ジャウム・コレット=セラ監督「トレイン・ミッション」(★★★)
監督 ジャウム・コレット=セラ 出演 リーアム・ニーソン
走る列車だけが舞台、というのはいろいろある。この映画の成功は、その列車を「通勤列車」にしたこと。いわゆる「ハイテク」とは無縁。「人間」が動かしている。それでも最後は「暴走」するんだけれどね。
で、それに加えて、主演がリーアム・ニーソン。「アクションスター」かもしれないけれど、もうお年寄り。スピーディーなアクションはできない。狭い列車のなかに限られているから、まあ、許せる。
さらに、リーアム・ニーソンが「大柄」なのがいい。トム・クルーズみたいに体が小さいと、いくら狭いとはいっても速く動かないとアクションが持たない。体が大きい場合、まわりが狭いと「視覚的」に速く見える。これが、なかなかいい。
映画ならではの「小細工」(小道具)がきいているのもいいなあ。
トイレに隠された25万ドル。通風向の「風」の変化から、そこが隠し場所だと気がつく。風が出ていることを知らせる「吹き流し」がほんとうにつかわれているかどうかわからないけれど、まあ、いい。
チェックずみ乗車券を座席の背もたれにさしておく。乗車券にパンチされた穴を見ながら人探しをするというのも、うーん、アップが可能な映画ならでは、だね。
基本的には、配電盤を壊して冷房を止め、乗客を一つの号車にあつめたり、床下に隠れたり(隠したり)、連結を手動で外したりと、どこかで見たことがあるぞ、というシーンばかりなのだけれど、それもなんとなく「人間臭い」感じがしていい。
クライマックスの「犯人探し」。目撃者は実は目撃していなくて、「音」を聞いただけ。でもその「音(ことば)」が手がかりになって急展開するところは、映画というより「芝居」なんだけれど、ここはここで「芝居」の鉄則を踏まえている。
「プリンは誰だ」という質問に、乗客が次々に「私だ」と名乗りを上げる。これもまあ、「定型」なんだけれど、ここから乗客がリーアム・ニーソンの「味方」になり、観客を「味方」にしてしまう。なんというか、単にリーアム・ニーソンの「活躍」を見ているだけではなく、「事件」そのものに映画をみている観客もまきこまれていく。(芝居だと、こういう効果はとってもきいてくる。)
「新しい」映画ではないけれど、映画としてとても落ち着いている。久々に「落ち着いた」映画を見た、という感じになる。
リーアム・ニーソンの、ゆったりした声もなかなかいいなあ、と思った。
(2018年04月11日、ユナイテッドシネマキャナルシティ、スクリーン11)
*
「映画館に行こう」にご参加下さい。
映画館で見た映画(いま映画館で見ることのできる映画)に限定したレビューのサイトです。
https://www.facebook.com/groups/1512173462358822/
監督 ジャウム・コレット=セラ 出演 リーアム・ニーソン
走る列車だけが舞台、というのはいろいろある。この映画の成功は、その列車を「通勤列車」にしたこと。いわゆる「ハイテク」とは無縁。「人間」が動かしている。それでも最後は「暴走」するんだけれどね。
で、それに加えて、主演がリーアム・ニーソン。「アクションスター」かもしれないけれど、もうお年寄り。スピーディーなアクションはできない。狭い列車のなかに限られているから、まあ、許せる。
さらに、リーアム・ニーソンが「大柄」なのがいい。トム・クルーズみたいに体が小さいと、いくら狭いとはいっても速く動かないとアクションが持たない。体が大きい場合、まわりが狭いと「視覚的」に速く見える。これが、なかなかいい。
映画ならではの「小細工」(小道具)がきいているのもいいなあ。
トイレに隠された25万ドル。通風向の「風」の変化から、そこが隠し場所だと気がつく。風が出ていることを知らせる「吹き流し」がほんとうにつかわれているかどうかわからないけれど、まあ、いい。
チェックずみ乗車券を座席の背もたれにさしておく。乗車券にパンチされた穴を見ながら人探しをするというのも、うーん、アップが可能な映画ならでは、だね。
基本的には、配電盤を壊して冷房を止め、乗客を一つの号車にあつめたり、床下に隠れたり(隠したり)、連結を手動で外したりと、どこかで見たことがあるぞ、というシーンばかりなのだけれど、それもなんとなく「人間臭い」感じがしていい。
クライマックスの「犯人探し」。目撃者は実は目撃していなくて、「音」を聞いただけ。でもその「音(ことば)」が手がかりになって急展開するところは、映画というより「芝居」なんだけれど、ここはここで「芝居」の鉄則を踏まえている。
「プリンは誰だ」という質問に、乗客が次々に「私だ」と名乗りを上げる。これもまあ、「定型」なんだけれど、ここから乗客がリーアム・ニーソンの「味方」になり、観客を「味方」にしてしまう。なんというか、単にリーアム・ニーソンの「活躍」を見ているだけではなく、「事件」そのものに映画をみている観客もまきこまれていく。(芝居だと、こういう効果はとってもきいてくる。)
「新しい」映画ではないけれど、映画としてとても落ち着いている。久々に「落ち着いた」映画を見た、という感じになる。
リーアム・ニーソンの、ゆったりした声もなかなかいいなあ、と思った。
(2018年04月11日、ユナイテッドシネマキャナルシティ、スクリーン11)
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