やまもとあつこ『つきにうたって』(空とぶキリン社、2109年06月01日発行)
やまもとあつこ『つきにうたって』は認知症の母との交流を描いている。以前、ある作品の感想を書いたことがあるが、感想は書かずにただ全行を紹介すればいいのかもしれない。
「お花見」という作品。
「かあちゃんの声//今//アッコに届いたよ」のぼつん、ほつんと書かれた三行が好きだ。
「アッコ」と呼ぶ声が「あつこ」を「アッコ」に生まれ変わらせる。母は「アッコ」と呼んだ時代を生きていて、「あつこ」はその時代をいまに呼び戻す。二人の時間が、新しく重なり合う。いっしょに生きる。
「いっしょに」ということばが、最終行に宝物のように書かれている。
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やまもとあつこ『つきにうたって』は認知症の母との交流を描いている。以前、ある作品の感想を書いたことがあるが、感想は書かずにただ全行を紹介すればいいのかもしれない。
「お花見」という作品。
母の車椅子をおして
お花見に行く
満開の桜を見上げながら
「ここに アッコが 来てたらなあ
なんて言うやろなあ」
と 母
「あつこ ここにいてるよ
ずっと 後ろにおるやん」
と わたし
そう言ったあとで
気づいた
母が言ったのは「あつこ」ではなく「アッコ」
小さい頃わたしは「アッコ」と呼ばれていた
風が
吹いてきた
「ここに アッコが 来てたらなあ」
かあちゃんの声
今
アッコに届いたよ
花びらと
いっしょに
「かあちゃんの声//今//アッコに届いたよ」のぼつん、ほつんと書かれた三行が好きだ。
「アッコ」と呼ぶ声が「あつこ」を「アッコ」に生まれ変わらせる。母は「アッコ」と呼んだ時代を生きていて、「あつこ」はその時代をいまに呼び戻す。二人の時間が、新しく重なり合う。いっしょに生きる。
「いっしょに」ということばが、最終行に宝物のように書かれている。
*
評論『池澤夏樹訳「カヴァフィス全詩」を読む』を一冊にまとめました。314ページ、2500円。(送料別)
https://www.seichoku.com/user_data/booksale.php?id=168076093
「詩はどこにあるか」2019年4-5月の詩の批評を一冊にまとめました。
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(バックナンバーについては、谷内までお問い合わせください。)
オンデマンド形式です。一般書店では注文できません。
注文してから1週間程度でお手許にとどきます。
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以下の本もオンデマンドで発売中です。
(1)詩集『誤読』100ページ。1500円(送料別)
嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で詩を書いています。
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(2)評論『中井久夫訳「カヴァフィス全詩集」を読む』396ページ。2500円(送料別)
読売文学賞(翻訳)受賞の中井の訳の魅力を、全編にわたって紹介。
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(3)評論『高橋睦郎「つい昨日のこと」を読む』314ページ。2500円(送料別)
2018年の話題の詩集の全編を批評しています。
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(4)評論『ことばと沈黙、沈黙と音楽』190ページ。2000円(送料別)
『聴くと聞こえる』についての批評をまとめたものです。
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(5)評論『天皇の悲鳴』72ページ。1000円(送料別)
2016年の「象徴としての務め」メッセージにこめられた天皇の真意と、安倍政権の攻防を描く。
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