基準明示は困難?
自民党憲法改正草案を読む/番外353(情報の読み方)
2020年05月16日の読売新聞(西部版・14版)の1面。4番手の見出し。
検察定年延長 採決見送り/衆院委 法相「基準明示は困難」
この見出しが、なぜ、こんな小さい扱いなのか、わからない。
「定年延長」を決めるのはいいが、決める限りは「基準」が先だろう。「基準」がないままに「延長」というのは、どうしたっておかしい。
内閣や法相の判断で検察幹部の定年を最大3年延長できる
というのでは、「基準」がそのときの「内閣や法相の判断」になってしまう。「とき」と「ひと」によって変わってしまう。こういうことを「恣意的」という。
この問題に先立つ黒川の定年延長も、また、安倍の「判断」(新しい解釈)によるものだ。「法」をたったひとりの「新しい解釈」によって変更し、それを「判断」というのであれば、「独裁」のはじまりだ。
「基準」を明示せずに、「内閣や法相の判断で検察幹部の定年を最大3年延長できる」ということにしてしまえば、それは「内閣」の都合にあわせて判断してくれる検察幹部の定年を延長するということになる。
安倍は、黒川が68歳になるまで「検事総長」にしたいのである。黒川の68歳というのは、5年後である。
ここから、また、別のことも見えてくる。
いま、河井の選挙法違反が問題になっているが、ほかにも佐川事件の再捜査要求や、桜を見る会の問題など、安倍がらみの問題がある。さらに、「アベノマスク」発注の問題も浮上してくるだろうし、新型コロナ問題では「検査をさせないことで死亡に至らしめる」という「未必の故意」も問われるだろう。
安倍は、そういう山積する問題を、黒川を検事総長にすることで葬り去るだけではなく、今後5年間は「首相」に居すわるつもりなのだ。「独裁」の準備を「検察人事」の側からすすめているのである。来年9月で「総裁」の任期は切れるが、「4選」を手に入れ、続投し続けるのだ。その「意思表示」が「最大3年延長できる」にあらわれている。
森は「基準明示は困難」と言ったが、「基準」があまりにも「安倍の欲望そのもの」なので、語ることができなかったということだ。
単なる「機械的」な定年延長ではない。「内閣や法相の判断で検察幹部の定年を最大3年延長できる」という定年延長である。誰にでも適用されるのではなく「内閣や法相」が必要と判断した人間にだけ適用されるのである。
安倍批判をする人間を次々に起訴し、安倍の「お友達」なら何をしても不起訴にしないという「検察」ができあがれば、安倍は「4選」といわず「5選」、さらには生きている限り「首相」に居すわり、「独裁」をつづける。恐慌政治が始まるのだ。
27面に「検察OB 反対意見書提出」という見出しの記事がある。その最後の部分に、こういうコメントが載っている。
「法律が改正されても、検察のやることは変わらない」と淡々と話す(検察)幹部もいた。
「検察のやること」とは「不法行為者を取り締まる」ということだろう。もちろん「不法行為者を取り締まる」だろうが、一方で「やらないこと」が増えるのではないか。起訴し、裁判で判断しなければならない問題を、不起訴にするということが起きるのではないか。
あるいは、このコメントをよせた検察幹部は「安倍や、安倍のお友達がかかわる問題は、どんなものであれ不起訴にする」ということを「検察のやること」と考えているのかもしれない。「安倍の基準」にあわせて「起訴する/起訴しない」を判断することが検察の仕事だと、すでに受け入れているのかもしれない。
きっと「安倍の判断」に従えば、自分も「検事総長」になれると信じているのだろう。自分自身の「行動基準」をみつけたとよろこんでいるのだろう。
#検察庁法改正に反対 #安倍を許さない #憲法改正 #天皇退位
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