金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

中国の環境劣化コストはGDPの3.5%、少なく見積もっても。

2013年03月30日 | ニュース

ニューヨーク・タイムズに中国環境計画アカデミー(環境局の一部門)が2010年の環境劣化environmental degradationコストはGDPの3.5%約2,300億ドル(1.54兆人民元、約21兆8千億円)だったと発表したと報じていた。ただしこのコスト計算については低すぎるという意見もあると同紙は述べる。IHSグローバル・インサイトのチャイナエコノミストは調査官は完全なデータを持っていないので、2,300億ドルというコスト見積は不完全でもっと大きい可能性があると指摘している。

不完全というと中国の場合、GDPそのものの数字が不完全だ。まずGDPの計算そのものに十分な信頼がおけない。東京ベースのオンラインマガジンThe diplomat http://thediplomat.com/china-power/the-curious-case-of-chinas-gd-figures/は、2012年のGDPについて国家統計局が発表した数字と、各省が発表するGDPの合計の数字では、5.7兆元(約85兆円)も各省合計が大きかったと指摘している。またロイターも新しく首相になった李克強氏が2007年に中国のGDPは人工的で信頼出来ないと述べたとwikileaksがリリースしたと報じている。真偽を見定める情報もないし、その気もないので、この話は深追いしないが、各省レベルの高官が、経済パフォーマンス次第で昇進するので、GDPを過大に見せる強いインセンティブを持つという説明は中々説得力がある。

一方他国との比較では、人民元は実力が過小評価されているので、中国のGDPは市場レートではなく、購買力平価ベース(PPP)で判断する必要があると言われている。2011年のGDPは47兆2880億人民元で現在の為替レートで換算して約7.6兆ドルだが、CIAはPPPベースで中国の2012年のGDPを12.3兆ドルと推計している。

ちなみにCIAデータによるとGDP1位はユーロ圏で15.7兆ドル、2位アメリカ15.6兆ドル、3位中国12.3兆ドル、4位はぐっと差が開いてインド4.7兆ドル、日本は5位で4.6兆ドルだ。

もし環境劣化コストも購買力平価ベースで引き直すすればと、4,300億ドル(40兆円強)と巨額なものになる。GDPは過大に報告され、環境劣化コストは過少に報告される傾向があるので、全貌は見えないが、中国の環境リスクはかなりやばいレベルに達しているのだろう。

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美術館では単焦点レンズがいい

2013年03月29日 | まち歩き

3月29日(金曜日)上野の東京国立博物館で1月中旬から開催されていた「円空」展の終りが近い(4月7日まで)ので、ワイフと出かけた。平日だが「特別展」は結構混んでいた。「円空」を観た後、ランチをはさんで常設展を観ることにした。レストランが混んでいたのでリストに名前を書いて庭園を散歩して少し写真を撮った。

曇っている上、桜は散り始めできれいな写真はとれないだろうと思い、自宅を出る時荷物を軽くするため「単焦点レンズ」一本だけ着けてきたが、結果としてはそれが良かった。

Chiru

私が使っているソニーE-mountの単焦点レンズはE16F28というレンズキットについていたレンズだ。つまり入門者用の低価格品(カタログ値段は3万円税抜き)で、カメラにうるさい人からは「そんなの使わないで、別売のもっと明るいレンズを使おう」と言われそうなシロモノである。

しかしそれでもズームレンズに較べると幾つか良いところがある。

一つは「明るい」ことだ。入門者レンズでも単焦点はズームより明るいので、意外に暗いところが多い庭園の写真に向いている。また24mm相当の広角というのも広い風景を撮るのに都合が良かった。

次は「描写力が優れている」ことだ。細かいところまでピントがあっているという気がする。

Washhand

館蔵品の写真を撮ることは目的ではなかったが、試しに何枚か撮影してみた(当然撮影OKのもののみ)。当然フラッシュ無しでパシャッと撮ったものできれいではないが、何かの記念か記録程度にはなるだろう。この場合も「明るさ」「描写力」「手軽さ」で単焦点レンズがズームよりも優っている。

Armor

手軽さというと私が使っているソニーの単焦点は67gでズームは194gだ。この重さの違いは大したことないが、ズームのかさばりは小さな肩掛けバッグなどに入れると煩わしいときがある。(右がズームレンズで、カメラ本体についているのが単焦点レンズ)

Lenzes

美術館など街歩きでは単焦点レンズの軽快さが便利だと改めて感じた。

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今日のつぶやき

2013年03月29日 | インポート



【書評】「夫婦格差社会」を読む。結婚問題を中心に。 #BLOGOS http://t.co/yVU4g0YzMM






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花咲き競う神代植物園

2013年03月28日 | まち歩き

今年の3月の天気はブレが大きい。昨日は冷たい雨の中をダウンコートを着て(さすがに暑かった)、神田に出かけたと思うと今日はポロシャツ1枚で神代植物園を歩いた。

寒暖の差が激しい中で植物園の花は一度に咲いている。

Kaichou

黄色い花、赤い花、白い花が混じって本当に春らしい。

ソメイヨシノは満開。時々風に花びらが舞った。今が見頃だ。

Cherry2

足許には花ニラの花が咲く。

Hananira

少し早いと思うがシバザクラも咲いていた。

Shibazakura

林の中ではカタクリがひっそりと咲いていた。自然のままの花は可憐である。

Katakuri2

見上げると山桜が咲いている。

Yamazakura

その近くにはハクモクレンが咲いていた。

Sotobenihakumokuren

何と入り口付近では早くも石楠花が咲いていた。石楠花は4,5月の花だと思うのだが。

Shakunage

ツツジの仲間ではクロフネツツジ

Kurohunetutuji

ミツバツツジが咲いていた。

Mitubatutuji

桜を観に立ち寄ったところが、植物園の中は色々な花が満開だった。花も激しい天候の変化に慌てて咲き出したのだろうか?

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【書評】「夫婦格差社会」を読む。結婚問題を中心に。

2013年03月28日 | 本と雑誌

先日新聞の書評欄に「夫婦格差社会」(橘木俊詔・迫田さやか著 中公新書)が取り上げられていたので読んでみた。私がこの類の社会経済学的(かならずしも正しい定義がどうか不明だが)な本を読むのは、幾つかの理由がある。一つは個人的に知的関心が高い分野だからだ。次に理事を務めている「相続学会」の「相続」と隣接する部分があるので、学問的興味もある。また社会の変化する方向にビューを持っておくことは、投資上も有意義なことだからだ。

以上のようなことから橘木さんの格差論は以前から読んでいたが、この「夫婦格差社会」では全く違う観点から興味深く読み進んだ。

違う観点というのは、中々結婚しない娘を持つ父親として多少なりとも子どもが抱える問題(if anyなら)を理解したいということであり、興味深かったのは第4章「結婚できない人たち」である。

子どもの結婚問題については難しい時代になった。我々が若い頃は色々な意味で社会が結婚し、子どもを育てることが前提に組み立てられていた。会社の給与体系も家族手当や一定資格までの昇格保証などで家族の形成を支援していた。しかし能力主義の浸透によりこのような考え方は後退している。結婚すれば経済的に何とかなる、という時代はかなり前に終わっているのである。また離婚も増えている。1960年に0.74だった離婚率は2011年には1.86にまで増えている(「夫婦格差社会」146頁)。女性の離婚原因として多いのは「性格が合わない」「暴力を振るう」「精神的に虐待する」などだ。不幸につながる結婚なら初めからしない方が良い、などと考えてしまう。つまり子どもに向かって簡単に「早く結婚しなさい」などと言えない時代だなぁ、と私は考えている。

それでも「もし子供たちが結婚したいと思いながら、出来ない要因があるなら、そしてその除去に何らかの力添えができるなら」と思ってこの章を読んでみた。

著者は「人は結婚(1)子どもや家族をもてる(2)精神的安らぎの場が得られる」ことの二つを求め、国や社会の観点から見ても特に「子どもをもつこと」は有意義だと論じる。

なお結婚の意義には生計を同一にすることで経済的メリットを得る、などということも考えられるが、著者においてはプライオリティは低いようだ。

恐らく先進国の傾向としては(2)の「精神的安らぎの場が得られる」ということに力点が移りつるあるのだろう、と私は感じている。そのように考えないとアメリカで盛り上がっている同性結婚の問題を理解することができない。

この文脈で考えると「子どもたちが結婚を望むかどうかは、結婚で精神的安らぎの場を得られると考えているかどうか」ということが大きな問題のようだ。もし子ども達が結婚に精神的安らぎを感じないとすれば、それは両親の結婚生活のあり方が結婚というものに何らかのマイナスイメージを与えていた可能性がある・・・・などと考えると頭が痛くなってきた。

もっとも「夫婦格差社会」によると、「独身でいる理由」の最大のものは「適当な相手にめぐり会わない」で、男性で46.2%、女性では51.3%にのぼる。橘木さんは「女性は男性からのアプローチを待つのに対して、最近の男性はどう声をかけてよいかわからない、というのでは、恋人もできないし結婚もできないのは当然だろう。」と冷たく言い放つ。もっとも「あばたもえくぼ、下手の鉄砲も数撃てば当たる、という言葉を頭において、ぜひチャレンジしてほしい」とフォローしているが。

そういえばすっかり影を潜めた社員旅行など会社のイベント。それらのイベントは社内結婚のきっかけだったなぁ、と思いつつ複雑な気持ちで本を置いた。会社が色々な意味で家族形成支援的だった時代ははるか過去のものになりつつある。良し悪しは別として。

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