最近企業の財務担当者の話を聞くと「地銀の中には低い金利で融資をしてくれる先があるが、メガバンクの提示する金利は結構高い」という話を聞く。メガバンクの本部がどのような指示を出しているのか知らないが、「国内で金利競争をするよりも海外で高い金利で貸せるから、金利の安売り競争に巻き込まれるな」という類の指示が出ている可能性はある。
海外ローンはこの1年間で、みずほグループで10%、三菱UFJで20%、住友三井ファイナンシャルグループ(SMBC)で45%も伸びている。最近は海外の大型買収案件にも呼ばれていて、ベルギーのビール会社インベブがバドワイザーのアンファイザー・ブッシュを買収するディール(まだこの買収は決まっていないが)にも声がかかっている。海外金融機関に対する投資活動も活発だ。SMBCが英国のバークレーズ銀行に5億ポンド約1千億円の出資を決めたことは目新しいニュースだ。その前にはみずほグループが、メリルリンチに出資を決めている。三菱UFJは今大物を物色中というところだろうが、シンガポールなどでは投資を行っている。
国内資金需要が低迷しているので、メガバンクが欧米の金融機関のバランスシートが痛んでいる間隙をついて、投融資を延ばすことは当然である。少ない資金需要を多くの金融機関で取り合い、必要以上に貸出利鞘を縮めるより海外に打って出る方が賢明であろう。またそれにより純粋国内金融機関の過当競争が緩和されるのであれば、金融界全体でもハッピーであると考えるがどうだろうか?