詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『土地の名-人間の名』(1986)(70)

2019-07-28 10:51:34 | 嵯峨信之/動詞
* (ぼくは帰る場処がない)

ぼくは果樹園にそつた夜道をひたすら急いでいる

 「帰る場処がない」が「行く場処がある」というわけではないだろう。「帰る」と「行く」は対になっているから、「帰る場処がない」ぼくには「行く場処もない」だろう。
 では、どこへ「急いでいる」のか。
 「そつた」(沿う)を修飾語ではなく「動詞」そのものとして読んでみる。
 「帰る」か「行く」か、わからない。けれど「沿う」ことができるものがある。「果樹園」も「夜」も具体的な場所ではなく「比喩」かもしれない。
 「急いでいる」のは「肉体」ではなく「ことば」かもしれない。
 思想が動くときの、一つのあり方が描き出されている。



*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
定価の下の「注文して製本する」のボタンを押すと購入の手続きが始まります。
私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)
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estoy loco por espana (番外35)Joaquinの作品

2019-07-28 09:43:22 | estoy loco por espana



私は沈黙よりも美しいことばを言うことはできない。
しかし、書く。

線は空間を分割する。
生み出された分割は、さらに新しい分割へと線をうながす。
空間は線を受け入れながら、空間であることを保ち続ける。
「線」を「ことば」に、「空間」を「沈黙」と呼び変えてみる。
ことばは沈黙を分割する。
生み出された分割は、さらに新しい分割へとことばをうながす。
沈黙はことばを受け入れながら、沈黙であることを保ち続ける。

no puedo decir palabras que sean mas bellas que el silencio.
pero escribe algo.

las lineas dividen el espacio.
la division resultante llevara a la linea a una nueva division.
el espacio sigue siendo un espacio mientras acepta lineas.
llama "línea" como "palabra" y "espacio" como "silencio".
las palabras dividen el silencio.
las division resultante llevara a la palabra a una nueva division.
el silencio sigue siendo silencio mientras acepta palabras.
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