い付きで円高に振れる局面があったが、基本的なトレンドは円安・ドル高で変わりはない。首まで借金漬けの日本でもし金利が上昇すれば、国債の利払い負担で、財政破綻の可能性が加速するからだ。
 また円金利の金利上昇は、株価下落に繋がり、日銀のバランスシートを直撃する。
 だから日米の金利差が縮小するとすれば、米連銀が政策金利を引き下げるしかなかったのだが、少し先延ばしされる可能性がある。
 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週はmake-itかBreak-itかの週

2021年10月26日 | 英語・経済
 決算発表シーズンの米国では昨日(10月25日)もダウとS&P500が最高値を更新した。アナリスト予想を上回る好決算が続いているからだ。
 決算発表のピークは今週前半だ。特に今日の場外時間に発表されるアルファベットやマイクロソフトなどITのビッグネームや3M、ジェネラル・エレクトリックなどが注目される。
そんな中でCNBCにThis is a make-it or break-it type of week in earnings season.
「これは決算シーズンの中で成功するか失敗するかの週だ」という意味。It will make itというとそれだけで「成功するだろう」という意味。
 WikipediaによるとMake it or Break it (大成功か大失敗)というテレビドラマがあったそうだ。
 Orというとハロウィンが近いのでTrick or Treatと叫んでお菓子を貰って回る子供のことを思い出す。これはTreat me , or we will trick(お菓子を呉れなきゃ悪戯するよ)を短くしたものだ。
 最近インターネットで読んだところでは、不正乗車をしようと思った外国地に駅員さんが、Pay or Police と叫んだそうだ。運賃払わないと警察呼ぶぞ、ということだ。
 アメリカ人はこのような二者択一的な発想が好きなのかもしれない。おそらくファジーな対応では成功することは無論のこと生きていくこともおぼつかなかったのだろう。
 さてこの決算シーズンに賭けることが成功するか失敗するか?
 目下のところ相場は成功に軍配を上げているようだがまだわからない。
 だがサイドラインにいる限りこの相場での成功はない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする