黒川賭けマージャン
自民党憲法改正草案を読む/番外357(情報の読み方)
2020年05月21日の読売新聞(西部版・14版)の1面。トップではなく、3番手の見出しに、
黒川検事長 辞任の意向/緊急事態中 マージャン報道
週刊文春の報道を踏まえた「事実」なのだろうが、私は「緊急事態中」に首をかしげた。視点が「矮小化」されている。「定年延長後(定年延長期間中)」にしないといけないと思う。2月で定年退職のはずだったのに、安倍の意向で6か月(半端じゃない?)延長した。さらに、その「定年延長」が切れる8月には「検事総長」になるレールが敷かれている。いわば今後の生活を安倍が保障してくれるとわかったときに、賭けマージャンをした、ということだと思う。
マージャンしながら、どんな話をするのか知らないが、きっと「緊急事態で自粛なんて、つまらない。いままで何してた?」ということではなく、「黒川さん、もうすぐ検事総長ですね、すごいですねえ。これからもよろしく」というような話をするのではないのか。私は何でも具体的に考えないと気がすまないので、そう思うのだ。
新型コロナへの警戒(恐怖心)は、どこにもない。気が緩んでいるのは、安倍が用意してくれた「検事総長」の椅子のせいなのだ。
不思議に思うのは。
ここ数日のことだが、前川が「黒川が辞任しないのは、安倍に何か弱みをにぎられているのではないのか」というような発言をしたことがネットでしきりに流布したことである。前川は、どこかで「黒川の弱み」を聞いたのではないのか。
そして、そうであるなら、さらに不思議なのは。
前川の風俗店通いを調べ、読売新聞にリークした「内閣情報調査室」が黒川の「賭けマージャン」を知らないと考えることはできない。だいたい、検事長(未来の検事総長)の賭けマージャンが露顕すれば、追及されるのは明らかだ。そんな明快すぎる「弱み」ではなく、もっと根深い秘密があって、それを安倍が支配できるという類のものだという気がする。今回の賭けマージャンは、「マージャンはしていたが、賭けてはいない」と口裏をあわせようとすればあわせられる類のものだ。マスコミ関係者と検事長の「癒着」は職業倫理としてどうなのか、と問われるかもしれないが。
何か違う気がするなあ。
もっと、何かあるんじゃないかなあ、と私は疑う。
これに関連して。
菅は「法務省で適切に対応する」と調査や処分を法務省に丸投げしたことが気になる。つい先日、安倍は、桜井との対談で「黒川の人事は法務省が持ってきたもので、安倍自身は詳細は知らない」と言っている。
「ぼくちゃん、悪いことは何もしていない。もし問題があったら、それは法務省のせいだ」
菅のことばは、この安倍の言い分を踏襲したものだ。
なぜ、黒川を「次期検事総長」にしようとしたのか。そのことを隠すために、いま黒川切り捨て作戦が始まったと読まなければならないのかもしれない。
安倍がにぎっている「黒川の弱み」とは、同時に「安倍・菅の弱み」そのものでもあるはずだ。「同じ穴のむじな」であるはずだ。
佐川の場合は、うまくいったみたいだが、黒川の場合はどうか。
賭けマージャンをキーワードにした黒川の「背後」には、マスコミ関係者だけしか存在しないのだろうか。そういうことも気になる。
これは、まあ、安倍が、なぜ黒川にこだわったかということにもつながる。安倍自身や、安倍の「お友達」が「清廉潔白」であるなら、誰が検事総長になろうが、気にならないと思う。
よくわからないが、よくわからないことは、よくわからないと書いておこう。
わかっていることだけを書くために、ことばがあるのではない。わからないことをこそ書き留めるためにことばはある。