詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『詩集未収録詩篇』を読む(54)

2020-05-12 10:18:17 | 『嵯峨信之全詩集』を読む
* (背中は無言だ)

腕は動いていても自分から離れられない
背なかは毎日が背なかである

 「腕」も毎日が腕だろう。また、「背なか」も自分から離れられないという点は同じだろう。
 そうすると、「背なか」の意味は「動かない」ということ力点があるのか。
 しかし、この動かないは微妙だ。腕のようにはっきりと目に見える動きはなくても、やはり動いてはいる。
 無意識のようなものだ。背中は見えないから、無意識になってしまうのかもしれない。








*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
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私あてにメール(yachisyuso@gmail.com)でも受け付けています。(その場合は多少時間がかかります)

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わからない?

2020-05-12 09:33:47 | 自民党憲法改正草案を読む
わからない?
       自民党憲法改正草案を読む/番外351(情報の読み方)

 2020年05月12日の読売新聞(西部版・14版)の4面(政治面)に小さな記事。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の尾身茂副座長は11日の参院予算委員会で、国内の累計感染者数が1万5000人を超えていることに関し、「(実際の感染者数が)10倍か、15倍か、20倍かというのは誰も分からない」と述べた。立憲民主党の福山幹事長の質問に答えた。

 「分からない」とき、人はどうするだろうか。
 いちばん簡単なのは、人に聞く。知っている人に聞く。つまり、「専門家」に聞く。その「専門家」が「分からない」のだとしたら?
 「専門家」をやめる(辞退する)という方法もある。
 ふつうは、分からなかったら調べる。「専門家」なら、調べ方もわかるだろう。国民全員を調べるのがいちばん正確だが、それができないとしたら任意にサンプルを抽出し、そこから推測する。抽出調査(分析)が誤差を含むことは誰もが知っているが、それでもその誤差が「10倍か、15倍か、20倍か」ということはないだろう。もし、そういうことが起きるとしたら、それはサンプル抽出の方法、サンプル分析から総計を算出する計算方法などが間違っていたことになる。「専門家」失格だ。
 なぜ調べないのか。調べると不都合がおきるからだ。それこそ「10倍か、15倍か、20倍か」の感染者がわかると、どうなるか。いますすめている政策がそのまま適用できなくなる。だから調べないのだ。
 尾身は、安倍のように「ぼくちゃんが調べたわけではない。数字が違うとしてもぼくちゃんの責任ではない。ちゃんと調べない現場が悪い。ぼくちゃんは、『分からない』ということで、ちゃんと現場を批判している」とでも言うだろうか。

 「医療崩壊」ということばがある。実際は「医療収入の崩壊」を気にしている「医療倫理の崩壊」である。「医療崩壊」を口にする前に、医療現場は懸命に働いている。そういう人に対して「医療崩壊」と「医療の責任者」が口にするのはたいへん非礼で、むごたらしい反応だ。
 この「倫理崩壊」は「専門家会議」ででも起きていることになる。「事実」を調べようとしない。実数が「10倍か、15倍か、20倍」と思いながら、それを確認しようとしない。自分の「考えている」に背いて、安倍が求める「答え」を「専門家」として語っている。「専門家」としての「倫理」が崩壊している。尾身もまた、自分への「報酬」を優先したのだろう。安倍の求める答えを言えば、高額の報酬がもらえる。高額の収入を捨ててまで、ほんとうのことを言う必要はない。「金優先」「倫理不要」はいう「倫理崩壊」が、ここにも蔓延しているのだ。
 あるいは安倍が頼りにしている「専門家会議」というのは、安倍が求める答えだけを提出する「専門家」という意味なのかもしれない。「安倍の専門家」ということになる。そこには、絶対に「倫理」というものは入り込まない。
 福山にしても同じだろう。「分からない」という答弁を引き出すだけてはなく、「分からないなら、調べろ」と追及し、「調べます」という言質を取れ。そうしないのは、やはり政治家(野党)としての「倫理」を失っている。「分からない」という答弁まで引き出せば、自分の仕事は終わった。「給料分は働いた」という「収入」見合いの追及でしかない。

 「倫理崩壊」は検察人事でも進んでいる。黒川がどういう人間なのか知らないが、もうすでに充分キャリアを積んできている。多くの国民からみれば、十分すぎるほどの収入を得てきているだろう。天下り先というか、再就職先は、たくさんあるだろう。検察にしがみつく理由がわからない。安倍が要求する「答え(だれを起訴し、だれを不起訴にするか)」を提出すれば、さらに金が稼げる。そう思っているのではないのか。
 黒川にしかできない「完璧な判断」というものがある、というかもしれない。もしそうだとすれば、それはそれではずかしいことだ。ナンバー2にまでのぼりつめて、自分を超えることのできない後輩を育てることができなかった、だからトップをつづける、というのは、すでにトップの立つ資格がないことを証明している。
 検察庁人事をめぐっては批判がひろがっている。26面には「検察定年 議論が過熱」という見出しの記事がある。そこに、ひっかかる記事が書かれている。

 ツイッターでも9~10日、演出家の宮本亜門さんや俳優の井浦新さんら著名人による抗議ツイートが相次ぎ、投稿件数が急増した。ただ、抗議への反論ツイートもあり、歌手のきゃりーぱみゅぱみゅさんは投稿後にツイートを削除した。

 きゃりーぱみゅぱみゅが投稿を削除したのは事実らしいが、事情は「反論ツイート」だけが理由ではない。きゃりーぱみゅぱみゅの投稿に対して反論だけがツイートされたのではなく、賛成もツイートされている。賛成と批判にファンが分断され、対立するのがつらくて投稿を削除したというようなことを、きゃりーぱみゅぱみゅはどこかで語っていた。読売新聞の書き方だと、きゃりーぱみゅぱみゅの意見に賛成のファンがいるということがわからない。事実を半分隠して書くのは、「報道の倫理」に反している。記者の「倫理」が崩壊していると思う。









#安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位 
 


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