金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

日本の不動産はまだ割安?

2014年02月28日 | 金融
日本の信託銀行がWSJで記事になることは滅多にないが、たまたま朝電子版を見ていたら三井住友信託銀行の常陰社長のインタビューの一部が紹介されていた。
記事によると「三井住友信託は昨年シンガポール、台湾、韓国で数回投資家向けセミナーを行い、コンドミニアムからオフィスビルディングに至るまで投資意欲が高まっているのを感じた」というのが常陰氏の話。

不動産会社のジョーンズ・ラング・ラサールによると、昨年の日本の商業不動産の取引額は前年の倍の4兆円になった。これは2008年以降で最大の取引高だ。またREIT指数も08年以降初めて1,500ポイントを回復した。

日銀が金融緩和策の一環としてREIT株を買っていることやアベノミクスに期待するアジア人投資家が割安感のある日本の商業用不動産や居住用不動産に投資を続けいていることが価格上昇要因だ。円安も海外投資家にとっては好都合だ。

ラサール・インベストメントの中島氏は「過去14ヶ月間不動産市場で資産上昇を見てきたが、これは過去数年間米英の市場で起きたことと同じトレンド」と述べていた。

中央銀行が積極的に金融緩和政策をとれば不動産の価格が上昇するのは当然の話。私はまだそれほどの過熱感はないので、REITをNISAに組み込んでおくのは良いと判断して、1月に少し購入した。
NISAでは高配当銘柄を保有しようと考える人は多いだろうから、REITには持続的な需要がある・・・・と考えているが、これはややポジショントークかもしれない。




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米国新規住宅販売、予想以上に堅調で明るさが。

2014年02月27日 | 金融
昨日(2月26日)発表された1月の新規住宅販売戸数は大方のエコノミストの予想に反して、非常に強い数字だった。
1月新規戸建販売戸数は9.6%増加。季節調整後の年換算で468千戸だった。これは2008年7月以降で一番強いペースだった。
新規住宅販売戸数は11月に1.8%、12月3.8%下落しており、寒波の影響などを考えて1月も減少すると予想する向きが多かったが、実際は北西部の74%増加が牽引して大きな増加となった。
住宅ローン金利上昇で住宅販売戸数の低下が懸念されていたが、雇用が改善され収入が増加傾向にあることから、家計が自信を取り戻しつつあると思われる。

エコノミストも現金なもので、強気のエコノミストの中には今年の新規住宅販売戸数は昨年の428千戸を2割以上上回る528千戸になると予想する人もでてきた。
これは少し極端だと思うが、今の米国では少しずつ明るい材料が増えているようだ。

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円ドル為替は米国株の水先案内人

2014年02月25日 | 金融

CNBCに「現在一番重要な株価のインジケーターは日本円」という記事がでていた。

円安になる米国株は上昇し、円高になると米国株は下落する。その理由は円を借入通貨に使ったキャリートレードにある。金利の低い円で資金を借りて、金利の高い豪ドル資産などに投資するキャリートレード。大々的な金融緩和を一つの柱とするアベノミクスはこのキャリートレードに拍車をかけた。

今円で調達した資金が向かう先は米国の株だ。借りた円を売りドルを買ってそのドルで米国株を買う。しばらく低迷していた米国株は再び高値更新に向かって動き始めた。昨日のS&P500はザラ場で最高値を更新して、終値では高値更新まで1ポイントまで迫ってきた。

米国株が買われる理由は米国が景気回復ムードにあること、好調な企業収益、政治的な落ち着きなどの国内情勢と欧州の景気回復や新興国のメルトダウンリスクが後退したと投資家が判断したことだ。

円安は日本株も押し上げる。日本株と米国株の連動性は高まっているからその相乗効果も米国株にプラスに働いている。

ドル円の見通しについて、野村證券のJens Nordvig氏は今年第2四半期に110円まで円安が進行し、年末は114円になると予想する。またドイツ銀行のRuskin氏の年末の予想は115円である。シティバンクのEnglander氏の予想は107円だが、円安に振れる可能性が高いと予想する。米国の長期金利がじりじりと上昇して、日米金利差が拡大してくると115円はさておき、100円台の後半まで円安が進むことはあると私は考えている。

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中国は本気で尖閣占拠にでるか?

