昨日(30日)オバマ大統領が「GMとクライスラーの再建計画は不十分」と宣告したことで、3月中頃から続いたベア・ラリー(弱気相場の中の一時的な株価上昇)は一旦終わったようだ。市場の関心事は4月のG20で、米国と欧州諸国が景気浮揚策について合意点を見出せるかどうかに移りつつある。
G20でプラス材料が出るとまたベア・ラリーが戻ってくるのだろうか?それは分からない。世界は先例のない状態に入っているので、過去の経験から将来を判断することは困難だ。
例えば米国の自動車メーカーの実質的な国有化。かって米国は鉄鋼メーカーや鉄道会社を短期的に国有化したことはあるが、経営的には成功しなかった。オバマ大統領は演説の中で「自動車産業が消滅するのを放置しない」と述べているが、自動車産業を取り巻く環境は激変しているので、コストカットだけで生き残る会社を作ることができるとは思われない。
私は基本的には楽観論者なのだが、OECDの厳しい失業率予想には注目をして置かざるを得ない。OECDのグリア事務総長は30日に「先進国の氏t業率は2010年には10%に達するだろう」と警告を発した。IMFは最近2009年の世界経済は3-3.5%収縮すると予想したが、OECDの予想はもっと厳しく2009年に4.3%の収縮を予想し、2010年もほとんど成長は期待できないとしている。
グリア事務総長の警告は先進国の景気刺激策が失業問題にフォーカスしていないことを懸念したものである。OECDの予想が当るとすると、先進30カ国で失業者は25百万人増えることになる。これは第二次大戦後最大の失業者の増加だ。
ECBは今週0.5%の政策金利の引下げを予定しているが、この程度の対策では心もとなさそうだ。