昨日(5月25日)の米国株の市場毎のパフォーマンスの違いは、今年の米国株の動きを象徴していたといえる。そして近未来の相場の動きをある程度予想しているともいえるだろう。
債務上限引き上げに関する与野党の交渉は続いているが、6月1日と債務支払いのデッドラインは近づいている。財務省はコンティンジェンシープランを引っ張り出し、デフォルトの影響を最小限に留める努力を始めた。
そんな中ダウは0.11%下落したが、なんとナスダックは1.71%上昇した。ナスダックが大幅に上昇したのは、エヌビディアが今四半期(5ー7月)の売上高が110億ドルに達するだろうと発表したことだ。これはアナリスト予想平均71.8億ドルを大きく上回るものだった。このため同社株価は24%以上上昇し、時価総額は1兆ドルに迫ってきた。時価総額1兆ドルを超える企業はアップル、マイクロソフトなど超優良企業だ。
年初来の株価のパフォーマンスを見ると、ダウが1.12%の下落で、ナスダックは22.25%上昇、S&P500は8.55%上昇となっている。またナスダックの中の時価総額の大きい100社で構成するナスダック100は28.32%上昇している。
ナスダック100の中には今年株価が倍以上になっているエヌビディアなど人工知能関連銘柄が多く入っているので、大雑把な言い方をすると人工知能関連銘柄が米国株を牽引しているということができる。
人工知能というと最近では生成人工知能のChatGPTが有名だ。エヌビディアの株価が急騰しているのは、人工知能に同社のチップが欠かせないからなのだが、人工知能がカバーする分野は自動運転、ヘルスケア、カスタマイズされたショッピング、チャットボットなど非常に幅広い。
ChatGPTにコミットしているマイクロソフトの株価よりエヌビディアの株価の上昇率がはるかに高いことは、エヌビディアのチップがあらゆる人工知能の要になっているからだ。
更に深読みすれば、人工知能が今後ビジネスや我々の生活を長期にわたって変化させていくドライバーになると考えている人が投資家に中に多いということだ。
先進国で深刻化する高齢化と労働力不足に対する最も有効な解決策が人工知能の活用なのだ。そう考える時、現役で働いている人は「いかに人工知能と使いこなすか」ということがスキルの中核になることに気づくはずだ。
またシニア層では消費生活、医療、介護、行政サービスなどのあらゆる分野でサービスが人工知能やロボットに置き換わっていくことを覚悟する必要があることに気が付くはずだ。
それは避けることができない不可逆的な変化である。それであれば早目に慣れるにこしたことはない。
また働く人にもシニア層にも共通する課題はいかに人工知能銘柄をポートフォリオに取り込んでおくかということだろう。
目端の利いた人は「いわれなくてもエヌビディアの株を持ってますよ」というだろうし、これからおっとり刀で買いに行く人もいるかもしれない。
しかし値上りする一つの銘柄をピックアップすることは難しく、先見力で銘柄を選んだと思うものの中には単なる幸運の結果も多いものだと私は考えている。
もう少し安全に網を入れる方法はネット証券などで東証上場のナスダック100連動の上場型投資信託を購入する方法がある。3年前に買っておけば日経平均を大幅に上回るパフフォーマンスをあげることができた。
もっとも株価については過去は将来を語るものではないので、ナスダック100が今後も好成績をあげるかどうかは分からない。
しかしこのバスケットの中に人工知能関連銘柄が沢山入っているので私は期待したいと考えている。