金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

ダウの連勝6でストップ。どんな強い相場でも利食いに押されたか?

2024年07月19日 | 相続
 昨日の米国株は、全面的に下落し、ダウの連勝もストップした。
 米国株は先週発表された5月のCPIが予想より低く、連銀の金利引き下げ見通しが高まったことから、ハイテク銘柄の売りと出遅れ銘柄への資金シフトで荒っぽい動きが続いていた。3つのインデックスの中ではダウだけが堅調だったが、そのダウも昨日は売られて533ポイント(1.3%)の下落となった。
 株価のボラティリティが高まった背景には、トランプ前大統領の大統領選での勝利予想が高まっていることも影響しているかもしれない。
 たとえば水曜日の台湾に関するトランプの発言が半導体セクターの重しになり、IT銘柄が大きく売り込まれた。
 為替市場では、円高が急速に進み、為替ヘッジなしに米国株を買い進んでいる日本の個人投資家(私もそうだが)は、前月比の資産評価額の目減りが少し気になり始めたかもしれない。
 だが米国の投資家の中では、金利引き下げ予想により、金利に敏感な小型株や出遅れ株が買われ、マーケットの裾野が広がるのは、健全な動きで、その中で利食いが出るのも当然のこと、という冷静な見方が一般的なようだ。
 気になる経済ニュースは、今週の失業保険申請数が、先週の申請数やエコノミストの事前予想よりも高かったことだ。
 私は誰が大統領になっても、長期的には米国経済や株式市場に与える影響はそれほど変わらないだろうというスタンスを取っているが、大統領選は短期的には相場のボラティリティを高めると考えている。
 ニュースによると、これからトランプは反対勢力の反発を抑えるため、少しおとなしくなり、その分副大統領候補のバンス氏が過激が意見を展開するそうだ。
 ここは相場の動きに一喜一憂せず、経済の基調を見ておきたいと思う。
 
 
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激動の1週間を前に米国株はさらりと上昇したが…

2024年01月30日 | 相続
 昨日(1月29日)S&P500とダウはそれぞれ0.8%、0.6%上昇し高値を更新した。ハイテク銘柄の多いナスダックは1.1%上昇した。
 今週はマイクロソフト、アルファベットの決算発表が火曜日にあり、メタ、アマゾン、アップルの決算発表が木曜日にある予定だ。つまり現在の米国株の主役「荒野の7社」の内5社の決算発表がある。
 またFOMCが火曜日・水曜日に行われ、水曜日にはパウエル議長が記者発表を行う予定だ。焦点は連銀が3月のFOMCで政策金利の引き下げを示唆するかどうかだろう。強い経済指標が連銀の金利引き下げを遅らせるようであれば、「利下げを待っている待機資金」はしばらくそのまま留まっているだろうし、もし利下げの可能性が高まれば、待機資金は買い場を失うことを恐れて株式市場に流入し、さらに株価を押し上げる可能性が高そうだ。
 景気の先行きを占う重要な雇用統計は、今週金曜日に発表される。
 今週はファンドマネージャーには忙しい週になるだろう。
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米国株式市場には早くも「1月効果」を懸念する声もあがっているが…

2024年01月05日 | 相続
 新年に入って米国株はパッとしないスタートを切っている。
 S&P500は1.7%下落した。これは2016年以降で一番調子が悪い。ダウは0.7%の下落にとどまっているが、ナスダックは3.3%下落している。
 ナスダックの下落はアップル5.5%下落、テスラ4.2%下落、Nvidia3.1%下落などビッグネームが下落したことが大きい。アップルの下落要因はバークレイズなどがアンダーウエイトの判断を下したことだ。
 米国では1月に株価が上昇する傾向がある。何故1月に株価が上昇するか?というと「年末に税金対策から損を出して株を売った人が買い戻すから」「年末にボーナスをもらった人が株を買うから」などと言われている。
 そして1月の株価動向がその年全体の株価動向を決める傾向が強いと言われている。
 だから株式投資家にとっては1月の株価動向は通常の月より気になる訳だ。
 その年の初めの相場付きが良くないので、懸念する声が上がっている。
 ただし「昨年後半に株式相場は、連銀の金利引き下げを先取りして上昇し過ぎた。それで売りが出ているが強気相場の基調は変わっていない」という声もある。
 昨年の米国株を見ると人工知能関係の数十銘柄が株高に半分貢献した。
 人工知能が期待の領域から実用の領域でどれほど生産性の向上に寄与するかといったあたりが今年の株式相場の一つのポイントになるだろう。
 1月効果が試されるのは、これからの決算発表である。
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パソコンで遺言書が作成できる!?数十年遅れで欧米にキャッチアップ

