金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

今年の運用成績はトランプの出方次第

2018年11月30日 | 投資

昨日は若干下げて終わったものの、今週前半の急上昇で米国株は年初比で水面に顔を出している。ダウ・S&Pは年初来約2.5%の上昇だ。

さてこのまま黒字を持ちこたえるか?再び赤字に転落するか?あるいは大幅反発があるか?どうかは日本時間の明日予定されているG20後のトランプ大統領・習近平主席の結果にかかってきた。

12月には米連銀の連邦公開市場員会という大きなイベントがあるが、先日のパウエル議長の発言でタカ派色がやや後退していることを考えると最大のイベントは両首脳の会談である。

CNBCはStrategas Researchのアナリスト見解の集計を報じていた。

それによると「米中が交渉を継続すると発表し、市場に幾らかの安心感を与えるが米国が1月から関税を25%に引き上げる」シナリオが40%、「25%の追加関税を延期する」シナリオが30%、「関税の一部が軽減されるなど今より良い条件になる」シナリオが20%、まったくの失敗に終わるシナリオが10%だ。

交渉事なのでトランプ・習近平双方がカードを持っているが、トランプ大統領の方が主導権を持っていると考えてよいだろう。

「英雄たちの選択」風にトランプ大統領の心の内を覗いてみると、彼には二つの動機がある。

一つは株価を人気のバロメーターと判断している彼としては、中国との交渉を前向きにまとめて株価上昇に弾みをつけたいという思いがある。

一方中国と安易に妥協して弱い大統領と見られたくないという思いがある。

前者が勝ると関税延期シナリオになるかもしれないし、後者が勝るとある程度の妥協を中国から引き出しつつ交渉継続で1月から追加関税という落ち着きどころになるだろう。

前者の場合、株式相場は相当上昇することが見込まれる。後者の場合は今後の交渉についてどれ位具体的な絵を描くことができるか?にかかわるが、投資家の不安心理をなだめる効果はありそうだ。

個人的には米中首脳会談がまったくの失敗に終わる可能性は低い(すでに実務レベルで交渉を進めている)と考えている。

つまり首脳会談失敗で大きな失望売りを招く可能性は相当低いと私は考えている。

いずれにせよ年間の資産運用成績はトランプ大統領の対応次第であることは間違いないだろう。

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捨てるのは気持ちが良い

2018年11月30日 | うんちく・小ネタ
明日顧問先が本社を移転する。

朝からネットワークを止めて引越モード一色だ。
歴史のある会社で今まで引越の経験がないので、使わない書類などが沢山貯まっていた。
総出で使わないものを捨てている。社員は存外楽しそうにやっている。
「捨てる」というのは気持ちが良さそうだ。
新しいオフィスではモバイル環境を活用し、サーフェスなどでペーパーレス会議や電子回覧を積極的に利用する。
捨てるのは古い書類だけでなく、古い情報共有方法だ。
そして更に古い働き方も捨てて欲しい、と思う。皆さん仕事がお好きで、長時間働いているが、真剣に遊ぶことができる遊びを見つけ遊んで欲しいと思う。長時間労働も古い書類と捨てて週明けからは、早く帰ることを美徳としよう。
仕事は楽しく遊びは真剣に、なのだ。
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ダウ600ポイント上昇は少し騒ぎすぎ?~パウエル議長発言で

2018年11月29日 | ライフプランニングファイル

昨日の米国株は、ダウが617ポイント上昇と大幅な上げ相場となった。

理由はパウエル連銀議長がニューヨークのエコノミッククラブで行った講演の中で、「政策金利は中立レベルのほんのちょっと下」just below broad estimates of a neutoral levelと発言したことが、利上げペースの鈍化と示唆したと解釈されたことによる。

連銀は9月に中立金利のレンジを2.5%~3.5%と述べている。現在の政策金利は2%~2.25%なのであと一回利上げをすると中立金利の下限に達するという訳だ。

WSJによると議長の発言の前日まで、投資家の37.3%は来年12月までに最低3回の利上げを予想していたが、昨日の発言後3回の利上げを予想する人の割合は32%に低下した。

株式投資家にとって政策金利引き上げペースの鈍化はとりあえず歓迎するべきニュースだが、昨日の上昇は少し上げ過ぎだな、と感じている。

ショートポジションの巻き戻し等があったのだろうか?

