金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

「株は5月に売って11月に買え」は今でも通用する格言?

2024年05月02日 | 投資
 昨日の米国株はパウエル議長の「連銀の次の動きは金利引き上げではない」という発言を好感して、最初は大きく買われたものの、チップメーカーの決算に失望した投資家の売りで下落した。ダウは0.23%の上昇を確保したものの、S&P500、ナスダックは0.3%強下落した。
 4月の米国株は冴えなかった。S&P500とナスダックは4%下落し、ダウは5%下落した。相場の格言を知っている人であれば「株は5月に売って相場を離れ、また11月に買えばよい」という米国の格言を思い出しているかもしれない。
 夏場は市場がvolatileなのでリスクに較べてリターンが低いという経験則だ。ただしWSJの記事によるとこの格言は過去ほど有効ではないということだ。その理由の一つは夏場以外でも相場のvolatilityは高まっているからだ、そうだ。
 日本には「休むも相場」という格言がある。年中、株式売買を繰り返していると、全体を相場を冷静に見れなくなり、リスクを取り過ぎる、たまには頭を冷やそうという趣旨だ。
 連銀はインフレの膠着を認めながら、金利は据え置いた。一方保有する国債については満期分の再投資は行わないと述べた。量的金融引締めで、これは投資家に好感をもって受け止められた。連銀が我慢するように、我々も我慢しよう。しばらく。第一四半期のような上げ相場がいつまでも続くわけがない。
 

 
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人工知能は我々の将来を変える~仕事の質とポートフォリオの点で~

2023年05月26日 | 投資
 昨日(5月25日)の米国株の市場毎のパフォーマンスの違いは、今年の米国株の動きを象徴していたといえる。そして近未来の相場の動きをある程度予想しているともいえるだろう。
 債務上限引き上げに関する与野党の交渉は続いているが、6月1日と債務支払いのデッドラインは近づいている。財務省はコンティンジェンシープランを引っ張り出し、デフォルトの影響を最小限に留める努力を始めた。
 そんな中ダウは0.11%下落したが、なんとナスダックは1.71%上昇した。ナスダックが大幅に上昇したのは、エヌビディアが今四半期(5ー7月)の売上高が110億ドルに達するだろうと発表したことだ。これはアナリスト予想平均71.8億ドルを大きく上回るものだった。このため同社株価は24%以上上昇し、時価総額は1兆ドルに迫ってきた。時価総額1兆ドルを超える企業はアップル、マイクロソフトなど超優良企業だ。
 年初来の株価のパフォーマンスを見ると、ダウが1.12%の下落で、ナスダックは22.25%上昇、S&P500は8.55%上昇となっている。またナスダックの中の時価総額の大きい100社で構成するナスダック100は28.32%上昇している。
 ナスダック100の中には今年株価が倍以上になっているエヌビディアなど人工知能関連銘柄が多く入っているので、大雑把な言い方をすると人工知能関連銘柄が米国株を牽引しているということができる。
 人工知能というと最近では生成人工知能のChatGPTが有名だ。エヌビディアの株価が急騰しているのは、人工知能に同社のチップが欠かせないからなのだが、人工知能がカバーする分野は自動運転、ヘルスケア、カスタマイズされたショッピング、チャットボットなど非常に幅広い。
 ChatGPTにコミットしているマイクロソフトの株価よりエヌビディアの株価の上昇率がはるかに高いことは、エヌビディアのチップがあらゆる人工知能の要になっているからだ。
 更に深読みすれば、人工知能が今後ビジネスや我々の生活を長期にわたって変化させていくドライバーになると考えている人が投資家に中に多いということだ。
 先進国で深刻化する高齢化と労働力不足に対する最も有効な解決策が人工知能の活用なのだ。そう考える時、現役で働いている人は「いかに人工知能と使いこなすか」ということがスキルの中核になることに気づくはずだ。
 またシニア層では消費生活、医療、介護、行政サービスなどのあらゆる分野でサービスが人工知能やロボットに置き換わっていくことを覚悟する必要があることに気が付くはずだ。
 それは避けることができない不可逆的な変化である。それであれば早目に慣れるにこしたことはない。
 また働く人にもシニア層にも共通する課題はいかに人工知能銘柄をポートフォリオに取り込んでおくかということだろう。
 目端の利いた人は「いわれなくてもエヌビディアの株を持ってますよ」というだろうし、これからおっとり刀で買いに行く人もいるかもしれない。
 しかし値上りする一つの銘柄をピックアップすることは難しく、先見力で銘柄を選んだと思うものの中には単なる幸運の結果も多いものだと私は考えている。
 もう少し安全に網を入れる方法はネット証券などで東証上場のナスダック100連動の上場型投資信託を購入する方法がある。3年前に買っておけば日経平均を大幅に上回るパフフォーマンスをあげることができた。
 もっとも株価については過去は将来を語るものではないので、ナスダック100が今後も好成績をあげるかどうかは分からない。
 しかしこのバスケットの中に人工知能関連銘柄が沢山入っているので私は期待したいと考えている。

