詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『土地の名-人間の名』(1986)(73)

2019-07-31 08:53:50 | 嵯峨信之/動詞
* (文字に時を託したことがある)

 抽象的にはじまる詩は尻取りのように「時を人間に託したことがある/人間に愛を託したことがある」とことばを入れ替えた後、転換する。

生と死との間に架かる透明な橋
ぼくは風に吹かれながらその橋を渡つて行つた

 なぜ「渡つて行つた」と過去形なのだろうか。それは「託したことがある」が過去形だからである。「託した」が過去、「ある」は現在。いま、「過去」を思い出している。
 それが「渡つて行つた」になる。つまり、渡つて行つたのあとには「ことがある」が省略されている。
 「愛」は尻取りの力を借りて「生と死」のあいだへ大きく飛翔している。愛をことばにし、愛の時間を生きることで人間は人間になる。人間は「生と死」の間にかかった橋である。そういうことを思ったのだろう。



*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
定価の下の「注文して製本する」のボタンを押すと購入の手続きが始まります。
私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

estoy loco por espana (番外37)

2019-07-31 08:35:45 | estoy loco por espana


Joaquinの作品。

私は展覧会で作品を見る。
作品は誇らしげである。
私はアトリエで作品を見る。
作品は少し恥ずかしげである。作品は言う。「私はまだ生まれたばかりです。見せるこころの準備が整っていません」
個人に所有された作品は、何と言うだろうか。
窓からの眺め。部屋の中。どれもはじめてみる風景だ。そして、部屋にはいつも愛してくれる人がいる。
「ここにいることが幸せだ」と言うに違いない。

veo las obras en una exposicion.
los trabajos son orgullosos.
veo el trabajo en un taller.
el trabajo está un poco avergonzado. el trabajo dice. "acabo de nacer. no estoy listo para mostrar mi corazon".
que dirías un trabajo propiedad de un individuo?
vista desde la ventana. en la habitacion. es el paisaje que todos ven por primera vez. y siempre hay personas en ese habitacion que le aman.
la obra decir: "estoy feliz de estar aquí".


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする