第3四半期の米国GDPは、議会予算局が算出している潜在産出量(潜在GDP)を若干上回った。
GDPが潜在GDPを上回るのは、2007年第4四半期以来10年ぶりのことだ。
潜在GDPとは長期間持続可能なGDPの最高水準だから、資本や労働力が最高レベルで効率的に使われていることを意味する。
昨日商務省が発表した第3四半期のGDP成長率は年率換算3.3%で過去3年間で最高水準だった。
産出量が潜在産出量を越える状態が続くと、賃金と物価の上昇が加速して、やがて景気は減速するというのが経済学のセオリーだ。
従ってGDPが潜在GDPを越えたというニュースは、連銀の政策金利引き上げのサポート材料になるだろう。
もっともGDPが潜在GDPを越えると景気が減速するというセオリーにも例外があり、1990年代後期には、4年近くGDPが潜在GDPを上回っていたが、インフレは抑えられていた。生産性が向上していたからである。
米国経済が景気拡大の後半期に入っていることは間違いないが、なおしばらく持続すると思われる材料は多い。ただ手放しの楽観はできないだろう。良い材料が続いている間に次の景気後退期に向けて何を準備しておくかが、投資家にも問われつつあることは間違いない。