最近は異常気象と呼ばれる現象が多いですね。一回の降水量が数百ミリという数十年に一度の雨がしばしば降ります(しばしばが数十年に一度起こることは矛盾していますが)。
気象も異常だけれど、世界各国の政治情勢も不安定で、各地でデモや紛争のリスクが高まっていて一種の異常状態です。その原因は様々なのですが、一つは欧米で大衆受けする極端な政策を標榜する政治家が目立ってきたことです。いわゆるポピュリズムの蔓延です。
現在のところ日本ではそれほどポピュリズムの影響はありません。その理由を詳しく研究した訳ではありませんが、可能性としては「現在の日本には一般有権者を熱くするような政治的トッピク(移民問題等)がない」ということが挙げられると思います。
選挙は候補者間の戦いであり、外交は国と国との間の血を流さない戦争です。戦時の雰囲気の中ですと威勢の良い意見は評判が良くなり、分別ある意見は大概臆病と間違えられて評判が悪くなります。選挙戦が接戦の場合、論戦に力が入り、レトリックとして威勢の良い意見を述べることが多くなると思います。威勢の良い意見は極論のことが多く実現可能性にはクエスチョンマークがつくことも多いのですが、とにかく受ける訳です。
武田信玄の遺訓に次のような言葉があるそうです。
1.分別ある者を悪人と見ること
1.遠慮ある者を臆病と見ること
1.軽躁なる者を勇剛と見ること
これは主将が陥りやすい三大失観である。
サラリーマン生活の中でも後先考えずに威勢の良いことを言っていた人間が上司の受けが良く出世するなんてことはありましたね。分別や遠慮のある者は臆病と見られ、エクストリームな意見を吐く者が勇者と見られ人気が高くなる。
これがポピュリズムであり、ポピュリズムが世界各地で政治と外交の振幅を大きくしているのです。