詩はどこにあるか(谷内修三の読書日記)

日々、読んだ本の感想。ときには映画の感想も。

嵯峨信之『詩集未収録詩篇』を読む(83)

2020-07-20 00:00:00 | 『嵯峨信之全詩集』を読む
* (海が近くなつて)

川はばが広がつている
そうなつても
空はつつみこめない

 「意味」がつかみにくい。
 「空は」何を包み込めないといっているか。あるいは、川はどんなに川幅を広げても、空を包み込めない、なのか。「空は」と書くのは、空を強調したいからか。
 こんなことを考えてしまうのは、「そうなつても」という一行があるからだろう。「そうなったら」ふつうは、できる。しかし「そうなっても」できない。ここには「論理」がある。しかし、その論理がみえない。だから、「わからない」と思ってしまう。
 死の最終行は、唐突である。

何かの大きな意志が拒むのだ

 「意思」が特定されないまま、「意思」として登場する。この唐突が「詩」である。



*

詩集『誤読』は、嵯峨信之の詩集『時刻表』を批評するという形式で書いたものです。
オンデマンドで販売しています。100ページ。1500円(送料250円)
『誤読』販売のページ
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