金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

愛は心の病?

2007年02月14日 | 健康・病気

今日はバレンタインディである。今では義理チョコすら余り貰わなくなり~といって昔沢山貰った訳ではないが~ついついバレンタインディであることすら忘れがちである。さてバレンタインディ故かウオール・ストリート・ジャーナルに「愛と心の病はあなたが思うより近い」という記事が出ていた。例えばイタリアの研究では、恋に夢中になっている人の脳内物質セレトニンのレベルは強迫性障害を持つ人と同様に低下しているという。

【セレトニン】というのは脳全体に大きな影響を与える神経伝達物質で、ストレスによる脳疲労を防ぎ精神を安定させる他、満腹感を与え過度な食欲を抑えたり、集中力を増進させるなど、私たちが生活していく上で欠かせない物質である。セロトニンが不足すると、疲労やストレスから不安やイライラが強くなったり、集中力ややる気が持続しないなどという影響がでるそうだ。

【セレトニン不足を解消する】には毎日2,30分の散歩、サイクリングなどの運動が良い。また食物で補うにはトリプトファン(必須アミノ酸の一つ)を含む納豆、乾燥のり、卵などを食べると良いそうだ。

ところで激しい愛をするとセレトニンが落ちるから良くないのか?というとそうではないと記事はいう。「愛と持続する関係が如何に長期にわたる健康にとって重要か?」ということを示す研究が増えている。結婚や関係の破綻は個人の健康状態に非常に大きな負担を強いることがある。

愛が強いとセレトニンが出るけれど、愛は健康に必要ならどうすれば良いの?という矛盾を感じるところだ。この記事はそこのところを明確に説明していないが、次の文章を良く読むとあることが見えてくる。

For most people, the intensity of romantic love fades with time and is replaced by powerful feeling of attachment.

訳すると「大部分の人にとって、ロマンティックな愛は時とともに消滅して執着(アタッチメント)の強い思いが取って替わる」

まずロマンティックな愛とは何だろう。少なくとも英語圏の人はどう考えているのだろうかと思い、Wikipediaを調べてみた。そうすると「ロマンチックな愛とは感情的な欲求と性的な欲求がミックスしたもので」「プラトニックな愛とも単なる性的な欲望~Lust~とも違う」と説明されている。

Feeling of attachmentについてはもっと難しい。恐らく筆者は心理学のアタッチメント理論をベースにおいていると思われるのでこのアタッチメント理論から見ると「人間が特定の他人と築く情緒的な絆」ということになる。

ところで記事は配偶者と一緒に何か新しいこと~例えばヨットだとか美術の教室に通うとか~をするのが、愛を燃やし続けることが出来る方法だという。実験によると友達と食事をするというような日常的なことを繰り返すカップルに比べ新しいことを行なったカップルははるかに結婚生活の質を改善することができた。

目新しい体験は神経伝達物質の一つドーパミンの分泌を促進し、その結果気分が良くなるのである。

以上の話を私なりに整理すると「一時に激しく燃え上がる恋は薬物中毒や強迫性障害と同じような脳内の変化を示すが、カップルで常に新しいことに取り組むようなロマンチックな愛が持続する関係は健康に良い」ということになる。

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ウオンツとニーズ

2007年02月14日 | うんちく・小ネタ

今日(2月14日)の日経新聞朝刊「交友抄」は近畿日本ツーリストの太田社長が書かれているが二つの点で興味深かった。一つは交友相手の高橋健氏。現在新光証券の常務としてご活躍だが、以前は同じ会社の先輩だった。同氏が魚釣のリールのコレクターであることは有名(私は拝見したことがないが)だが、英語の達人でありお話の上手な方である。面識のある方が良い話題で紙面を飾るとなんとなく朝から気分が良い。

もう一つは太田社長が「旅行業界は『個』の『ウオンツ』をいかに取り込むかという発想の転換が求められている」という一文。これを読んで私は昔米国で不動産ローンのリストラ交渉をしていた時相手方の米国人からこう言われたことを思い出していた。

I will give you what you need, but will not give you what you want.

要は「お前がローンをリストラし継続するに最低必要限の譲歩はするが、満額回答はしないぞ」という決めのセリフだ。このNeedとWantの話は面白いので私も何度か人前で語ったことがある。

例えばシステム開発では開発責任者に対して「ユーザーのニーズには対応しろ。しかしユーザーのウオンツつまり『あれば役に立つ』といった程度の要求は徹底的に切れ」という具合に。

しかし小売業やサービス業の観点からするとこれは逆の様だ。つまり消費者のニーズは既に満たされている。生活に必要なものは家の中に溢れている。そこで消費を喚起するには一段の上の「本当に欲しい」ものやサービスつまりWantを売らないといけないという訳だ。だが人の時間や金には限りがある。消費者も自分の本当に欲しいものは何かを考える必要があるだろう。それはひょっとすると余りお金のかからないものであるかもしれない。例えば爽やかな風が吹きぬける木立の中にハンモックを吊って、好きな小説や詩集を読むという様に。

いずれにせよ今日は朝から思い出深い話が重なった。

コメント (1)
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