基本的には米中貿易摩擦など懸念材料は多い。また住宅市場の軟化も目に付いてきた。

ただ株を買いたいという投資家の需要があることも事実。パウエル議長の発言は、好材料だったことは間違いない。

 

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来年は新興国市場株式が米国をアウトパフォーム?~モルガンスタンレーの予想~

2018年11月27日 | 投資

今年も残すところ一月となった。

気の早い証券会社は、来年の相場見通しを述べアセットアローケーションのアドバイスを始めている。

モルガンスタンレーの見立ては次の通りだ。

  • 米国の経済成長率は今年の2.9%から来年は2.3%に低下、2020年には1.9%になる
  • この結果米ドルは軟化し、ドル建て債務の多い新興国にとってはプラスになる。
  • 今年16%下落したEMCI新興国インデックスは来年には8%上昇するだろう。一方S&P500や欧州株の上昇は4%にとどまる
  • 新興国の中で、ブラジル、タイ、インドネシア、インドなどはオーバーウエイトし、メキシコ、フィリッピン、ギリシアなどはアンダーウエイト
  • 先進国では成長株より割安株を注目

それなりに説得力のありそうなシナリオだが、株屋さんの相場見通しは往々にして外れることが多い。例えば昨年末の今年の株価見通しはもう少し明るいものだった。

もっとも今年はまだ1カ月あるので、売られ過ぎた米国株は急反発する可能性があるだろう。米中貿易交渉の行方次第という面はあるが。

個人的には売られ過ぎた成長株、たとえばアマゾン株などには反発力があると踏んでいるのだがいかがなものだろうか?

確実にいえることは、昨年末より現在の方が世界経済の見通しが悪くなっていることだ。

将来の予想は常に難しいが来年の予想は常よりも難しいと考えておいた方がよさそうだ。

 

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合衆国政府機関が地球温暖化に警鐘

2018年11月25日 | 環境保全

カリフォルニアで大規模な山火事が起きている米国の政府機関・全米気候アセスメントが先週金曜日に人工的要因による気候変動が、米国の社会、経済に大きな影響を及ぼしているというレポートを発表した。レポートは今世紀の終わりには気候変動により数千億ドル(数十兆円)規模の経済的損失が発生するかもしれないと述べている。

1990年以降法律により4年に一度気候変動に関する調査レポートの発表が義務付けられていて、これはそれに沿うもの。

WSJによるとレポートは「人工的要因による気候変動は圧倒的でしかも力を強めている」と報じている。

人工的要因とは、森林伐採・舗装化など土地の利用方法の変化、地球温暖化ガスの排出、家畜によるメタンガスの排出などだ。

米国環境情報センターによると、米国の今年の気温は現在までのところ記録上10番目の高さだった。昨年はもっと暑くNASAによると1880年以降で2番めに暑かったということだ。

米国では天然ガスの利用が増えていることや車の燃費が改善したことで、化石燃料による温暖化ガスの放出は減少している。

米国農業省によると世界の炭素排出量に占める北米の割合は2004年の24%から2013年の17%に低下している。しかし地球全体としては炭素排出量は増加を続けている。

このレポートは地球温暖化傾向に懐疑的なトランプ大統領の意見とは対立するものだが、レポートに関して政府の干渉はなかったと当事者は述べている。

大規模森林火災が沈静化した後、米国では山火事の真犯人探しの議論が活発するのではないか?

その時このレポートは脚光を浴びそうな気がする。

 

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