グラナダからマドリードは鉄道の旅である。朝8時発の列車は定刻にでる。朝が早くてホテルの朝食に間に合わなかったので、列車が走り出して暫くすると食堂車~というかカフェ~に家内と二人で向かう。
カフェのマスターは全く英語を解さないが、メニューの中にはサンドウィッチ等外来語もあるので用件はほぼ通じる。列車は全速力で走ったかと思うと離合待ちのために長く停まる。車窓の風景は余り変わらず乾いた大地と小麦畑やオリーブの木々の繰り返しだ。6時間半程列車に乗って漸くマドリードのアトーチャ駅に着く。
列車は地階に到着するのでどこがタクシー乗り場か分からない。そこでお巡りさんをつかまえて”Donde esta la parada de taxi?”(タクシー乗り場は何処ですか?)と聞いたら「上だ。上の階だ。」と教えてくれる。少しは勉強したことが役に立った。
さて駅からホテルまではタクシー。ホテルはプエルタ・デ・トレドという凱旋門のある広場に近いところのフィニステレというホテルだがこれが甚だ良くない。今回の旅行で残る地域のホテルがそこそこ良かっただけに残念だ。
さて到着した日はホテルで休むという娘を残し、家内と二人で乗合観光バスに乗る。このバスは一日乗り放題で13ユーロ。循環するコースは3つあり、市内の数ヶ所でバスを乗り換えることができる。時間の関係から僕らは2つのコースしか回ることが出来なかったが、マドリードの概観はある程度分かった。
翌日はホテルから歩いてマヨール広場に行く(写真右)。この広場は1619年に5階建の集合住宅に囲まれた広場として建設された。広場の周囲にはバル・カフェ・レストランや服飾品の小売店が並ぶ。マヨール広場から賑やかなプエルタ・デル・ソルに出てそこからタクシーでいよいよプラド美術館へ。
3ユーロ払って入館するが、バッグの中にペットボトルを入れていた家内と娘はチェックされる。ペットボトルは持ち込み禁止なのだ。
プラド美術館では目当てにしていたベラスケスの「ラス・メニナス=宮廷の侍女達」やゴヤの「裸のマハ」等をゆっくり見ることができた。美術館の中は「撮影禁止」ではないため、デジカメで写真を撮っている人がかなりいた。特に「ラス・メニナス」には撮影者が多い。ただし僕はホテルにカメラを置いていった~写真を撮るよりもこの眼で本物をじっくり見た方が良いと思ったので~ので、展示品の写真はない。本来は2日間美術館に通い一日を撮影に当てるのが良いのかもしれない。
それにしても大変な展示品の数である。鑑賞に草臥れては地階のカフェで休んでいたため、つい一部の展示品を見落としてしまった様だ。特に残念なのはヒエロニムス・ボッスの「快楽の園」を見落としたことである。
夜はマイヨール広場近くの英語のメニューのある地場レストランに行く。オムレツや蛸などのスペイン料理を食べるが相当塩辛い。こんなに塩辛いものを食べていてスペイン人は高血圧にならないのだろうか?
かくして我々のスペイン旅行は終わった。いや第1回目のスペイン旅行は終わったと言おう。スペインは広大な国で1週間程度ではとても見ることはできない。
何年か後に又来てみたい国である。