金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

「年収は住むところで決まる」

2017年12月31日 | 社会・経済

今エンリコ・モレッティの「年収は『住むところ』で決まる」という本(プレジデント社 読んでいるのはKindle版)を読んでいる。軽い表題の本だが、中身はしっかりした経済学の本なので、まだ読み終えていない。

この本を読み始めたきっかけは「東京どこに住む?」(速水 健朗著 朝日新書)に、モレッティの学説が紹介されていたからだ。ちなみに「東京・・」は気楽に読むことができる本なのですぐ読み終わった。

モレッティの主張は「昨今の経済論議の中では見落とされがちだが、一国の経済のある部分が経済的に苦しんでいるなかで、別の部分が繁栄を謳歌しているケースがある。とくに際立っているのは、一国内での地理的な格差が拡大してきていることだ」(日本語版への序章)だ。

この地域的な格差という事実を念頭に置かないと、東京都心部への人口集中・地方の衰退・空き家問題等を正確に分析することはできないだろう。

モレッティの研究は米国をベースにしたものだが、日本でもほぼ同じような現象が起きていると考えてよいだろう。

WSJにThe Divide between America's prospererous cities and struggling small towns「アメリカの繁栄する都市と苦しむ小さな町」という統計データをベースにした記事がでていた。これは地域格差を可視化したものである。

データの幾つかを紹介しよう。

現在約99.5百万人が住む大都市圏中心部では大不況の2007年以降人口は9.5%増加しているが、地方では人口は0.4%しか増加していない。

大都市圏中心部の家計収入の中央値は、68,240ドルだが地方では、43,505ドルである。

16歳以上の男子の労働参加率は、大都市圏中心部では65%だが、地方では56%である。

何故都市に住むと給料が良くなるのか?給料が良くなったから都市中心部に住むのではないのか?といった疑問が起きるだろう。

私もそれらの疑問を持ち上がら、「年収は住むところで決まる」を読んでいるが、都市特に都心部には情報が集まり、その情報に接しているだけで「頭が良くなり」「生産性が向上する」というのが、結論になりそうだ。

「田舎の三年 京の昼寝」という諺がある。田舎で本を読んで勉強するより、京の都に出て、昼寝でもしながら、色々なところに出歩いているだけで、知識が身に着くという意味だ。

昔の人も都市の持つ力を直観していたのだろうか?

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蔦木宿と硫黄岳

2017年12月31日 | 

先週金曜日(12月29日)と土曜日(30日)で山仲間と八ヶ岳連峰の硫黄岳に出かけた。

東京組は午前9時にJR武蔵境駅に集合し、私の車で小淵沢に向かった。小淵沢で名古屋からくるSさんや大磯からくるYさんと12時に合流する予定だった。小淵沢で中央高速を降り、国道20号に入ると「道の駅 信州蔦木宿」がある。ここで昼食。食堂の券売機を見ると「日帰り温泉+そば(ラーメン・丼)」のセット券があり、個別に買うよりも250円安いことが分かったので、帰路はここで温泉に入って帰ることにした。

12月29日 12時20分過ぎに美濃戸口に到着。ここに車を止めて登山開始。美濃戸口から美濃戸まで3㎞弱の道は四輪駆動車+スタッドレスならば走行可能だが、私の車もYさんの車も四輪駆動車ではないので、美濃戸口に駐車だ(駐車料金1泊2日で1千円)。

美濃戸口から歩き始めてすぐ林道が氷結状態になったので、アイゼンを着けて歩き出す。土がでているところもあるので、アイゼンよりは歩行用チェーンの方が便利だろう(我々は持っていないので、重たいアイゼンをガジガジ鳴らして歩いた)。

12時40分に美濃戸口を出発して、赤岳鉱泉到着は午後4時。赤岳鉱泉小屋は1泊2食で一人9,000円。個室を頼んだので個室料金が5,000円である。夕食は豪華なステーキがでたので感激。

12月30日快晴。朝小屋の寒暖計を見るとマイナス12度だった。6時朝食。7時に小屋を出て樹林帯の中を急登し(トレースは明瞭)9時に赤岩の頭2,650m下に到着した。

赤岳(写真中央)と阿弥陀岳が指呼の間に見える。阿弥陀岳の右には南アルプスが見えた。

しばし休憩の後、稜線にでる。オーレン小屋方面から硫黄岳に登る登山道の合流点だ。ここから硫黄岳(2,760m)には夏であれば20分の登りなのだが、風が強く顔が刺されたように痛い。

硫黄岳に登り始めて、後続の仲間の様子をうかがうと「帰りましょうか?」と顔に書いてある(と判断した)。

本格的な冬山初体験の人も多いので、ここで引き返すことにした。標高差100mを残して登頂を断念するのは残念だが、無理をするとロクなことはない。

帰路ジョーゴ沢に入り、氷瀑でYさんの氷瀑登りのデモンストレーションを見学する。古いタイプのピッケルとバイルを使っているが、昔撮った何とやらで見事なものだ。

実は学生時代に私はこの氷瀑を登ったことがある。ただその時は当世大流行のダブルアックス技術はまだ大学山岳部まで伝わっておらず、氷瀑にハンドホールドを切り、アイスハーケンを打って登った記憶がある。技術の進化は凄い。

赤岳鉱泉に戻り、軽くスナックを食べて12時20分頃下山開始。午後2時頃美濃戸口に到着した。途中沢山の登山者とすれ違う。ピッケル・バイル組も多いので、赤岳鉱泉周辺のアイスクライムを楽しむのだろう。

