政府は拉致被害者の再調査を巡り、伊原純一アジア太平洋局長らを10月27日に北朝鮮に派遣することを決めた。
この件についてエコノミスト誌に次のような一文があった。
Predictably, the delay has triggered criticism among conservaties that Japan is being taken for a ride.
「予想されたことだが、(北朝鮮の拉致被害者調査の)遅れは、保守派の中で日本は騙されているという批判を引き起こしている」
Take someone for a rideというと一般的には自動車などの乗り物に乗せるという意味だが、慣用句として「騙す」という意味がある。
エコノミスト誌によれば「安倍政権は新たな調査をしてもしなくても、北朝鮮は拉致被害者がどこにいるか正確に把握していると信じている」ということだ。
無論このようなことはエコノミスト誌に指摘されるまでもなく、常識で最初から分かっていることである。北朝鮮にとって交渉の重要な切り札である拉致被害者の居場所を日頃から把握していないはずはないからだ。
これまでの交渉の中で北朝鮮は日本から、食料や医薬品など人道的支援物資の輸出再開や、在日朝鮮人の母国への送金上限額の引き上げなどを引き出してきた。
北朝鮮の次の狙いは何か? それに対して、日本はどこまで飴をしゃぶらせるのか?
エコノミスト誌のこの記事のタイトルはStakes uppedだ。
この場合のStakeは掛け金だから、掛け金が上がったという意味だろう。A stake is very high.とうと一か八かの大きな駆けという意味だ。そこまで行かなくても、閣僚辞任等でごたごたし始めた安倍政権にとって、これは一つの賭けであることは間違いない。
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