愛媛県文書(その3)
自民党憲法改正草案を読む/番外207(情報の読み方)
2018年04月13日の読売新聞(西部版・14版)の2面。
という見出しの記事がある。農水省は獣医師の国家試験を所管している。だから愛媛県側が、関係省庁である農水省に渡したとみられる、と書いてある。
では、愛媛県側は、農水省に「どの部分」を読ませたかったのか。これが問題だ。
柳瀬文書の最初にある「首相案件」はもちろんだが、他の部分も大事だ。
大学のカリキュラム、卒業後の進路に大学側が配慮する。獣医師が増えて、すでに開業している獣医師の活動の圧迫にならないようにする、ということを大学に「確約」させる。そういう「動き」を文科省とのあいだにやっている。
その報告である。
これについては、愛媛県側は、たぶん働きかけができない。大学のカリキュラムは文科省、獣医師試験は農水省の管轄。愛媛県は口をはさむことができない。
でも、こう進んでるんですよ、と加計学園(あるいは文科省)にかわって、農水省に報告している。
これは、加計学園側の学部開設に関する「意識」の低さが、文科省と愛媛県側で共有することになる。加計学園の対応は不備だらけだが、文科省が問題点を指摘して改善を進めている。だから、農水省も、加計学園に問題があることを踏まえて対処してほしい、ということ。問題があるけれど、「首相案件」であることを認識してほしいというのである。
なぜ、こんな「文書」を農水省に渡すのか。
もちろん「安倍案件」であることを認識してもらうこともあるが、これは愛媛県側から言うようなことではない。安倍が農水省に言うことである。いわなくてもだれかが農水省に伝えている。だから、「安倍案件(首相案件)」は、一種の「だめ押し(念押し)」にすぎない。
ほんとうは(2)の部分が問題だからだ。
もし、加計学園の学部新設要請書類に問題があり、新設が認められないことがあっても、それは農水省の責任ではない、愛媛県の責任ではない、ということを「共有」したかったのだ。失敗したときの「保険」だ。
今度は、逆に考えてみよう。
この文書を農水省側が「保管」していたのは、どうしてだろう。
農水省が「保管」しているのは、問題が起きたとき「首相案件だから」と言い逃れるため。首相案件なら、そうするしかなかった、と言い逃れるため。これは「保険」なのだ。獣医師会が苦情を言ってきても首相案件だったから、と責任逃れができる。
だれだって納得できない仕事を押しつけられたとき、その結果問題が起きそうだと思ったら、「証拠」を残しておく。
愛媛県は加計学園のヘマ(学部開設に必要な準備ができない)を恐れ、それに通じる「文言」のある「文書」を残した。農水省は、愛媛県文書にある「首相案件」と文言、文科省が加計学園を指導していることを伺わせる文言があるから、「文書」を「保管」した。「責任逃れ」につかえると思っている。
ここから、さらに「推測」ができること。
同じ文書はきっと文科省にもある。
すでに前川が「総理の意向」云々というような文書(簡単なメモ)の存在を明らかにしている。そのメモは、今回の愛媛県文書とつながっている。
前川が問題提起をしたあと、文科省は急いで文書を廃棄したかもしれないが、だれかが愛媛県の文書を残している可能性はある。
加計学園獣医学部が「国家戦略特区」にふさわしくない大学であると判断されたとき、どうして学部新設を認可したのかが問題になる。そのとき、文科省はどう説明できるか。「首相案件」だったから、と言い逃れができる。
「首相案件(総理の意向)」というのは、上から下への「伝達」を強制すると同時に、下のものが「責任逃れ」をするときの「防護壁」にもある。「私は命じられてやっただけ」という「開き直り」の武器にもなる。「開き直り」を「保身」と言うのだけれど。
安倍はすべてを「トカゲのしっぽ切り」ですませようとしているが「トカゲのしっぽ」は「しっぽ」で生き残り策を探る。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
*
「天皇の悲鳴」(1500円、送料込み)はオンデマンド出版です。
アマゾンや一般書店では購入できません。
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168072977
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松井久子監督「不思議なクニの憲法」上映会。
2018年5月20日(日曜日)13時。
福岡市立中央市民センター
「不思議なクニの憲法2018」を見る会
入場料1000円(当日券なし)
問い合わせは
yachisyuso@gmail.com
自民党憲法改正草案を読む/番外207(情報の読み方)
2018年04月13日の読売新聞(西部版・14版)の2面。
加計問題/面会文書 農水省にも/愛媛県から渡されたか
