金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

OECDの不気味な失業率予想

2009年03月31日 | 社会・経済

昨日(30日)オバマ大統領が「GMとクライスラーの再建計画は不十分」と宣告したことで、3月中頃から続いたベア・ラリー(弱気相場の中の一時的な株価上昇)は一旦終わったようだ。市場の関心事は4月のG20で、米国と欧州諸国が景気浮揚策について合意点を見出せるかどうかに移りつつある。

G20でプラス材料が出るとまたベア・ラリーが戻ってくるのだろうか?それは分からない。世界は先例のない状態に入っているので、過去の経験から将来を判断することは困難だ。

例えば米国の自動車メーカーの実質的な国有化。かって米国は鉄鋼メーカーや鉄道会社を短期的に国有化したことはあるが、経営的には成功しなかった。オバマ大統領は演説の中で「自動車産業が消滅するのを放置しない」と述べているが、自動車産業を取り巻く環境は激変しているので、コストカットだけで生き残る会社を作ることができるとは思われない。

私は基本的には楽観論者なのだが、OECDの厳しい失業率予想には注目をして置かざるを得ない。OECDのグリア事務総長は30日に「先進国の氏t業率は2010年には10%に達するだろう」と警告を発した。IMFは最近2009年の世界経済は3-3.5%収縮すると予想したが、OECDの予想はもっと厳しく2009年に4.3%の収縮を予想し、2010年もほとんど成長は期待できないとしている。

グリア事務総長の警告は先進国の景気刺激策が失業問題にフォーカスしていないことを懸念したものである。OECDの予想が当るとすると、先進30カ国で失業者は25百万人増えることになる。これは第二次大戦後最大の失業者の増加だ。

ECBは今週0.5%の政策金利の引下げを予定しているが、この程度の対策では心もとなさそうだ。

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中国人はスパイ好き

2009年03月30日 | デジタル・インターネット

「中国人はスパイ好き」などというと、中国人や中国びいきの人に非難されるかもしれない(私のブログを中国人が読んでいるとは思わないが)。もっとも私はスパイ活動が悪いという訳ではない。中国が生んだ世界最高の戦略書・孫子は用間編で「名君賢将の動きて人に勝ち、成功の衆に出ずる所以(ゆえん)の者は先知すればなり・・・・上智を以って間となす者にして必ず大功を成す」と述べている。大意は「名君や賢い将軍が人に勝つのは先に相手の情報をしるからである。彼等は賢い人間をスパイとして使うから大きな手柄を立てるのである」ということだ。孫子の兵法の最終章が用間(間は間者の間でスパイのこと)であることは、孫子が諜報活動を重視していることを表していて誠に興味深い。

さてニューヨーク・タイムズによるとダライ・ラマ事務所の依頼を受けたカナダ・トロント大学の研究機関が調査したところ、ダライ・ラマ事務所を含む世界103カ国1,295のコンピュータが中国に拠点を置くハッカーによって侵入されていることが分かった。ダライ・ラマ事務所は何者かによりコンピュータ・システムが侵入されている兆候があったので、トロント大学の調査機関に調査を依頼したということだ。この侵入者はゴースト(幽霊)・ネットと呼ばれている。

無差別的に他人のコンピュータに侵入して、銀行口座情報をなどを「盗み取る」行為はフィッシングといわれている。フィッシングは元々は魚釣りのFishingだったが、今ではPhisingと綴られている。これは魚釣りと洗練されるという意味のSophisticateの掛詞だ。これに対し今回のゴースト・ネットのように特定のターゲットを狙った侵入・情報詐取行為はクジラ獲りを意味するWhalingという言葉で呼ばれている。

トロント大学の研究機関は中国政府がゴースト・ネットに関与していると確実にいうことはできないと述べている。スパイ行為が営利目的で行われているか「愛国的ハッカー」という民間人によって行われている可能性もあるからだ。またニューヨークの中国領事館も関与を否定している。彼等は「中国政府はサイバー犯罪に反対だし厳密に禁止している」と述べている。

ゴースト・ネットが主にターゲットにしているのは、南アジアや東南アジアの政府機関である。ニューヨーク・タイムズは地図上の○の大きさで侵入されているコンピュータの数を示していた。それによると台湾・ベトナム・ブータン・インド・米国の○が大きかった(日本は小さい)。米国政府のコンピュータがゴースト・ネットに侵入された証拠はないが、ナトーのコンピュータはスパイに半日観察された形跡があるし、ワシントンのインド大使館のコンピュータも侵入されている。

ニューヨーク・タイムズはスパイ活動が現実の政治に与える影響について次のような例を示していた。「例えばダライ・ラマ事務所がある外国の外交官を招聘するメールを送ったとする。スパイはそのメールを読み、外交官のいる政府に対し要請を受けないように働きかけをする。」

この記事は多くの読者の関心を引きつけた記事だった。少なくとも北朝鮮のミサイル発射準備に関する記事よりも多くの関心を引いていた。目に見えるミサイルよりも、目に見えないサイバー・スパイの方が影響力が強いということだ。孫子のいうスパイ活動の重要性は今もなお生きているということだろう。

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花は半開を看る

2009年03月29日 | まち歩き

週末に京都に行った。目的はお花見ではなく、私の両親を訪ねたこととワイフの両親の墓参りである。ただし両親が希望したので平安神宮と円山公園に桜を観に行った。今年は例年より2週間ほど早い開花が予想されたが、その後冬に戻ったような寒さが続き桜の花は立ち往生している状態だ。

Yagura

平安神宮正面右側の桜も三分咲きというところだろうか?