 
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金利高でもなお強い米国の雇用市場

2022年12月03日 | 投資
 昨日(12月2日)発表された米国の11月雇用統計は市場予想を上回る堅調なものだった。失業率は前月同様3.7%で、最も注目を集めた非農業部門雇用者増は事前予想200千人を上回る263千人だった。
 マスコミでIT企業などのレイオフのニュースを見かけるようになったが、レジャー・ホテル・ヘルスケアなど中心に雇用は堅調、という雇用市場の強さが浮き彫りになった。また時間給の上昇率は前年比5.1%とパンデミック以前の3%という水準を上回っている。
 雇用統計の発表後株は売り込まれたが、引けにかけて債券市場で金利が下がったことなどから、ダウは朝方の負けを取り戻し、34ポイント(0.1%)上昇で引けた(S&P500は若干のマイナス)。
 今月のFOMCにおける政策金利引き上げ予想は0.5%で変わっていない。この結果政策金利のレンジは4.25%~4.5%のレンジになる見込みだが、市場参加者の関心は、連銀が政策金利を5%越えのレンジまで持って行くのか?またそこまで引き上げるとすればどのような経路をたどるか?ということだ。
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パウエル議長の一言でダウは弱気相場を抜け出した

2022年12月01日 | 投資
 昨日は11月の月末。この日米連銀のパウエル議長の一言で米国株は躍進した。ダウは737ポイント2.18%上昇し、S&P500は3.1%、ナスダックは4.4%上昇した。
 ダウは今年9月の底値から20%上昇し、テクニカルには弱気相場を脱出した。
 WSJはパウエル議長の発言を次のように紹介していた。
 Nothing like a few well-chosen words to turn the tide.
 「選び抜かれた言葉ほど流れを変えるものはない」
 パウエル議長は昨日ブルッキングス研究所で「連銀は12月の政策決定会合で政策金利の引き上げ幅を0.5%にするだろう」という趣旨の発言をしたが、これが選び抜かれた言葉という訳だ。
 一方でパウエル議長は、インフレとの戦いはまだ終わっておらず、今後どれ位の利上げが必要なのか、いつまでつづくのかといった疑問が残っていると注意を促した。
 ただし昨日は投資家は自分たちが聞きたいことを聞いたようだ。
 それにしても金融政策の決定者にしろ、政治家にしろ、言葉で世の中の流れを変えていく人に重要なことは「言葉を選び抜く」ということだ。だが昨今の日本の状況を見ていると言葉が軽過ぎる。これでは流れを変えることはおろかまともに話を聞いてもらえないだろう。
 
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政策金利引き上げの減速見込みで米国株上昇

2022年11月24日 | 投資
 昨日(11月23日)午後連銀が今月初めのFOMCの議事録を公開した。それによると大部分のメンバーは政策金利引き上げのペースを落とすことに賛意を示していた。議事録の公開後、米国株は上昇に転じ、S&P500は0.6%、ダウは0.3%、ナスダックは1%上昇した。金利先物市場を見ると約3/4の投資家は12月の政策金利引き上げ幅を0.5%と予測している。
 連銀が公開する議事録は、連銀の金融政策を予想する上で重要な役割を果たすので、株式市場を動かす材料になる。だが連銀が本当に政策金利引き上げのペースを落とすかどうかは、今後の経済データに関わっている。
 政策金利引き上げのペースダウン予想が、一時的な感謝祭のプレゼントに留まるか相場反転のマイルストーンになるかどうかはもう少し先にならないと分からないかもしれない。
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