という見出しの記事がある。農水省は獣医師の国家試験を所管している。だから愛媛県側が、関係省庁である農水省に渡したとみられる、と書いてある。
では、愛媛県側は、農水省に「どの部分」を読ませたかったのか。これが問題だ。
柳瀬文書の最初にある「首相案件」はもちろんだが、他の部分も大事だ。
(1)獣医師会には、直接対決を避けるよう、既存の獣医大学との差別化を図った特徴を出すことや卒後の見通しなどを明らかにするとともに、(後略)
大学のカリキュラム、卒業後の進路に大学側が配慮する。獣医師が増えて、すでに開業している獣医師の活動の圧迫にならないようにする、ということを大学に「確約」させる。そういう「動き」を文科省とのあいだにやっている。
その報告である。
これについては、愛媛県側は、たぶん働きかけができない。大学のカリキュラムは文科省、獣医師試験は農水省の管轄。愛媛県は口をはさむことができない。
でも、こう進んでるんですよ、と加計学園(あるいは文科省)にかわって、農水省に報告している。
(2)加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があり、その対策について意見を求めたところ、今後、策定する国家戦略特区への取組状況を整理して、文科省に説明するのがよいとの助言があった。
これは、加計学園側の学部開設に関する「意識」の低さが、文科省と愛媛県側で共有することになる。加計学園の対応は不備だらけだが、文科省が問題点を指摘して改善を進めている。だから、農水省も、加計学園に問題があることを踏まえて対処してほしい、ということ。問題があるけれど、「首相案件」であることを認識してほしいというのである。
なぜ、こんな「文書」を農水省に渡すのか。
もちろん「安倍案件」であることを認識してもらうこともあるが、これは愛媛県側から言うようなことではない。安倍が農水省に言うことである。いわなくてもだれかが農水省に伝えている。だから、「安倍案件(首相案件)」は、一種の「だめ押し(念押し)」にすぎない。
ほんとうは(2)の部分が問題だからだ。
もし、加計学園の学部新設要請書類に問題があり、新設が認められないことがあっても、それは農水省の責任ではない、愛媛県の責任ではない、ということを「共有」したかったのだ。失敗したときの「保険」だ。
今度は、逆に考えてみよう。
この文書を農水省側が「保管」していたのは、どうしてだろう。
農水省が「保管」しているのは、問題が起きたとき「首相案件だから」と言い逃れるため。首相案件なら、そうするしかなかった、と言い逃れるため。これは「保険」なのだ。獣医師会が苦情を言ってきても首相案件だったから、と責任逃れができる。
だれだって納得できない仕事を押しつけられたとき、その結果問題が起きそうだと思ったら、「証拠」を残しておく。
愛媛県は加計学園のヘマ(学部開設に必要な準備ができない)を恐れ、それに通じる「文言」のある「文書」を残した。農水省は、愛媛県文書にある「首相案件」と文言、文科省が加計学園を指導していることを伺わせる文言があるから、「文書」を「保管」した。「責任逃れ」につかえると思っている。
ここから、さらに「推測」ができること。
同じ文書はきっと文科省にもある。
すでに前川が「総理の意向」云々というような文書(簡単なメモ)の存在を明らかにしている。そのメモは、今回の愛媛県文書とつながっている。
前川が問題提起をしたあと、文科省は急いで文書を廃棄したかもしれないが、だれかが愛媛県の文書を残している可能性はある。
加計学園獣医学部が「国家戦略特区」にふさわしくない大学であると判断されたとき、どうして学部新設を認可したのかが問題になる。そのとき、文科省はどう説明できるか。「首相案件」だったから、と言い逃れができる。
「首相案件(総理の意向)」というのは、上から下への「伝達」を強制すると同時に、下のものが「責任逃れ」をするときの「防護壁」にもある。「私は命じられてやっただけ」という「開き直り」の武器にもなる。「開き直り」を「保身」と言うのだけれど。
安倍はすべてを「トカゲのしっぽ切り」ですませようとしているが「トカゲのしっぽ」は「しっぽ」で生き残り策を探る。
#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
*
「天皇の悲鳴」(1500円、送料込み)はオンデマンド出版です。
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松井久子監督「不思議なクニの憲法」上映会。
2018年5月20日(日曜日)13時。
福岡市立中央市民センター
「不思議なクニの憲法2018」を見る会
入場料1000円(当日券なし)
問い合わせは
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