2023年10月02日 | 相続
 今日(10月2日)の読売新聞朝刊一面に「手書きが義務の『自筆証書遺言」パソコンで作成OKに…遺言書活用へ省力化、法務省方針
という記事が出ていました。
 2018年の民法改正により、自筆証書遺言の財産目録はパソコンで作成・添付が認められましたが、本文は対象外、つまり自筆で書かないといけなかったのです。
 記事によると「法務省は現在の手書きに加え、パソコンやスマホなどを使った遺言書の作成を認める方針」で「月内にも有識者会議を設置し、民法改正の具体的な内容を詰める」ということです。
 民法改正には法制審議会での意見集約やパブリックコメントを集めるといったプロセスが取られますので、どれ位の速度で進むかは分かりませんが、遺言書のデジタル作成が認められることは、この分野で先進国に数十年遅れている日本に多少明るい兆しが見えることになるでしょう。
☆   ☆   ☆
 私は2018年の民法改正の前に相続学会の理事をしていて、その時「自筆証書のパソコン作成」を提案していたのですが、他の理事さんや学会員の賛同を余り得ることができませんでした。
 「遺言書のパソコン作成に反対する」人の表面的な反対理由は、パソコンを使えば本人以外でも簡単に遺言書を作成できる~つまり遺言書が偽造されるリスクが高い~というものでした。
 しかしこれはまったく馬鹿げた反対理由にもならない理由です。何故なら世界中で「手書きで遺言書を作成している国は日本位」だからです。
 タイプライターの使用が当たり前の欧米では100年以上前からタイプライターで遺言書を作成しているでしょうし、パソコンが普及し始めた1990年代からはパソコンで遺言書は作成さています。
 パソコンを単にワードプロセッサーとして使うのではなく、「遺言書作成アプリ」で穴埋め方式で簡単に遺言書が作成できるようになっています。
 もし「パソコンを使うと遺言書が偽造される恐れが多い」ということであれば、欧米では偽造遺言書が横行しているはずですが、そのような話は聞きません。欧米には悪いことをする人が少なく、日本人は遺言書を偽造する悪人が多いということでしょうか?
 相続学会のメンバーが「遺言書のパソコン作成に反対した理由はそれにより仕事を失う」可能性が高かったからだと私は考えています。
 公正証書遺言はもとより自筆証書遺言の作成についても司法書士や行政書士など士業の人の飯のたねなのです。
 ところが「遺言書作成アプリ」のようなツールができて、簡単に遺言書が作成できるようになると彼らは飯のたねを失うことになります。だから彼らは遺言書のパソコン作成に反対しているのです。
 このような状況は変わっていないはずですから、有識者と呼ばれる人々が遺言書のパソコン作成に無条件に賛成するかどうか私は懐疑的です。
 ただ2018年当時と現在では、2つの点で大きな違いがあります。
 一つはマイナンバーカードに埋め込まれたICチップを使って、公的個人認証ができるようになった点です。
 もう一つは人工知能は発達です。
 人工知能を活用した「遺言書アプリ」を開発すれば、かなりの人の遺言書問題を解決することができると私は考えています。
 もっとも「遺言書アプリ」で解決できるのは、相続財産や相続人の関係がシンプルな場合だけです。相続財産が多岐にわたる場合や相続人の関係が複雑な場合、あるいは遺留分を侵害するような財産分与を行う場合などは、専門家のアドバイスを受け、公正証書遺言を作成するべきなのです。
☆    ☆   ☆
 さてざっとみたところ他の新聞では大きな記事に取り上げられていないようなので、この話、読売の観測記事かもしれません。



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経営効率が高い会社は株価も高い。例外はあるが・・

2021年12月12日 | 相続
 WSJにドラッカー研究所が発表した経営効率が高い会社のランキングが載っていた。
 1位はマイクロソフトで2位アマゾン3位アップル4位IBMと日本でも誰もが知っている企業名が並んでいる。
 採点は「顧客満足度」「従業員のエンゲージメント」「イノベーション」「社会的責任」「財務面の強さ」の5項目で行われる。
 マイクロソフトは昨年に続きランキングのトップに立った。同社の総得点は105.5で2位アマゾン94.3、3位アップル88.9を引き離しダントツ1位の感がある。
 経営効率が高い会社の株価のパフォーマンスが良いのは当たり前のことで、過去5年の株価上昇率を見るとマイクロソフト450%、アマゾン355%、アップル519%でS&P500の108%を大きく上回っている。例外はIBMで株価はマイナス22%だった。
 年初来の株価パフォーマンスでみるとマイクロソフト1位、アップル2位でアマゾンとIBMの株価パフォーマンスはS&P500を下回っている。
 経営効率が高い会社トップ10の内、8社はIT企業でそれ以外の会社はジョンソンアンドジョンソンとプロクターギャンブルだ。
 経営効率が高い会社は株価が高い傾向にあるということができるが、経営効率の高い会社にはIT企業が多いということもできる。
 だからIT上位の株は買いということもできる訳だが・・・
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