Jingu 

Sakura 

「花は半開を看る」という中国の思想家・洪自誠の言葉が浮かぶ。気温が低く寒い感じがするが、600円払って平安神宮裏の庭園も歩いた。花よりも松の青さが目立つ。

Niwa1

だが一本満開の桜があった。この一本の桜から想像を膨らませて春爛漫の世界を想像する。

Suikyou

平安神宮から出て車を円山公園に移し人ごみの中を散策する。

Shidare

円山公園の有名な枝垂桜は花が少なく風情が良くない。どうして元気をなくしたのだろうか?最後に八坂神社にお参りした。八坂神社は若い女性も並ぶほど人気が高い。

Yasaka

夜実家で食事をすると母の勧めるままに食べ過ぎ・飲み過ぎに陥ってしまう。母の息子に対する思いは20代の食べ盛りの頃で止まっているようだ。「花は半開を看る」という言葉は「酒は微酔に飲む」と続くが、週末少し飲み食いが過ぎたようだ。

これからジムに行ってシェイプ・アップしよう。

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ジムの前にマックでコーヒー

2009年03月27日 | うんちく・小ネタ

この冬風邪らしい風邪は引かなかった。その一つの理由はスポーツ・ジムでのランニング量を増やしていたことではないか?と僕は思っている。今年の冬は週に1,2度会社の帰りに駅前のマックで軽食をとり、その後ジムで7,8km走って帰宅することが多かった。

マックではいつも無意識にコーヒーを飲んでいたが、これからは意識的にコーヒーを飲もうと思わせる記事を今日ニューヨーク・タイムズで読んだ。

それはコーヒーの中のカフェインが運動のパフォーマンスを高めるというものだ。カフェインはドーピングに該当しない運動機能強化剤であるというのが、その記事の主旨だ。記事によるとカフェインは筋肉からカルシウムを放出させる効果がある。筋肉の収縮にはカルシウムが必要なので、運動能力が向上するということだ。またカフェインは脳の疲労感覚を緩和する効果もあり、運動の持続に寄与するという話だ。

春になってもマックでコーヒーを飲んでランニングか自転車漕ぎで汗をかいてから帰ろうと思う。運動の結果で健康が維持されるのか運動のために飲み会が減って健康が維持されるのかは分からないがいずれにせよ運動は体に良い。

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小沢が辞めても影響力は続く

2009年03月27日 | 国際・政治

小沢一郎という男は国際的にはまったく有名でなかった。少なくとも今日までは。何故私が小沢は有名でなかったと断言するかというと、少し前に小沢が「日本に駐留する米軍は第七艦隊だけでよい」と発言した時、この話を海外のメディアがどう反応するか調べたことがある。その時「小沢一郎」をインターネットで検索したが、「第七艦隊発言」についてもそれ以外のニュースに関しても小沢一郎の名前はほとんど出てこなかった。

国際的に有名でないことは別に小沢にとって不名誉な話ではあるまい。彼はもともとフィクサーだからだ。だが今週エコノミスト誌が「金権政治は続いていた」というタイトルで小沢一郎の大久保秘書が起訴された事件を掘り下げて報道したので、これから先は少し有名になるだろう。ただし日本の金権政治体質の権化としてだが。

エコノミスト誌は小沢がロッキード事件で倒れた田中角栄の薫陶を受けていたことを紹介し、今回の西松事件は小沢一郎が常に金と権力の中心にいたことを思い出させると述べる。

またエコノミスト誌は「日本では政治家や官僚、そして与党でも公共工事について便宜を与える力を持っている」と述べる。この記事を読む欧米の読者は「日本は治らないなぁ」という思いを強くするだろう。というのはロッキード事件を契機に米国で外国公務員に対する贈賄を禁止する法律が制定され、それがOECDレベルの「外国公務員贈賄防止条約」につながったからだ。ついでにいうと問題の西松建設はタイで公務員に贈賄した嫌疑をかけられている。

今日の日経新聞は、共同通信の世論調査では66%が小沢の辞任を求めていると報じている。エコノミスト誌は世論の高まりを受けて、民主党内からも小沢辞任を求める声が高まり、岡田氏が後任になる可能性が高いことを示唆している。

しかし同誌は小沢が代表を辞任しても、総選挙で勝つためには小沢の自民党とその戦略に対する知識は不可欠なので小沢はフィクサーとして大きな影響力を持ち続けるだろうと予測している。

小沢代表の辞任を求める66%の人は、小沢が引き続き強い影響力を持つ民主党を自民党に替わるクリーンな政党と認めるだろうか?これは大きな疑問だ。

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