下山時はアイゼンを外して、登山靴で歩いた。時々滑りそうになったが、全体としてはアイゼンなしの方が快適だった。歩行用チェーンがあればなお快適だろう。

帰路は予定通り、蔦木宿で温泉に入り、蕎麦などを頂いて車を武蔵境駅に向けた。渋滞もなく、武蔵境駅に到着したのは午後5時20分頃。

短いけれど充実した私たちの冬山登山は楽しくそして無事に終了した。

 

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自動レジは練習しておいた方が良い

2017年12月28日 | うんちく・小ネタ

たまに買い物にいくイオンには有人レジと無人レジがある。有人レジは混んでいることが多いが、無人レジはすぐ精算に進むことができる場合が多い。まだ無人レジを敬遠する人が多いからだ。

私は有人レジが空いていても、できる限り無人レジを使うことにしている。理由は「無人レジ」に慣れ、抵抗感をなくすためだ。

今日(12月28日)にミニストップが2018年下期から「ミニセルフレジ」を本格導入するという記事がでていた。人手不足で精算業務を機械化する必要が高まったためだ。このような動きは加速し、二度と後戻りしないだろう。

自分で商品をスキャンし、電子マネーかクレジットカードで決済するという時代が近づいている。

歳を取ってくると新しいことを行うのが面倒になってくる。新しいことを行うには大脳を働かす必要があり、エネルギーを消費するから、歳を取ると新しいことをしなくなるというのは自然の摂理かもしれない。

だが人手不足とIT技術の進化は色々な場面で、消費者に新しいことを求めるだろう。それに対応すると決めたなら取り組みは早い方が良い。

少しでも早くチャレンジ(大袈裟か?)する方がまだ対応力があるからだ。

日経新聞には米国で若者中心にネット送金が急拡大しているという記事がでていた。銀行間送金が容易な日本でネット送金が急拡大するとは思わないが、ラインマネーのような仕組みを使って簡単に割り勘をすることもその内若い人の間では一般化するかもしれない。

流行を追う必要はないが、将来本格化する仕組みについては、早く慣れておいて損はないと思う。

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日本史を学ぶ意味~ハーバード日本史教室から

2017年12月26日 | 受験・学校

昨日のエントリーで「高校の日本史の教科書から武田信玄・上杉謙信・坂本龍馬などの名前が消えるかもしれない」と書いた。

その後少し前に読んだ「ハーバード日本史教室」(佐藤 智恵著 中公新書ラクレ)を読み返してみた。

アンドルー・ゴードン教授とのインタビューの中で次のような文章が目に付いた。

著者「膨大な数の日本人の名前をどうやって覚えるのでしょうか」

ゴードン教授「三ケ月間で(日本の)通史を教えなくてはならないので、個々の歴史的人物の名前を覚えてもらうことには注力していません。学生も暗記なんて無駄だといって覚えないと思います。それとりも、日本史に変化をもたらしたものは何だったか、世界とのつながりがどう変化していったかなどに注目し、大きな流れを把握してもらうようにしています。」

著者「日本史の授業で学生に特に学んでほしいことは何ですか」

ゴードン教授「世界には様々な政治、社会、文化のシステムがあるということ」「現代の世界各国の政治・経済システムは、『近代化』の時代に端を発していて、近代化の経験を共有しながらともに発展してきた」という二つのことです。

アメリカの大学生が日本史を学ぶ意味と日本の高校生が大学受験をするために学ぶ日本史の勉強方法を混同するつもりはない。

しかし歴史を学ぶ本当の意味に洋の東西による差はないはずだ。歴史の勉強は高校だけで終わるものではない。大学に進んでもあるいは社会人になっても、興味があれば学び続けると良い。

暗記項目を減らす目的で教科書に登場する人物を減らすというのは本末転倒だろう。暗記力ではなく、歴史の大きな流れをつかむ力を試すのが、本来の試験ではないだろうか?

暗記にリソースを割き過ぎる結果、考える力の乏しい若者を育ててはいけない。

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2018年はレパトリ減税でドル高スタート

2017年12月26日 | 投資

米国の税制改正により来年はドル高でスタートすると専門家は見ている。

米国の法人税改正の柱は、法人税率を引き下げるだけでなく、海外子会社の利益送金に1回限りの税制優遇措置を与え、米国内に資本と投資を集中させることにある。

利益の国内送金をrepatriate(レーパトリエイト)というので、この1回限りの減税措置をレパトリ減税と呼んでおこう。

Patriateの元々の意味は「英国領だったカナダに自治権を移す」という意味だったが、repatiateになると海外子会社から利益送金になるのは面白い。Patriot(愛国者)という言葉もスペルが似ているが語源が共通しているのだろうか?

その辺のことには詳しくないが、利益の国内送金をする企業が、米政権にとって愛国者に見えることは間違いない。

余談はさておき、レパトリ減税を利用して、2千億ドル~4千億ドル程度の利益が米国に還流するという見方がある。

2004年のジョージ・ブッシュ政権下でレパトリ減税が実施された時、3,120億ドルの利益が米国内に還流した。利益を米国内に持ち帰るということは、外貨を売り、ドルを買うことになるから、ドルが上昇する。

WSJによると2005年にはWSJドル指数は13%上昇した。

今回のレパトリ減税がドルをどれ程持ち上げるかは不明だし、ドル高がどれほど続くかという点については、欧州中銀の金融政策も影響するから専門家の見方は分かれている。

例えばバンカメ・メリルは、レパトリ減税でユーロは足元の1.186ドルから1.10ドルに下落するだろうという見方を示していたが、これが大方の予想なのかどうかは分からない。

ほぼ総ての市場関係者が年明けのドル高を予想しているので、しばらくドル高基調で新年が始まることは間違いないだろう。

ただそこを絶好のドルの売り場とみる投資家もいるから、ドル高が持続するかどうかは分からない。それが分かれば投資ほどlucurativeな仕事はないのだが・・・

 

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