2014年02月24日 | ニュース

昨日の産経新聞で「1月に行われた世界経済フォーラムのディナーの席上である中国の専門家が『中国が威信を示すため尖閣諸島の軍事的占拠に出ても本格的な戦争には発展しないと思う』と述べて同席者を凍り付かせた」という記事が出ていた。

これはオンラインニュースサイトのBusiness Insiderに出ていた記事で原文のポイントを抄訳すると以下のとおりだ。

  • 書き手はBusiness Insiderの編集長Henry Blodget氏。ディナーの席では「チャタムハウスルール」(出席者は匿名)が適用されるので、中国人のスピーカーが誰かは不明。ただし影響力のあるプロフェッショナルとのこと。
  • スピーカーは「安倍首相の靖国神社参拝は戦争犯罪を称賛するものでクレージーだ」「中国では日本と中国の戦争は本当の意味では解決していないというのが一般的な見方だ」(私注:1972年に日中平和条約が締結されている)と述べた。
  • また彼は「多くの中国人は中国の軍事的優越性を示すことで日本にお灸をすえ、日中間の戦争を終結するというゴールを達成できると信じている」「それは極めて限定的な軍事行動~別の言葉でいうと尖閣諸島に軍隊を送り中国の旗を立てる~ことである」「中国が尖閣占拠にでると米国は日本を支持するだろうが、その行為は全面的な戦争を引き起こすほどひどいものではないだろう」と述べた。
  • スピーチの後驚愕の沈黙が広がった。そしてマイクを取ったあるビジネスマンが質問した。「あなたはそれが全くクレージーなことを認識しいるのか?」「これまで戦争が如何にして起きてきたか知っているのか?」
  • 中国のプロフェッショナルはイエス、と答え「個人的には戦争は好まない」と述べた。しかし彼はこの戦争は象徴的な意味において価値があると確信しているように見えた。

別のニュースは米太平洋艦隊の情報部門を担当するファネル大佐が「中国人民解放軍の共同演習を分析した結果、解放軍は東シナ海で日本軍を殲滅する短期集中作戦を遂行できるよう新しい任務が与えられた」と発表したと報じていた。

防衛省によると昨年10-12月3か月間の自衛隊機の中国機に対するスクランブル発信は138回。これはその前、その前の前の3か月の80回、69回に較べると大幅増。中国が11月下旬に制定した新しい防衛識別圏の影響によるものだ。

一部の報道や発言をもって中国が本気で尖閣に旗を立てに来るかどうか判断するのは難しいが、中国の指導層の一部にそのようなことを考えている人がいることは事実のようだ。

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投信は鮮度が良いほどパフォーマンスが良い

2014年02月23日 | 金融

かなり昔に販売開始された投信と新しい投信ではどちらがパフォーマンスが良いか?という質問にあなたはどう答えますか?

直観的に「販売直後のファンドは運用者が力を入れるのでパフォーマンスが良いのではないか?」と答える人が多いと思う。私もそう思っていた。だがこのようなテーマもデータを集めて分析すると立派な研究対象になる。

WSJにシカゴ大学のLubos Pastor教授とペンシルバニア大学のLucian Taylor教授のこの問題に関する研究が紹介されていた。それによると、「古い投信」と「新しい投信」の明確な基準はないが、年数の経過とともに投信の運用成績は劣化していくことが分かった。研究は1979年から2011年にかけて組成された3千以上のアクティブファンドをそれぞれのベンチマークと比較して行われた。つまり「小型割安株ファンド」は「小型割安株ベンチマーク」と比較して運用成績が評価された。

その結果発売後3年未満の投信は、販売後10年以上経つ投信に較べて平均的に約1%運用成績が上回ることが明らかになった。

Pastor教授は「古い投信が古い投資戦略を採用しているのに比べ新しい投信は最新の投資戦略を採用するのでベンチマーク(市場平均)を凌駕する可能性が古い投信より高いのだろう」と結論つけている。

新しい投信が古い投信よりパフォーマンスが良い一つの理由として「新しい投信は残高が少ないので、自分の売買により株価を動かすリスクが少ないので小型株に投資するなど機動的な動きができる」ということが考えらえるが、ファンド規模を調整した後でも結論は変わらなかった。

また「若いファンドマネージャーは名声を得るためより大きなリスクを取っているのではないか?」と推測する筋もあるが、それを示すデータはなかった。また別の研究によると若いファンドマネージャーの方が古いファンドマネージャーより保守的だということが言われている。

☆   ☆   ☆

これはアメリカの投信に関する研究なので、日本の投信について同じことがいえるかどうかは分らない。というのはアメリカでは、新しい投信は「最新の運用手法を学んだファンドマネージャーによって運用されている」ということと「新しい投信で運用成績が悪いファンドは古くからあるパフォーマンスが悪いファンドより早期に閉鎖される傾向が強い」ということがあるからだ。

なおこの研究のメインテーマではないかもしれないが、この研究はアクティブファンドが市場平均を凌駕することがいかに困難かを示しているそうだ。

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